核心解説
この問題は、
高齢者の生理的変化を理解しているかを問う、基礎看護学・老年看護学の頻出テーマです。加齢に伴い、各臓器の機能は低下しますが、すべての検査値が上昇するわけではありません。「なぜ高くなるのか」という病態生理的根拠を押さえることが重要です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
1.
尿素窒素 (BUN):
加齢による腎機能低下(特に糸球体濾過量 (GFR) の減少)により、体内の老廃物である尿素窒素が尿中に十分排泄されず、血液中に蓄積するため高値になります。
2.
食後血糖値: 加齢に伴い、
インスリン分泌能の低下や
インスリン感受性の低下(インスリン抵抗性)が生じます。これにより、食後の血糖を正常範囲内に下げる力が弱まり、食後高血糖を認めやすくなります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ③番の白血球数は、加齢で有意に上昇することはなく、感染など病的状態で上昇します。①番の血小板数も加齢による大きな変化はありません。⑤番のAST(GOT)は肝機能を示す指標ですが、加齢による生理的上昇は認められず、肝障害など病的状態で上昇します。
関連概念の整理 (Related Concepts)
高齢者で上昇するその他の代表的な検査値として、
クレアチニン (Cre)(腎機能低下)、
HbA1c(血糖コントロール指標、基準値がやや高めに設定されることもある)、
脳性ナトリウム利尿ペプチド (BNP)(心機能低下)があります。一方、低下するものとして、
アルブミン (Alb)(栄養状態・肝合成能低下)、
ヘモグロビン (Hb)(造血能低下)などがあります。
概念整理:
高齢者の生理的老化に伴う変化を理解する。特に腎機能(BUN, Cre)と糖代謝(血糖値, HbA1c)は加齢の影響を受けやすい。
一目で比較!:
| 項目 | 加齢による変化 | 主な理由 |
|---|
| 尿素窒素 (BUN) | 上昇 | 腎糸球体濾過量 (GFR) 低下 |
| 食後血糖値 | 上昇 | インスリン分泌能・感受性低下 |
| 白血球数 | 不変 or やや低下 | 免疫能低下による変化はあるが上昇はしない |
| AST(GOT) | 不変 | 肝細胞障害がない限り上昇しない |
看護過程ポイント: アセスメントでは「加齢による生理的変化」なのか「病的状態」なのかを見極める。例えば、BUNが高くてもクレアチニンが正常範囲であれば、脱水や食事性の影響も考慮する。看護計画では、高齢者の検査値異常に対して、生活習慣(食事内容・水分摂取量)や服薬状況の評価を含める。
暗記のコツ: 「腎機能低下=BUN上昇」「耐糖能低下=食後血糖上昇」とセットで覚えましょう。逆に、加齢で「下がるもの」は「アルブミン(栄養)」「ヘモグロビン(造血)」と覚えると整理しやすいです。
国試頻出ポイント: 高齢者の生理的変化と検査値の関連は毎年出題されるテーマです。「高齢者では正常範囲も変わる」という視点(例:高齢者のクレアチニンは筋肉量減少により低く出るため、一見正常でも実は腎機能が低下している)を問う問題もよく出ます。
出題パターン注意!: 単純な知識問題から、「高齢糖尿病患者の食後高血糖への看護介入」といった事例問題へ発展します。この場合、
食後血糖値を下げるための食事指導(食物繊維の摂取、食べる順番)や
低血糖予防まで考慮した看護計画を立てる必要があります。