核心解説
この問題は、
災害医療体制 (Disaster Medical System)の基本的な法規と実務を問うものです。災害時には、医療資源が限られる中で、いかに効率的かつ公平に医療を提供するかが課題となります。
最重要! 日本の災害医療体制は、
災害対策基本法 (Disaster Countermeasures Basic Act)を根拠として、国・都道府県・市町村がそれぞれ防災計画を策定し、関係機関が連携して対応する仕組みになっています。この法律に基づき、各行政機関は防災会議を設置し、防災基本計画および地域防災計画を作成することが義務付けられています。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! ②番が正解です。
災害対策基本法 (Disaster Countermeasures Basic Act)第2条および第34条~第42条において、国(中央防災会議)は「防災基本計画」、都道府県および市町村は「地域防災計画」を作成することが規定されています。この計画には、災害予防、災害応急対策、災害復旧・復興の各段階における具体的な措置が盛り込まれます。看護師は、所属施設の防災計画を理解し、災害発生時の自身の役割を把握しておくことが求められます。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
①
混同注意! 地域災害拠点病院(災害拠点病院)は、
都道府県が指定します(医療法第30条の4)。市町村が指定するものではありません。市町村は地域防災計画の策定などが主な役割です。
③
混同注意! トリアージ (Triage) は、限られた医療資源を有効活用するために、患者の重症度に応じて治療の優先順位を決定するものです。救命困難な患者(黒タグ)は、優先順位が最も低くなり、軽症(緑タグ)や中等症(黄タグ)、重症(赤タグ)の患者への治療を優先します。救命困難な患者の治療を優先するというのは、トリアージの理念に反します。
④ DMAT(Disaster Medical Assistance Team)は、
急性期(発災後48時間以内)の医療活動を専門とし、災害現場での救命医療や病院支援を行います。被災地域の精神科医療および精神保健活動を専門的に行うのは、
DPAT(Disaster Psychiatric Assistance Team)(災害派遣精神医療チーム)です。
関連概念の整理 (Related Concepts): 災害医療体制に関連する主な組織を整理しておきましょう。
| 組織 | 活動内容 | 活動時期 |
|---|
| DMAT (災害派遣医療チーム) | 急性期の救命医療、病院支援、広域医療搬送 | 発災後48時間以内 |
| DPAT (災害派遣精神医療チーム) | 被災者の精神科医療、精神保健活動、支援者へのケア | 急性期後~中長期 |
| JMAT (日本医師会災害医療チーム) | 慢性期の地域医療、避難所支援、生活支援 | 急性期後~中長期 |
概念整理:
災害対策基本法は、防災計画の策定、災害対策本部の設置、災害救助法との連携など、災害対応の基本枠組みを定める法律です。
トリアージは、
START方式(Simple Triage and Rapid Treatment)が一般的で、呼吸、循環、意識レベルを指標に、赤(最優先治療)・黄(待機可能)・緑(軽症)・黒(死亡/救命困難)に分類します。
一目で比較!:
混同注意! 災害医療チームの役割を混同しやすいです。
看護過程ポイント: 災害時の看護過程は、アセスメント(被災状況・健康リスク)、看護診断(外傷・ストレス関連障害)、計画(トリアージ・避難所運営)、実施(応急処置・健康管理)、評価(被災者の状態変化)からなります。
暗記のコツ: DMATは「
Doctor car(ドクターカー)」、DPATは「
Psycho(心理)」、JMATは「
Japan(日本医師会)」と覚えると良いでしょう。
国試頻出ポイント: 災害医療では、「
トリアージ」の優先順位、「
災害拠点病院」の指定主体(都道府県)、「
DMAT」と「
DPAT」の活動時期と役割の違いが頻出です。特に、DMATが急性期、DPATが精神科というセットで覚えましょう。
出題パターン注意!: 単純な知識問題に加えて、「地震発生直後、多数の傷病者が搬送されてきた。看護師が最初に行うべきことは?」のような状況設定問題で、トリアージや災害対策本部の設置判断が問われることもあります。