核心解説
この問題は、
小児の気管支喘息 (Bronchial Asthma) における発作強度の重症度分類を問うています。発作強度は、主に「会話の状態」「呼吸状態」「バイタルサイン」「酸素飽和度 (SpO2)」の4つの指標で総合的に評価します。特に「
苦しくて眠れない(起坐呼吸)」「
途切れ途切れの会話」という臨床所見は、
最重要! 呼吸筋の疲労と高度な気道狭窄を示す大発作の特徴です。
1.
核心概念の分析 (Key Concept): 気管支喘息の発作強度は、小児でも成人でも「小発作(軽度)」「中発作(中等度)」「大発作(重度)」の3段階に分類されます。さらに進行すると「呼吸不全(切迫呼吸不全を含む)」に至ります。この問題では、A君の「眠れない」「途切れ途切れの会話」「SpO2 92%」という3つの所見が、発作強度を判定する鍵となります。
喘息発作の重症度評価は、ガイドラインに基づき、客観的指標(SpO2、呼吸数、心拍数)と主観的指標(呼吸困難感、会話の途切れ)を統合して行います。
2.
正解の根拠 (Answer Rationale): 正解は③大発作(重度)です。日本小児アレルギー学会のガイドラインでは、以下の基準で分類します。
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小発作(軽度): 会話がほぼ普通にできる。SpO2 96%以上。呼吸数や心拍数の軽度上昇。
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中発作(中等度): 会話がやや途切れる(短い文で話す)。SpO2 91~95%。呼吸補助筋の使用(陥没呼吸)が認められる。
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大発作(重度):
最重要! 会話ができず単語のみ(または全く話せない)。起坐呼吸や前傾姿勢をとる。SpO2 90%以下または努力呼吸の著明な増強。A君は「苦しくて眠れない(=起坐呼吸)」「途切れ途切れに話す(単語や短い句)」「SpO2 92%(中発作の範囲だが、呼吸困難の程度から大発作)」という複合的な所見から、大発作と判定されます。
3.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
- ①小発作:
混同注意! 小発作では会話が普通にでき、SpO2も96%以上を保ちます。A君のように「眠れない」「途切れ途切れの会話」は小発作には該当しません。軽度の咳嗽のみで夜間覚醒がない状態です。
- ②中発作:
混同注意! 中発作では「会話がやや途切れる(短い文)」程度であり、「苦しくて眠れない」「単語のみの会話」といった重度の呼吸困難は認めません。SpO2 91-95%が多く、A君のSpO2 92%だけを見ると中発作と誤解しやすいですが、
呼吸困難の程度(起坐呼吸) がより強いため、大発作と判断するのが正しいです。
- ④呼吸不全:
最重要! 呼吸不全とは、
PaO2 60 Torr以下またはSpO2 90%以下 の状態を指します。A君のSpO2 92%は呼吸不全の基準には達していません。呼吸不全は大発作がさらに進行した、より重篤な状態です。
4.
関連概念の整理 (Related Concepts):
喘息発作の重症度評価 は、単なるSpO2の数値だけでなく、「会話の状態」「呼吸困難感」「意識レベル」「呼吸補助筋の使用」「聴診所見(喘鳴の程度・消失)」などを総合的に判断します。特に「サイレントチェスト(喘鳴が突然消失する)」は、
気道閉塞の進行で呼吸音が聞こえなくなる危険なサイン であり、呼吸不全への移行を示します。
概念整理: 小児気管支喘息発作の重症度分類(小発作・中発作・大発作・呼吸不全)。評価の4本柱:①会話の状態 ②呼吸困難の程度(起坐呼吸の有無) ③SpO2 ④呼吸補助筋の使用。
一目で比較!:
| 発作強度 | 会話 | SpO2 (Room Air) | 体位・呼吸困難 |
| 小発作(軽度) | 普通に話せる | 96%以上 | 軽度咳嗽、夜間覚醒なし |
| 中発作(中等度) | 短い文で話せる | 91~95% | 陥没呼吸、起坐呼吸なし |
| 大発作(重度) | 単語のみ・話せない | 90%以下または90%台でも強い努力呼吸 | 起坐呼吸、前傾姿勢 |
| 呼吸不全 | 会話不能 | 90%未満 | 意識障害、チアノーゼ |
看護過程ポイント:
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アセスメント: 発作の重症度評価(上記の4指標)。特に「会話の状態」は主観的ですが、最も簡便で信頼性の高い指標です。
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看護診断: 「非効果的気道クリアランス」「ガス交換障害」など。
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計画・介入: 大発作では酸素投与(SpO2 94%以上を目標)、β2刺激薬の吸入(スペーサー使用)、ステロイド薬の全身投与(点滴または内服)を医師に報告し準備。体位は
ファウラー位または座位で呼吸補助を促進。
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評価: 治療開始後のSpO2の改善、呼吸数の減少、会話の改善を確認。
暗記のコツ: 「
小(軽度)→普通の会話、中(中等度)→短い文、大(重度)→単語のみ」と会話の状態で覚えましょう。SpO2は「軽度96以上、中等度91-95、重度90以下」とセットで暗記。
国試頻出ポイント: 事例問題で「苦しくて眠れない」「途切れ途切れに話す」という文言が出たら、ほぼ確実に「大発作」を選ぶ問題です。SpO2が中発作の範囲(92%)でも、呼吸困難の程度が強い場合は大発作と判断するケースがあります。
出題パターン注意!: 「小児喘息発作の重症度分類」は、直接的な知識問題としても出題されますが、近年は「A君の状態から適切な看護介入を選ぶ」といった状況設定問題に発展します。例えば「酸素投与の準備」「医師への報告内容」「使用する薬剤の準備」など、次の行動を問われることも多いです。