核心解説
この問題は、
ボウルビィ (John Bowlby) の
アタッチメント理論 (Attachment Theory) における発達段階と関連行動の正しい理解を問うものです。アタッチメントとは、乳幼児と特定の養育者との間に形成される、情緒的な絆を指します。この絆が形成される過程で、特定の人物以外に対して示す「人見知り (Stranger Anxiety)」は、正常な発達の指標の一つです。
1. **
正解の根拠 (Answer Rationale)**: 選択肢①「人見知りは6、7か月の乳児に出現する」が正解です。ボウルビィの理論では、生後約6~7か月頃に特定の養育者への愛着が確立され、見知らぬ人に対して不安や警戒を示す「人見知り」が出現します。これは
最重要!アタッチメント形成の明確なサインであり、正常な発達過程の一部です。
2. **
誤答の分析 (Distractor Analysis)**:
- ②「安全基地は家の中での子どもの居場所のことである」:
混同注意!「安全基地 (Secure Base)」とは、子どもの物理的な居場所ではなく、
特定の愛着対象 (Attachment Figure) のことです。子どもはこの安全基地を拠点として探索活動を行い、不安や危険を感じた時に戻ってきます。
- ③「子どもと不特定の他者との間に築かれる情緒的な結びつきである」: アタッチメントは「特定の」養育者(主に母親や主要な養育者)との間に形成される、選択的で持続的な情緒的絆です。「不特定の他者」との結びつきではありません。
- ④「愛着対象との分離で生じる子どもの行動の第一段階は『絶望の段階』である」: ボウルビィは、愛着対象との長期分離に対する子どもの反応を3段階に分類しました。第一段階は「抗議の段階 (Protest)」であり、泣いたり叫んだりして養育者を呼び戻そうとします。「絶望の段階 (Despair)」は第二段階で、無気力や引きこもりが特徴です。
3. **
関連概念の整理 (Related Concepts)**: ボウルビィのアタッチメント理論は、
エインズワース (Mary Ainsworth) の「
ストレンジ・シチュエーション法 (Strange Situation Procedure)」へと発展し、アタッチメントの質(安定型、不安定型など)を評価する枠組みが確立されました。また、発達段階としては、①前愛着期(生後0~2か月)、②愛着成立期(2~6か月)、③明確な愛着期(6か月~2歳)、④目標修正的共同性期(2歳以降)があります。人見知りは③明確な愛着期の特徴です。
概念整理: ボウルビィのアタッチメント理論は、乳幼児の情緒発達の基盤です。安全基地(特定の養育者)を拠点に、子どもは外界を探索し、不安時には養育者に回帰します。分離時の反応(抗議→絶望→離隔)は、母子分離不安のアセスメントに直結します。
一目で比較!:
| 段階 | 年齢 | 特徴 |
| 前愛着期 | 0~2か月 | 特定の人物を識別せず、泣き・微笑みで養育者を引き寄せる |
| 愛着成立期 | 2~6か月 | 顔や声を認識し始めるが、まだ分離不安は明確でない |
| 明確な愛着期 | 6か月~2歳 | 人見知り出現。安全基地から探索し、分離時に抗議する |
| 目標修正的共同性期 | 2歳以降 | 養育者の行動を理解し、交渉や妥協が可能になる |
看護過程ポイント:
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アセスメント: 乳幼児の入院時、養育者との分離に対する反応(泣き、不機嫌、無気力)を観察。年齢に応じた正常な分離不安か、病的な愛着障害かを判断する。
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看護診断: 「養育者との分離不安」や「対処行動の非効果的パターン」が考えられる。
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計画・実施: 可能な限り養育者の付き添いを促す。面会時間を柔軟に設定し、写真やビデオ通話などでつながりを維持する。また、安全基地となる看護師が一貫して関わる。
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評価: 子どもの表情や行動、バイタルサインの安定、養育者との再会時の反応を評価する。
暗記のコツ: 「人見知りは『6か月』の『み』の字で覚える!」「分離の反応は『抗議(怒る)→絶望(悲しむ)→離隔(あきらめる)』の順番と、感情のトーンの変化で覚えましょう。」
国試頻出ポイント: ボウルビィの理論は、小児看護学だけでなく、発達心理学や母性看護学(母子関係)の文脈でも頻出です。特に「人見知り」の出現時期(6~7か月)と「分離反応の3段階」は、正誤問題で確実に狙われます。
出題パターン注意!: 「1歳児が母親と離れて入院した際、初日は激しく泣いていたが、3日後には看護師に対して無表情で反応が乏しくなった」という事例問題で、「これは分離反応のどの段階か?」と問われるパターンが典型的です。答えは「絶望の段階」です。