核心解説
この問題は、
乳児に対する一次救命処置 (Pediatric Basic Life Support) の正しい手順と技術を問うています。成人と乳児・小児では、解剖学的・生理学的特徴の違いから、BLSの手順や数値基準が一部異なります。特に、
脈拍確認の部位 (Pulse Check Site)、
意識確認の方法 (Consciousness Assessment)、
胸骨圧迫と人工呼吸の比率 (Compression-to-Ventilation Ratio) を正確に理解することが鍵となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
②「意識レベルは足底を叩きながら反応を確認する」が正解です。
乳児(1歳未満)は言語による呼びかけに反応することが難しいため、
最重要! 意識確認は、声かけに加えて
足底を叩く(または弾く) などの痛み刺激を与え、その反応(泣く、体動、開眼など)を観察します。これは、乳児のBLSアルゴリズムの第一歩として標準化されています。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①「脈拍の確認は橈骨動脈の触知で行う」→
混同注意! 乳児の脈拍確認は、
上腕動脈 (Brachial Artery) または
大腿動脈 (Femoral Artery) で行います。橈骨動脈 (Radial Artery) は細く、乳児では触知が困難なため使用しません。成人では橈骨動脈を用います。
③「救助者が2名いる場合、胸骨圧迫と人工呼吸の回数の比率は30:2である」→
混同注意! 乳児に対する
2名救助者 (Two-Rescuer CPR) の圧迫換気比は
15:2 です。30:2は成人および1名救助者の場合の比率です。これは、乳児の心停止の多くが呼吸原性(窒息など)であり、十分な換気が重要であるためです。
④「胸骨圧迫の速さ(回数)は130~150回/分である」→ 胸骨圧迫の速さは、すべての年齢(成人・小児・乳児)で
100~120回/分 (100-120 compressions/min) が推奨されています。130~150回/分は速すぎ、圧迫が不十分になりやすいため正しくありません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
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胸骨圧迫の深さ (Compression Depth):乳児では
約4cm(胸郭の前後径の1/3)。成人では5~6cm。
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人工呼吸の吹き込み方 (Ventilation Method):乳児では口と鼻を覆う
マウスツーノーズアンドマウス法 (Mouth-to-Nose-and-Mouth) が基本。成人はマウスツーマウス法。
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AED (Automated External Defibrillator):乳児には
小児用パッド (Pediatric Pads) または成人用パッドを前後(胸と背中)に貼付します。
概念整理: 乳児BLSで成人と異なる3大ポイント:①脈拍確認部位(上腕動脈/大腿動脈)②2名救助者の圧迫換気比(15:2)③意識確認方法(足底刺激)。圧迫速度(100-120回/分)と深さ(約4cm)は成人と共通です。
一目で比較!:
| 項目 | 成人 (Adult) | 乳児 (Infant / 1歳未満) |
|---|
| 脈拍確認部位 | 頸動脈 (Carotid Artery) | 上腕動脈 (Brachial Artery) |
| 意識確認の刺激 | 声かけ + 肩を叩く | 声かけ + 足底を叩く(痛み刺激) |
| 2名救助者 圧迫換気比 | 30:2 | 15:2 |
| 圧迫の深さ | 5-6cm | 約4cm (胸郭の1/3) |
看護過程ポイント: BLSの場面では「アセスメント」が極めて重要です。意識・呼吸・脈拍の有無(ABC: Airway, Breathing, Circulation)を迅速に評価し、
反応がない かつ
正常な呼吸がない と判断した時点で、直ちにCPRを開始します。乳児の場合、親への対応(心理的ケア)も看護師の重要な役割です。
暗記のコツ: 「乳児(赤ちゃん)はまだ言葉が通じないので、足の裏を叩いて反応を見る!」と覚えましょう。「脈は、手首(橈骨)ではなく、腕の内側(上腕)で触れる」とイメージしてください。
国試頻出ポイント: 乳児と成人のBLSの比較は毎年と言っていいほど出題されます。特に「脈拍確認部位」と「圧迫換気比(1名救助者 vs 2名救助者)」は絶対に混同しないようにしましょう。事例問題で「生後8ヶ月の乳児が…」と出たら、すぐに乳児用のガイドラインを思い浮かべてください。
出題パターン注意!: 単純な知識問題(本問のような「正しいのはどれか」)から、状況設定問題(例:「保育所で生後10ヶ月の乳児が突然意識を失い、呼吸がありません。看護師2名で対応する場合の適切な手順は?」)に発展します。