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一般・状況設定問題
グラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉によるAさんの意識レベルの評価はどれか。
Aさん(53歳、女性)は休日に公園を散歩中、階段から落ちて頭部を強打し、意識を消失した状態で病院に救急搬送された。病院到着時のAさんは開眼せず、声は発しているが理解不能である。痛み刺激には逃れようとする動作がみられる。
-
1
E1V1M2
-
2
E1V2M4
✓ 正解
-
3
E2V2M2
-
4
E4 V5 M5
解説
GCSの評価:開眼せず=E1(Eye:1)、声は発しているが理解不能(意味のない発声)=V2(Verbal:2)、痛み刺激から逃れようとする(逃避)=M4(Motor:4)。したがってE1V2M4となります。
同じテーマの次の問題インシデントレポートについて適切なのはどれか。2つ選べ。この問題が収録された問題集【合格ライン突破】 過去問5年分 本気の実戦問題KRW 20,000
核心解説
この問題は、グラスゴー・コーマ・スケール (Glasgow Coma Scale, GCS) を用いた意識レベルの評価方法を問うています。GCSは「開眼 (E)」「言語 (V)」「運動 (M)」の3つの反応をそれぞれ評価し、点数化する世界標準の意識評価ツールです。点数が低いほど意識障害が重度であることを示します。この事例では、Aさんの観察所見を各項目に正確に当てはめる力が求められます。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は ② E1V2M4 です。それぞれの評価は以下の通りです。
- 開眼 (E) : 1点 → 「開眼せず」とあるため、自発的にも刺激に対しても全く開眼しません。これは E1 です。
- 言語 (V) : 2点 → 「声は発しているが理解不能」とあります。これは意味のある会話ができず、意味のない発声 (Inappropriate words) やうめき声 (Incomprehensible sounds) の状態です。完全な無反応 (V1) ではなく、発声があるため V2 となります。
- 運動 (M) : 4点 → 「痛み刺激には逃れようとする動作がみられる」とあります。これは痛み刺激に対して、目的を持って刺激を取り除こうとする反応 (Withdrawal / Flexion withdrawal) であり、M4 です。混同注意! 異常屈曲 (Decorticate posture / M3) や伸展反応 (Decerebrate posture / M2) とは異なります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
- 混同注意! ① E1V1M2: 言語がV1(無反応)と運動がM2(除脳硬直)という評価です。問題文では「声を発している」ことからV1は誤りです。また、「逃れようとする動作」はM2の異常伸展とは全く異なります。
- 混同注意! ③ E2V2M2: 開眼がE2(痛み刺激で開眼)という評価です。問題文では「開眼せず」と明記されているため、痛み刺激に対する反応も含めて全く開眼しないE1が正しいです。運動反応もM2(除脳硬直)と誤って評価しています。
- ④ E4 V5 M5: これは 正常または清明な状態 を表す最高得点 (15点) です。問題文のAさんの状態(開眼せず、発語は理解不能)とは明らかに矛盾します。
概念整理
GCSの各評価項目とスコア(3~15点)は以下の通りです。
| 項目 | スコア | 反応 |
| 開眼 (E) | 4 | 自発的に開眼 (Spontaneous) |
| 3 | 呼びかけで開眼 (To speech) |
| 2 | 痛み刺激で開眼 (To pain) |
| 1 | 開眼せず (None) |
| 言語 (V) | 5 | 見当識あり (Oriented) |
| 4 | 混乱 (Confused) |
| 3 | 不適切な発語 (Inappropriate words) |
| 2 | 理解不能な発声 (Incomprehensible sounds) |
| 1 | 無反応 (None) |
| 運動 (M) | 6 | 命令に従う (Obeys commands) |
| 5 | 痛み刺激の局在 (Localizes pain) |
| 4 | 逃避反応 (Withdrawal from pain) |
| 3 | 異常屈曲 (Decorticate posture) |
| 2 | 異常伸展 (Decerebrate posture) |
| 1 | 無反応 (None) |
一目で比較!
GCSで最も混同しやすいのは、運動 (M) スコア の「M4: 逃避反応」と「M5: 局在反応」です。
- M5 (Localizes): 痛み刺激部位を特定し、手で払いのけようとするなど、より目的的な反応。
- M4 (Withdrawal): 刺激から逃れようとする漠然とした屈曲反応で、部位の特定まではしない。
問題文の「逃れようとする動作」は、刺激を特定して払うのではなく、単に身をよじるような反応であるため、M4と判断するのが適切です。
看護過程ポイント
- アセスメント: GCSは意識レベルの経時的変化を評価するために用います。単独の点数だけでなく、各項目(E, V, M)の内訳の変化を評価することが重要です。例えば、同じ8点でも「E2V3M3」と「E1V2M5」では病態が異なる可能性があります。
- 看護診断 (Nursing Diagnosis): 「非効果的脳組織灌流 (Ineffective Cerebral Tissue Perfusion)」や「外傷のリスク状態 (Risk for Injury)」が関連します。
- 計画・実施: 意識レベルが低下している患者では、気道確保、呼吸・循環のモニタリング、バイタルサイン測定を優先します。GCS評価は、これらの観察項目の一部としてルーチンで行います。
暗記のコツ
GCSの点数は「高いほど良い(正常)」と覚えましょう。
- 最高得点: E4 V5 M6 = 15点 (清明)
- 最低得点: E1 V1 M1 = 3点 (深昏睡)
特に運動スコアの「6→命令に従う」「5→痛みを局在」「4→逃避」は数字が1つ下がるごとに反応が原始的になる、とイメージすると覚えやすいです。
国試頻出ポイント
GCSは必修問題および成人看護学(脳神経系)で頻出です。以下のパターンで出題されます。
1. 事例文からGCSの点数を計算させる問題(本問のような基本形)。
2. GCSの点数から意識障害の重症度を判断させる問題。
3. GCSの経時的変化(改善 or 悪化)から、治療効果や合併症(頭蓋内圧亢進など)をアセスメントさせる問題。
出題パターン注意!
最近の国家試験では、単なる知識問題から 「GCSが8点の患者が、翌朝E3V4M5に改善した。この評価から何が推測できるか」 のような、点数変化の臨床的意味を問う応用問題が増えています。単に数字を覚えるだけでなく、各反応がどのような病態(脳幹機能、大脳皮質機能など)を反映しているのか を理解しておくことが重要です。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)救命救急センターの夜勤帯。頭部外傷で救急搬送された70代男性の患者さんが、先ほどまで痛み刺激に開眼していましたが(E2)、再度評価したところ、痛み刺激にも全く開眼しなくなりました(E1)。瞳孔不同(Anisocoria)も出現しています。あなたは担当看護師です。どう動きますか?
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)このような状況は、最重要! 頭蓋内圧亢進 (Increased Intracranial Pressure, IICP) や脳ヘルニア (Brain Herniation) の前兆である可能性が極めて高いです。1. 即時報告 (SBAR): 「AさんのGCSがE2V3M5からE1V2M4に低下しました。瞳孔不同も認めます。緊急の頭部CTと医師の評価が必要です。」と直ちに医師へ報告します。2. モニタリング強化: バイタルサイン(特に血圧上昇、徐脈、呼吸不整 = Cushing現象の3徴)とSpO2を連続監視します。3. 気道確保と体位管理: 意識レベル低下により気道閉塞のリスクが高まるため、必要に応じて気道確保(顎先挙上法や経鼻エアウェイなど)を行います。また、頭部を正中位に保ち、30度挙上することで静脈還流を促進し、頭蓋内圧上昇を抑制します。4. 急変対応準備: 挿管セット、吸引器、除細動器の確認と準備を速やかに行います。患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)- 最重要! 意識障害患者の評価で最も重要なのは 「経時的変化」 です。一見安定していても、GCSが2~3点低下した場合は、直ちに医師に報告する必要があります(報告基準)。- GCS評価の際は、痛み刺激の与え方に注意します。爪床圧迫(Nail bed pressure)や胸骨圧迫(Sternal rub)が用いられますが、評価者によって刺激の強さが異なるため、チーム内で統一した方法で行うことが推奨されます。
看護プロトコル- 観察項目: GCS(E, V, Mの内訳)、瞳孔の大きさ・対光反射、バイタルサイン、麻痺の有無。- 報告基準 (SBAR): GCSの点数変化(特に低下)、瞳孔所見の変化、バイタルサインの異常(Cushing現象)を伝える。- 記録: 評価した時刻と具体的な刺激方法、患者の反応を客観的に記録する(例:「12:00 痛み刺激にて開眼せず。発声なく。痛み刺激にて逃避反応あり。GCS: E1V1M4」)。
先輩看護師の一言「GCSは患者さんの脳の状態を映す鏡です。特に『変わり目』を見逃さないことが看護師の腕の見せ所!国試では点数を計算する問題が基本ですが、現場では『Eが下がった』『Vが下がった』という一つの変化に気づくことが、患者さんの命を救う第一歩になります。数値だけでなく、患者さんの全身状態と合わせてアセスメントする力を養ってくださいね!」
- グラスゴー・コーマ・スケール — 意識障害の重症度を評価する国際的な指標。開眼 (E)、言語 (V)、運動 (M) の3項目を評価し、3点(最重症)から15点(正常)で表す。救急・急性期の神経学的評価の基本。
- 開眼 (Eye Opening) — GCSの評価項目の一つ。自発開眼 (E4)、呼びかけ (E3)、痛み (E2)、なし (E1) の4段階で評価する。脳幹網様体賦活系の機能を反映する。
- 逃避反応 — GCSの運動スコア M4。痛み刺激から逃れようとする漠然とした屈曲反応。目的的な局在反応 (M5) よりも原始的な反応であり、脊髄反射やより低次の脳機能を反映する。
- 意識消失 (Loss of Consciousness) — 外界からの刺激に対する反応が一時的または持続的に消失した状態。頭部外傷後には一過性の意識消失(脳振盪)から遷延性意識障害まで様々な重症度がある。
- Cushing現象 (Cushing Reflex) — 頭蓋内圧が著しく上昇した際に出現する生体反応。血圧上昇(特に収縮期血圧)、徐脈、呼吸不整(チェーンストークス呼吸など)の3徴が特徴。緊急の脳ヘルニア発症の前兆である。
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