核心解説
この問題は、
良肢位 (Functional Position / Anti-Deformity Position) の基本概念と、仰臥位 (Supine Position) における各関節の正しい肢位を問うています。
良肢位とは、関節が拘縮した場合でも、日常生活動作 (ADL) に最も支障が少なくなる位置 のことで、安静臥床や長期臥床による関節拘縮・変形を予防するために設定されます。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は
② 肘関節屈曲90度 です。
上肢の良肢位では、
最重要! 肘関節は約
90度屈曲(直角) に保持します。これは、肘関節が伸展拘縮すると、食事動作や整容動作など、手を顔や口元に持っていく動作が極度に困難になるためです。屈曲90度で拘縮すれば、最も多くのADL動作をカバーできます。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①
混同注意! 肩関節外転90度は誤りです。良肢位では肩関節は約
10~30度の軽度外転 とし、腋窩の通気を確保し、内転拘縮を予防します。90度外転は関節包や筋への過度な伸展となり、関節痛や神経損傷のリスクが高まります。
③ 膝関節屈曲90度も誤りです。下肢の良肢位では膝関節は軽度屈曲(約5~10度)から完全伸展に近い状態とします。膝関節が90度屈曲で拘縮すると、立位保持や歩行が著しく困難になります。
④ 足関節底屈90度は誤りです。足関節の良肢位は底屈0度(中間位)または軽度背屈(約90度)とし、尖足(下垂足)を予防します。底屈90度は尖足拘縮を誘発するため、
禁忌肢位 です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
良肢位は、関節拘縮予防だけでなく、筋緊張のバランス維持、褥瘡予防、呼吸・循環機能の維持にも重要です。特に、
痙性麻痺 (Spastic Paralysis) を伴う脳血管障害患者では、異常肢位(病的共同運動パターン)が出現しやすく、良肢位保持は必須の看護ケアです。
概念整理
良肢位とは、関節拘縮が起こった場合を想定し、ADL障害を最小限にする肢位です。
| 関節 | 良肢位 | 予防すべき拘縮 |
| 肩関節 | 外転10~30度 | 内転・内旋拘縮 |
| 肘関節 | 屈曲90度 | 伸展拘縮(手を顔に届かなくなる) |
| 手関節 | 背屈20~30度 | 掌屈拘縮(把握障害) |
| 手指 | 軽度屈曲(把握位) | 伸展拘縮(握れなくなる) |
| 股関節 | 伸展位(軽度外転) | 屈曲・内転拘縮 |
| 膝関節 | 伸展位(軽度屈曲) | 屈曲拘縮(歩行障害) |
| 足関節 | 中間位(底屈0度) | 尖足(つま先が下がる) |
一目で比較!
混同注意! 良肢位 vs 安静時肢位 vs 抗重力肢位
| 項目 | 良肢位 | 安静時肢位 |
| 目的 | 拘縮予防・ADL維持 | 関節包・靭帯の弛緩 |
| 肘関節 | 屈曲90度 | 屈曲30度(やや伸びた状態) |
| 足関節 | 底屈0度(中間位) | 底屈10~20度(やや尖足気味) |
看護過程ポイント
-
アセスメント: 患者の意識レベル、麻痺の有無、筋緊張、関節可動域、褥瘡リスク、疼痛の有無を評価。
-
看護診断: 「身体可動性障害 (Impaired Physical Mobility)」や「関節拘縮リスク状態 (Risk for Joint Contracture)」が該当。
-
計画・実施: クッションや枕、スプリント、ポジショニング用マットを用いて良肢位を保持。2時間ごとの体位変換と関節可動域訓練 (ROM訓練) を実施。
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評価: 関節可動域の維持・改善、疼痛や褥瘡の有無、ADLへの影響を評価。
暗記のコツ
- 「肘は90度(直角)」が基本!「90度」は肘だけと覚える(肩・膝・足は90度ではない)。
- 語呂合わせ:「ひじはきっちり90度(ヒジはキッチリ90度)」
- 足関節は「底屈ゼロ(レロ)」で尖足予防。
国試頻出ポイント
- 良肢位の各関節角度は、四肢別に暗記必須。
- 問題文に「痙性麻痺」「脳卒中後遺症」「長期臥床」というキーワードが出たら、良肢位保持が優先されるケアと判断。
- 特に「肘関節90度」は最もよく出題される角度です。
出題パターン注意!
単純な知識問題だけでなく、「右片麻痺の患者が仰臥位で過ごす場合のポジショニング」といった状況設定問題で、良肢位を選択させる形で出題されます。