核心解説
この問題は、成人のがん患者における
疼痛評価スケール (Pain Assessment Scale)の種類と特徴を問うています。特に「数値で回答する」という点がキーワードです。
最重要!疼痛は「第5のバイタルサイン」とも呼ばれ、客観的かつ一貫した評価が看護の基本です。数値で回答するスケールは
Numerical Rating Scale (NRS)であり、患者が0~10(または0~100)の数字で痛みの強さを表現します。これは認知機能が保たれた成人に広く用いられ、簡便で再現性が高いという特徴があります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は②番の
NRS (Numerical Rating Scale)です。NRSは、患者自身が「0:痛みなし」から「10:想像できる最も強い痛み」までの数値を選ぶため、
標準的な疼痛評価法として国際的に推奨されています。がん疼痛の評価では、治療効果判定や鎮痛薬の調整に不可欠です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①
混同注意! フェイススケール (Faces Scale)は、表情のイラストを用いて痛みを評価します。主に
小児(特に3歳以上)や認知症高齢者、言語表現が困難な患者に使用され、数値で回答するわけではありません。
③VAS (Visual Analog Scale)は、長さ10cmの直線上に患者が痛みの程度を印(位置)で示すスケールです。「数値で回答する」のではなく、線上の位置を定規で計測して数値化するため、NRSとは評価方法が異なります。
④VRS (Verbal Rating Scale)は、「なし・軽度・中等度・高度」などの
言葉(形容詞)で痛みを評価するスケールです。数値は用いません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
疼痛評価スケールは患者の状態に応じて使い分けることが重要です。
- NRS: 数値での回答が可能な成人・小児(8歳以上)
- VAS: 視覚的・直感的な評価が必要な場合
- VRS: 言葉での表現が容易な患者
- フェイススケール: 言語能力が未熟または低下している患者
-
FLACCスケール (Face, Legs, Activity, Cry, Consolability): 乳幼児や認知症で自己報告が困難な患者の行動観察による評価法
概念整理: 疼痛評価スケールは大きく分けて「自己報告式スケール(NRS, VAS, VRS, フェイススケール)」と「行動観察式スケール(FLACC, PAINAD)」に分類されます。がん疼痛ではNRSが第一選択です。
一目で比較!:
| スケール名 | 評価方法 | 主な対象 | 特徴 |
|---|
| NRS | 0~10の数値 | 成人・8歳以上 | 簡便・再現性高い |
| VAS | 10cm直線上の位置 | 成人 | 視覚的・連続的評価 |
| VRS | 言葉(形容詞) | 成人・高齢者 | 文化的影響を受けやすい |
| フェイススケール | 表情イラスト | 小児・認知症 | 言語能力不要 |
看護過程ポイント:
アセスメントでは、スケール選択前に患者の年齢・認知機能・言語能力を評価。
計画では、同一患者には同じスケールを継続使用し、経時的変化を捉える。
実施では、患者にスケールの意味をわかりやすく説明(例:「0が全く痛みなし、10が今まで経験した中で一番の痛みです」)。
評価では、NRSスコアと鎮痛薬投与後の変化、患者の表情や行動との一致性を確認。
暗記のコツ: 「N」はNumber(数字)の頭文字!「NRSはNumberで答える」と覚えましょう。「V」から始まるVASとVRSは「VはVisual(線)とVerbal(言葉)」とセットで覚えると混同防止になります。
国試頻出ポイント: 疼痛評価スケールの名称と特徴は毎年必ず出題されます。特に「NRSとVASの違い」「フェイススケールの対象」は頻出事項です。事例問題で「小児の疼痛評価に適切なのは?」「認知症高齢者に用いるのは?」という形で問われます。
出題パターン注意!: 単純な知識問題(本問)に加えて、事例問題「術後2日目の成人患者。NRSで7と評価。看護師の対応として適切なのは?」のような応用問題にも対応できるよう、スケール評価後の鎮痛薬投与や再評価のタイミングも併せて学習しましょう。