核心解説
この問題は、
健やか親子21(第2次)(Healthy Parents and Children 21, Second Phase)の基盤課題と各目標に関する知識を問うています。
最重要! この施策は、
我が国の母子保健の総合的な推進計画であり、4つの基盤課題(A~D)と、その下に具体的な目標が設定されています。基盤課題Aは「切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策」です。その目標の一つに「妊娠・出産について満足している者の割合の増加」が含まれています。これは、単に医学的な安全性を高めるだけでなく、
母子のQOL(Quality of Life)の向上を重視した視点であることを理解しましょう。
1. **
核心概念の分析 (Key Concept)**: この問題のテーマは、
母子保健行政と
健康施策の体系的理解です。健やか親子21(第2次)は、平成27年度(2015年)から開始された第二次の計画で、以下の4つの基盤課題があります。
- **基盤課題A**: 切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策
- **基盤課題B**: 学齢期・思春期から成人期に向けた保健対策
- **基盤課題C**: 子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減
- **基盤課題D**: 妊娠・出産・子育てに関する社会環境の整備
それぞれの課題に紐づく目標を正しく暗記する必要があります。
2. **
正解の根拠 (Answer Rationale)**: ③「妊娠・出産について満足している者の割合の増加」は、
正解です。これは基盤課題Aの目標の一つです。この目標は、妊産婦が自身の妊娠・出産体験をポジティブに捉えられるよう支援することを目的としており、
産後うつ予防や母子関係の良好な形成にもつながる重要な指標です。
3. **
誤答の分析 (Distractor Analysis)**:
-
混同注意! ①「児童虐待による死亡数の減少」は、基盤課題
C「子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減」の目標です。虐待防止は子どもの心の健康と親の育児支援の文脈で位置づけられています。
- ②「十代の人工妊娠中絶率の減少」は、基盤課題
B「学齢期・思春期から成人期に向けた保健対策」の目標です。思春期の性に関する正しい知識と行動選択を促すための指標です。
- ④「マタニティマークを妊娠中に使用したことのある母親の割合の増加」は、基盤課題
D「妊娠・出産・子育てに関する社会環境の整備」の目標です。社会全体での妊産婦への理解と支援の輪を広げるための指標です。
4. **
関連概念の整理 (Related Concepts)**: 健やか親子21(第2次)と併せて、
「成育基本法」(平成30年成立)や、
「母子健康手帳」、
「産後ケア事業」などの関連施策も理解しておくと、母子保健分野の国試対策が強固になります。特に「切れ目ない支援」という概念は、妊娠期から出産、子育て期までを連続して支援するという、現代の母子保健の根幹をなす考え方です。
概念整理:
健やか親子21(第2次)4つの基盤課題と代表目標
| 基盤課題 | テーマ | 代表的な目標 |
| A | 切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策 | 妊娠・出産について満足している者の割合の増加、妊産婦死亡率の低下、低出生体重児の減少 |
| B | 学齢期・思春期から成人期に向けた保健対策 | 十代の人工妊娠中絶率の減少、思春期の性感染症予防、朝食欠食率の減少 |
| C | 子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減 | 児童虐待による死亡数の減少、育児不安を感じる親の割合の減少、子どもの自尊感情の向上 |
| D | 妊娠・出産・子育てに関する社会環境の整備 | マタニティマークの認知度・使用率の向上、父親の育児参加の促進、子育て中の親が気軽に相談できる場の増加 |
一目で比較!:
母子保健の三大計画
| 計画名 | 対象 | 主な目的 |
| 健やか親子21(第2次) | 全ての妊産婦・子どもとその家族 | 母子保健指標の向上と社会環境の整備 |
| 成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針(成育基本法に基づく) | 胎児期から思春期までの子どもとその家族 | 切れ目ない成育医療提供体制の構築 |
| 子ども・子育て支援新制度 | 就学前の子どもとその家庭 | 幼児教育・保育の無償化と質の向上、待機児童解消 |
看護過程ポイント: このテーマは、
地域看護活動(特に母子保健活動)におけるアセスメントと計画立案に直結します。例えば、保健師が地域の母子保健計画を立案する際、健やか親子21の目標値をベンチマークとして、地域の現状(例:妊婦の満足度調査、児童虐待報告数)をアセスメントし、優先課題を特定します。看護師も、産科病棟や小児科外来で、このような国家的な指標を意識することで、自身のケアの質を評価する視点を持つことができます。
暗記のコツ: 4つの基盤課題を「A・B・C・D」の頭文字とキーワードで覚えましょう。
- **A (Antepartum/After birth)**: 切れ目ない妊産婦 → 「妊娠・出産の満足度」
- **B (Before adulthood)**: 学齢期・思春期 → 「十代の中絶・性教育」
- **C (Child's heart)**: 子どもの心 → 「児童虐待・育児不安」
- **D (Dream society)**: 社会環境 → 「マタニティマーク・父親の育児参加」
国試頻出ポイント: 健やか親子21(第2次)は、
High Yieldテーマです。特に「どの目標がどの基盤課題に該当するか」を問う問題が頻出します。選択肢のキーワード(例:「虐待」「十代」「満足度」「マーク」)から、該当する基盤課題(C, B, A, D)を瞬時に判断できるように練習しましょう。また、第1次計画からの変更点(例:子どもの貧困対策の追加など)も時々出題されます。
出題パターン注意!: 単純な知識問題(この問題のように、目標と基盤課題の組み合わせ)に加えて、状況設定問題として、「ある市の保健師が、10代の人工妊娠中絶率が高いというデータから、重点的に対策を立てる基盤課題はどれか」といった形で出題されることもあります。単なる暗記ではなく、
課題の意図と実際の施策を結びつける思考が求められます。