核心解説
この問題は、
関節の運動 (Joint Movement) の基本用語とその定義の正しい組合せを問うています。関節運動の名称は、解剖学的な基準面(矢状面・前頭面・水平面)と、体の正中線(中心軸)に対する方向性で定義されます。看護師国家試験では、体位変換や関節可動域訓練(ROM訓練)の指示を理解する上で必須の知識です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
選択肢②
「外転 ―― 手足が体の中心軸から遠ざかる動き」 が正解です。
最重要! 外転 (Abduction) とは、解剖学的正位(立位で手掌を前方に向けた姿勢)を基準に、
四肢を体の正中線(中心軸)から外側へ遠ざける運動を指します。例えば、腕を横に上げる(肩関節外転)や、脚を横に開く(股関節外転)動作が該当します。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①番
混同注意! 「屈曲 (Flexion)」は関節の角度を小さくする(曲げる)動きです。関節の角度を大きくする(伸ばす)動きは「伸展 (Extension)」であり、定義が逆転しています。
③番 「内旋 (Internal Rotation / Medial Rotation)」は、腕や脚を内側(体の中心に向かう方向)に回す動きです。外側に回す動きは「外旋 (External Rotation / Lateral Rotation)」です。定義が逆転しています。
④番 「回外 (Supination)」は、前腕を回して
手のひらを上(前方)に向ける動きです。手のひらを下(後方)に向ける動きは「回内 (Pronation)」です。定義が逆転しています。
関連概念の整理 (Related Concepts)
関節運動の理解には、
解剖学的正位 (Anatomical Position) の理解が不可欠です。手掌が前方を向いた状態を基準に、運動方向を定義します。また、同じ「回す」動作でも、「回旋 (Rotation)」と「回外/回内 (Supination/Pronation)」は異なる運動軸で起こるため、混同しないようにしましょう。
概念整理: 関節の基本運動6つ(屈曲/伸展、外転/内転、回旋、回外/回内、外反/内反、挙上/下制)は、看護技術の基本(体位変換、移乗動作、ROM訓練)の理解に直結します。特に「外転」と「内転」は、体の正中線を基準とする対の運動です。
一目で比較!:
| 運動 | 定義(基準:解剖学的正位) | 具体例 |
|---|
| 屈曲 (Flexion) | 関節角度を小さくする(曲げる) | 肘を曲げる、膝を曲げる |
| 伸展 (Extension) | 関節角度を大きくする(伸ばす) | 肘を伸ばす、膝を伸ばす |
| 外転 (Abduction) | 正中線から遠ざける | 腕を横に上げる、脚を開く |
| 内転 (Adduction) | 正中線に近づける | 腕を体側に戻す、脚を閉じる |
| 回旋 (Rotation) | 長軸を中心に回す | 首を回す(内旋/外旋) |
| 回外 (Supination) | 前腕を回し手のひらを上に | スープのスープ皿を持つ動作 |
| 回内 (Pronation) | 前腕を回し手のひらを下に | 手のひらを机に置く動作 |
看護過程ポイント:
関節可動域訓練 (Range of Motion Exercise, ROM訓練)の計画立案時には、患者の関節がどの方向にどの程度動くか(他動的・自動的)をアセスメントし、運動制限の原因(筋力低下、拘縮、疼痛など)を明確にします。看護診断としては「活動耐性低下 (Activity Intolerance)」や「身体可動性障害 (Impaired Physical Mobility)」が関連します。
暗記のコツ: 「外転(Abduction)」は「Ab-(離れて)」+「duction(導く)」=「中心から遠ざける」。「内転(Adduction)」は「Ad-(向かって)」+「duction(導く)」=「中心に向かって導く」と覚えましょう。「回外(Supination)」は、スープ(Soup)をすくうとき手のひらが上を向く、と連想すると覚えやすいです。
国試頻出ポイント: 関節運動の定義は、単純な知識問題としてだけでなく、リハビリテーション看護や整形外科看護の事例問題の中で、「この患者の可動域制限を評価するための用語はどれか」といった形で出題されます。特に、肩関節(外転・内転・屈曲・伸展・回旋)と股関節の運動方向を、具体例と共に正しく理解しておくことが重要です。
出題パターン注意!: 「関節運動の定義」は過去に頻出のテーマです。近年は、リハビリテーションの指示書や看護記録に記載された運動用語(例:「肩関節外転45度」「膝関節屈曲拘縮」)の意味を問う形で出題されることが増えています。定義を正確に覚え、解剖学的なイメージと結びつけましょう。