核心解説
この問題は、
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)における、医師の届出義務の分類(全数把握 vs 定点把握)を問うています。
感染症法では、疾患の感染力や重症度に応じて、診断したすべての医師に届出が義務付けられる「全数把握疾患」と、特定の医療機関(定点)のみが報告する「定点把握疾患」に分類されます。この分類の違いを正確に理解することが、感染症対策の基本です。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要!
梅毒 (Syphilis) は、
5類感染症(全数把握疾患)に分類されます。近年増加傾向にあるため、感染拡大の実態を正確に把握する目的で、診断したすべての医師に届出が義務付けられています。届出基準は「診断後直ちに」最寄りの保健所を経由して都道府県知事に届け出ます。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意!
①番の
インフルエンザ (Influenza) は、
5類感染症(定点把握疾患)です。ただし、新型インフルエンザ等感染症に該当する場合は全数把握となりますが、一般的な季節性インフルエンザは定点把握です。
②番の
細菌性髄膜炎 (Bacterial Meningitis) は、
5類感染症(定点把握疾患)です。髄膜炎菌性髄膜炎は別途扱いとなりますが、細菌性髄膜炎としての届出は定点把握です。
③番の
水痘 (Varicella / Chickenpox) は、2014年から定期接種化された疾患で、
5類感染症(定点把握疾患)です。入院例のみ全数把握の対象となるなど、一部例外はありますが、一般的には定点把握です。
関連概念の整理 (Related Concepts):
感染症法における届出分類は、看護師国家試験の頻出テーマです。以下のポイントを押さえましょう。
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1類~3類感染症: すべて全数把握。診断後直ちに届出(例:エボラ出血熱、結核、コレラ)
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4類感染症: 全数把握。診断後7日以内に届出(例:E型肝炎、狂犬病、鳥インフルエンザ(H5N1等))
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5類感染症: 全数把握と定点把握に分かれる。5類全数把握の代表例が
梅毒、
後天性免疫不全症候群 (AIDS)、
アメーバ赤痢など。定点把握の代表例が
インフルエンザ、
水痘、
細菌性髄膜炎、
麻しん、
風しんなど。
概念整理: 感染症法における届出義務は、
「全数把握」vs「定点把握」の2軸で整理します。全数把握は「流行状況の正確な把握が必要な疾患」、定点把握は「流行の動向を監視する必要があるが、全数把握までは不要な疾患」という考え方が基本です。
一目で比較!:
| 分類 | 届出義務者 | 届出期限 | 代表疾患 |
|---|
| 1類~3類 (全数) | すべての医師 | 診断後直ちに | エボラ出血熱、結核、コレラ |
| 4類 (全数) | すべての医師 | 診断後7日以内 | E型肝炎、狂犬病、鳥インフルエンザ |
| 5類 (全数) | すべての医師 | 診断後直ちに | 梅毒、AIDS、アメーバ赤痢 |
| 5類 (定点) | 定点医療機関の医師 | 週・月単位で報告 | インフルエンザ、水痘、麻しん |
看護過程ポイント:
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アセスメント: 患者が診断された感染症が、全数把握か定点把握かを確認する。届出の有無は、感染症対策の法的枠組みを理解する上で重要。
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計画・実施: 全数把握疾患の場合は、医師が届出を行うことを確認し、看護記録にも診断名と届出の有無を記載する。保健所との連携が必要なケースもある。
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評価: 届出が適切に行われたか、保健所からの指示(消毒方法、接触者調査など)が遵守されているかを確認する。
暗記のコツ: 語呂合わせ「
梅毒(ばいどく)は、全数(ぜんすう)だ!」と覚えましょう。5類全数把握疾患は数が限られているので、代表的なものをセットで覚えます。「
梅毒、AIDS、アメーバ赤痢、マラリア、デング熱、レジオネラ症」は5類全数把握です。
国試頻出ポイント: 感染症法の届出分類は、毎年1~2問出題される頻出テーマです。特に「5類全数把握疾患」の代表例(梅毒、AIDS)と「5類定点把握疾患」の代表例(インフルエンザ、水痘、麻しん、風しん、細菌性髄膜炎)の区別が問われます。単純暗記だけでなく、
「なぜその疾患が全数把握なのか」(例:梅毒は近年の増加傾向、AIDSは公衆衛生上の重要度)を理解すると、応用問題にも対応できます。
出題パターン注意!: 単純な「全数把握か定点把握か」を問う知識問題に加えて、「
感染症の発生届の様式」や「
保健所への報告ルート」を問う応用問題、あるいは「
事例の中で、看護師が医師に報告すべき内容を選ぶ」といった状況設定問題に発展する可能性があります。