神経線維には髄鞘のあるものとないものがあるが、活動電位に対する髄鞘の働きはどれか。 | MyMerci
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一般・状況設定問題
問題

神経線維には髄鞘のあるものとないものがあるが、活動電位に対する髄鞘の働きはどれか。

解説
髄鞘(ミエリン鞘)は絶縁体の役割を果たし、髄鞘の途切れたランヴィエ絞輪から次の絞輪へと興奮が跳躍して伝わる「跳躍伝導」を可能にします。これにより、有髄神経は無髄神経よりも「伝導速度が著しく速く」なります。
同じテーマの次の問題インシデントレポートについて適切なのはどれか。2つ選べ。

詳細解説

核心解説 この問題は、神経線維の構造である髄鞘 (Myelin Sheath)の機能を問うています。髄鞘は、グリア細胞(中枢ではオリゴデンドロサイト、末梢ではシュワン細胞)が形成する絶縁性の脂質膜です。この髄鞘が活動電位の伝導にどのような影響を与えるかを、病態生理学的に理解することが鍵となります。

正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は③番「活動電位の伝導速度を速くする」です。
最重要! 髄鞘は絶縁体として働くため、活動電位は髄鞘で覆われた部分では発生できません。興奮は、髄鞘が途切れたランヴィエ絞輪 (Node of Ranvier)でのみ発生し、次の絞輪へと跳躍伝導 (Saltatory Conduction)します。この跳躍伝導により、有髄神経線維は無髄神経線維に比べて、伝導速度が格段に速くなります(例:有髄神経で最大約120m/秒、無髄神経で約0.5~2m/秒)。

誤答の分析 (Distractor Analysis)
①番「活動電位の発生頻度を増やす」:混同注意! 活動電位の発生頻度は、刺激の強さや神経細胞の不応期 (Refractory Period)によって調節されます。髄鞘は発生頻度に直接関与しません。
②番「活動電位のピークを高くする」:活動電位のピーク(振幅)は、主に電位依存性ナトリウムチャネルの数や機能、細胞内外のイオン濃度勾配によって決まります。髄鞘は振幅に直接影響しません。
④番「活動電位が周囲の神経線維に伝わるのを防ぐ」:混同注意! これは髄鞘の絶縁作用の一部であり、電気的な「漏れ」を防ぎ、隣接する神経線維への興奮の伝播(側方伝導)を防ぐ効果はあります。しかし、この問題は「活動電位に対する働き」として最も本質的な「伝導速度」を問うています。問題文の焦点は「伝導」の効率性です。絶縁性は伝導速度を速めるためのメカニズムの一部であり、直接的な答えは③番となります。

関連概念の整理 (Related Concepts)
* **有髄神経 vs 無髄神経**:伝導速度の差(有髄神経の方が速い)は、神経学的検査で重要な意味を持ちます。
* **脱髄疾患**:多発性硬化症 (Multiple Sclerosis)などで髄鞘が障害されると、跳躍伝導が阻害され、伝導速度が著しく低下します。これにより、様々な神経症状(感覚障害、運動障害、視力障害など)が出現します。
* **伝導速度測定**:神経伝導速度検査 (NCV: Nerve Conduction Velocity) は、末梢神経障害の診断に用いられる検査で、髄鞘機能を評価します。

概念整理 * **髄鞘の主な機能**:絶縁体としての役割と、跳躍伝導による伝導速度の促進。 * **構造**:ランヴィエ絞輪で活動電位が再生される。 * **臨床的意義**:脱髄疾患では伝導速度が低下し、神経症状が出現する。
一目で比較!
項目有髄神経無髄神経
髄鞘の有無ありなし
伝導様式跳躍伝導連続伝導
伝導速度速い遅い
エネルギー消費少ない(絞輪部のみで興奮)多い(膜全体で興奮)

看護過程ポイント * **アセスメント**:神経疾患患者の症状(感覚障害、筋力低下、歩行障害など)を観察する際、髄鞘の障害(脱髄)による伝導速度低下を疑う視点を持つ。 * **看護介入**:脱髄疾患の患者には、疲労を避けるための活動と休息のバランス調整、転倒予防、温度変化による症状増悪(ウートフ現象)への注意などが必要。
暗記のコツ 「髄鞘=電線の被覆(絶縁体)」とイメージすると覚えやすいです。被覆があると電気が漏れずに速く遠くまで伝わります。このイメージを「跳躍伝導」というキーワードと結びつけましょう。被覆がない電線(無髄神経)は漏電しながらゆっくり伝わるイメージです。
国試頻出ポイント この問題は、神経系の基礎生理の頻出テーマです。髄鞘の機能「伝導速度を速くする」は直接問われることが多く、脱髄疾患(多発性硬化症、ギラン・バレー症候群など)の病態理解にも直結します。
出題パターン注意! * **単純知識問題**:「髄鞘の働きはどれか」という本問のような出題。 * **応用問題**:「多発性硬化症の患者に生じる神経症状の原因として適切なのはどれか」という形で、脱髄による伝導速度低下を選択肢から選ばせる問題。 * **状況設定問題**:「ギラン・バレー症候群の患者で、神経伝導速度検査が行われる理由はどれか」という形で、検査の目的を問う問題。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
30代女性。数日前からの両下肢の脱力としびれを主訴に来院。神経学的所見と髄液検査、MRI所見から多発性硬化症 (Multiple Sclerosis)と診断され、入院となりました。患者さんは「足に力が入らず、歩くのが怖い」と話しています。

看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
最重要! この患者さんの症状は、中枢神経の脱髄による伝導速度低下が原因です。看護師として以下のようにアセスメントし介入します。 1. **観察**:筋力(MMT: Manual Muscle Testing)、感覚障害の範囲と程度(ピン刺激、触覚)、歩行状態(TUG: Timed Up and Go test)、バランス、疲労度、視力障害の有無、体温(発熱で症状悪化=ウートフ現象)。 2. **アセスメント**:脱力としびれの程度が、転倒リスクやADL(日常生活動作)にどの程度影響しているかを評価する。疲労による症状増悪パターンを把握する。 3. **報告(SBAR)**:医師に「S: 患者さんが歩行時のふらつきを訴えています。B: MSと診断され、両下肢の筋力低下と感覚障害があります。A: 転倒リスクが高く、ADLに支障を来しています。R: 安全な歩行補助具の検討と、リハビリテーション処方をお願いします。」と報告。 4. **介入**:環境調整(床の物を片付ける、手すりの確認)、転倒予防(ナースコールの位置確認、必要時介助)、疲労管理(活動と休息のバランス)、体温管理(発熱時は冷却、入浴時の注意)。 5. **評価**:介入後、歩行が安定したか、転倒を起こさなかったか、疲労が適切に管理されているかを評価する。
看護プロトコル * **観察項目**:筋力、感覚、歩行、バランス、視力、膀胱直腸障害、疲労度、体温。 * **報告基準(SBAR)**:新たな神経症状の出現、症状の急激な悪化、転倒発生時。 * **記録のポイント**:症状の経時的変化(いつから、どのように変化したか)、ADLへの影響、看護介入の内容と患者の反応。 * **家族への説明の留意点**:疾患の経過(寛解と増悪を繰り返すこと)、治療法、自宅での生活上の注意点(疲労管理、転倒予防、温度管理)。
先輩看護師の一言 「神経の伝導速度という言葉は、教科書の中だけの話ではありません。『患者さんが手足を動かそうと指令を出しても、その指令が髄鞘の障害でうまく伝わらず、結果として脱力やしびれが出ている』という病態をイメージすることで、患者さんの『思うように体が動かないもどかしさ』に共感できます。単語を覚えるだけでなく、その裏にあるメカニズムを理解することで、看護の質がグッと上がりますよ!」

重要概念

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