核心解説
この問題は、
労働者災害補償保険法 (Industrial Accident Compensation Insurance Act) における
保険者 (Insurer)、つまり保険制度の運営主体を問うています。看護師国家試験では、医療保険制度や社会保険の仕組みを理解する上で、各制度の「保険者」と「被保険者」、「保険料負担者」を正しく整理することが重要です。労災保険は、業務上の疾病や災害に対する補償を目的とした
政府管掌保険であり、その運営は
国(政府)が行います。
最重要! 保険料は
事業主が全額負担し、労働者(被保険者)の負担はありません。この点が、医療保険(健康保険)などと大きく異なるポイントです。
正解の根拠 (Answer Rationale)
保険者とは、保険事業を運営する主体のことです。労働者災害補償保険法(労災保険法)第2条において、保険者は
国と定められています。具体的な事務は、
厚生労働省(所管)の下部組織である
労働基準監督署が窓口となり、
労働者健康安全機構などが業務を担います。このように、労災保険は
政府が直接運営する社会保険であるため、保険者は「国」が正解です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 社会保険制度では、保険者が制度によって異なります。以下の比較が重要です。
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混同注意! ②番の「事業主」は、保険料を
全額負担する者であり、保険者ではありません。労災保険では被保険者(労働者)の負担はなく、事業主が全額を負担しますが、運営主体は国です。
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混同注意! ③番の「市町村」は、
国民健康保険 (National Health Insurance) の保険者です。市町村が運営する地域保険であり、労災保険の保険者とはなりません。
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混同注意! ④番の「都道府県」も、国民健康保険の保険者(市町村)や後期高齢者医療制度の広域連合の構成員ですが、労災保険の保険者ではありません。
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混同注意! ⑤番の「健康保険組合」は、
健康保険 (Health Insurance) の保険者の一つです。主に大企業の被用者(サラリーマン)を対象とし、運営主体が組合である場合に該当しますが、労災保険とは全く異なります。
関連概念の整理 (Related Concepts)
看護師国家試験では、以下の社会保険制度の「保険者」と「保険料負担者」の比較が頻出です。
| 保険制度 | 保険者 | 保険料負担者 |
| 健康保険(被用者保険) | 国(協会けんぽ) / 健康保険組合 | 事業主と被保険者(折半) |
| 国民健康保険 | 市町村 | 加入者(被保険者) |
| 介護保険 | 市町村 | 40歳以上の加入者と事業主 |
| 労働者災害補償保険 | 国 | 事業主(全額負担) |
| 雇用保険 | 国 | 事業主と被保険者 |
概念整理: 労災保険は、業務上・通勤中の災害や疾病に対して給付を行う社会保険です。保険者は「国」、保険料負担者は「事業主(全額)」と覚えましょう。この「事業主全額負担」という点が、他の被用者保険と決定的に異なるため、国試では頻出の比較ポイントです。
一目で比較!:
混同注意!
- 労災保険の保険者 =
国(政府管掌)
- 健康保険の保険者 =
国(協会けんぽ)または健康保険組合
- 国民健康保険の保険者 =
市町村
- 介護保険の保険者 =
市町村
暗記のコツ: 「労災の保険者は『国』!負担は『事業主』全額!」と、リズムで覚えてしまいましょう。健康保険が折半(半分ずつ)なのに対して、労災だけは「労災=労働者を守るための制度」というイメージで「労働者負担ゼロ」と紐付けると忘れにくいです。
国試頻出ポイント: 各社会保険の保険者と保険料負担者を問う問題は、看護師国家試験では必修問題としても頻出です。また、「被保険者」と「保険者」、「事業主」の定義の違いや、給付内容(療養補償給付、休業補償給付など)と併せて出題されることが多いため、セットで学習しておきましょう。
出題パターン注意!: 事例問題で「業務中の転倒により骨折した患者さん」が登場した場合、「どの保険制度が適応されるか?」という形で発展します。その際に「労災保険の保険者は誰か?」を問われる可能性があります。「この場合の保険者は国であり、給付申請は労働基準監督署を通じて行う」と説明できるようにしておきましょう。