仰臥位で手術を受けた患者が術後に上肢の薬指と小指のしびれを訴えた。しびれの原因として考えられるのはどれか。 | MyMerci
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一般・状況設定問題
問題

仰臥位で手術を受けた患者が術後に上肢の薬指と小指のしびれを訴えた。しびれの原因として考えられるのはどれか。

解説
薬指と小指のしびれは「尺骨神経麻痺」の症状です。仰臥位手術において、腕を体側に固定する際に「前腕を回内(手のひらを下)」にして圧迫されると尺骨神経麻痺を起こしやすいため、回外または中間位を保ちます。
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詳細解説

核心解説 この問題は、手術中の体位に起因する神経障害(体位性神経麻痺)を問うています。特に、仰臥位手術 (Supine Position Surgery) における上肢のポジショニングが不適切であると、尺骨神経 (Ulnar Nerve) が圧迫され、薬指と小指の領域にしびれや運動障害が生じることがあります。これは、手術室看護師の重要な観察項目と予防的介入の一つです。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): この問題の核心は、尺骨神経 (Ulnar Nerve) の解剖学的走行と、手術体位による圧迫リスクです。尺骨神経は、腕神経叢の内側束から分岐し、上腕の内側、肘関節内側の尺骨神経溝(いわゆる「ラブボーン」)を通り、前腕の尺側(小指側)を走行して手部へ至ります。この神経は、肘の内側と手首の小指側(ギヨン管)で非常に表層を走行するため、圧迫損傷を受けやすい神経として知られています。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): 正解は ② 前腕の回内 です。仰臥位で手術を受ける際、上肢を体側に固定する場合、前腕を回内位(手掌を下に向けた状態)で固定すると、肘の内側にある尺骨神経溝の位置がベッドや固定具に直接接触しやすくなります。この状態が長時間続くと、尺骨神経が持続的に圧迫され、虚血性神経障害が発生します。その結果、尺骨神経支配領域である薬指と小指にしびれや感覚障害が出現します。最重要! 術中の上肢固定は、前腕を回外位(手掌を上に向ける)または中間位(母指が上を向く)で固定することで、尺骨神経への圧迫を予防します。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis): - 混同注意! ① 頸部の伸展: 頸部の過伸展や側屈は、腕神経叢(Brachial Plexus)全体を牽引し、神経障害を引き起こす可能性がありますが、その症状はより広範囲に及びます。薬指と小指の限局した症状は尺骨神経障害が典型的であり、頸部伸展は直接的な原因とはなりにくいです。 - ③ 肩関節の内旋: 肩関節の過度な内旋や外転も腕神経叢への牽引や圧迫のリスクですが、こちらも症状がより広範囲または肩周囲に出現することが多いです。尺骨神経単独の症状を特異的に引き起こすメカニズムとしては、前腕の回内がより直接的です。 - ④ 肘関節の伸展: 肘関節の過伸展は、肘関節前面の正中神経や血管に影響を与える可能性がありますが、尺骨神経への影響は伸展よりも、むしろ肘関節の屈曲位や、前述の前腕回内による圧迫の方が直接的です。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts): 手術体位による神経障害は、他の部位でも重要です。腓骨神経麻痺 (Common Peroneal Nerve Palsy) は、截石位や側臥位で腓骨頭部(膝の外側)が圧迫されて生じ、足関節の背屈障害(下垂足)を来たします。腕神経叢麻痺 (Brachial Plexus Injury) は、トレンデレンブルグ体位での肩枕や、上肢の過外転によって生じることがあります。これらの発生機序を解剖学的に理解しておくことが、看護師国家試験対策として重要です。
概念整理: 尺骨神経麻痺 (Ulnar Nerve Palsy) の発生機序。仰臥位 + 前腕回内位による肘部尺骨神経溝の圧迫。症状は薬指と小指のしびれ、感覚鈍麻、運動障害(手指の分離運動障害、鷲手変形)。
一目で比較!:
神経好発圧迫部位原因となる体位主な症状
尺骨神経肘内側(尺骨神経溝)仰臥位 + 前腕回内位薬指・小指のしびれ
正中神経手関節(手根管)過度の手関節屈曲位母指~中指のしびれ(手根管症候群)
橈骨神経上腕外側(筋間中隔)側臥位での上腕圧迫下垂手、前腕伸側の感覚鈍麻

看護過程ポイント: - アセスメント: 手術中の固定方法(前腕の肢位、固定具の位置)、手術時間、術後の患者の訴え(しびれ、痛みの部位)。 - 看護診断: 末梢神経血管機能不全のリスク (Risk for Peripheral Neurovascular Dysfunction)。 - 計画・実施: 術後は、該当部位の感覚(触覚、痛覚)、運動(手指の伸展・屈曲)、循環(毛細血管再充満時間、皮膚色、腫脹)を定期的に観察する。しびれが出現した場合は、ポジショニングを調整し、医師へ報告する。 - 評価: しびれの改善度、神経障害の進行の有無。
暗記のコツ: 「尺骨=肘の内側=薬指・小指」と「仰臥位の前腕は回外(手のひら上向き)で守る」をセットで覚えましょう。尺骨神経は「肘を曲げた時にぶつけるラブボーン(肘頭)」のすぐ内側を走っているイメージです。
国試頻出ポイント: 手術体位と神経障害の組み合わせは頻出です。特に「仰臥位」「截石位」「側臥位」の3体位と「尺骨神経」「腓骨神経」「腕神経叢」の3つの神経損傷はセットで押さえておきましょう。
出題パターン注意!: 事例問題として「術後、患者が指のしびれを訴えた。看護師の最初の対応は?」のように発展します。単に原因を特定するだけでなく、アセスメント項目や介入方法を問われることも多いです。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 60代女性、全身麻酔下での腹腔鏡下胆嚢摘出術。手術時間は2時間30分。麻酔覚醒後、患者が「左手の薬指と小指がしびれて感覚が鈍い」と訴えました。上肢の固定は、両側とも体側に前腕を回内位にして固定されていました。
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 観察とアセスメント: まず、患者のしびれの範囲(薬指・小指のみか)、程度、運動障害(手指の開閉、母指と小指で「OK」サインができるか)を確認します。同時に、固定されていた側の肘内側に発赤や腫脹がないか、皮膚の状態を観察します。 2. 介入: 最重要! 直ちに前腕の肢位を回内位から回外位(または中間位)に変更し、肘の内側に柔らかいタオルやスポンジを当てて圧迫を解除します。医師へSBAR(Situation: 術後に薬指・小指のしびれ出現、Background: 仰臥位・前腕回内位で固定、Assessment: 尺骨神経圧迫の可能性、Recommendation: ポジショニング調整と経過観察の指示)で報告します。 3. 経過観察: 30分〜1時間ごとにしびれの変化を再評価します。多くの場合は圧迫解除により症状は改善しますが、症状が持続・増悪する場合や、運動障害が出現する場合は、神経内科や整形外科へのコンサルテーションが必要となる可能性があります。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): - 手術室看護師は、術中のポジショニング時に尺骨神経への圧迫を予防するため、前腕を回外位または中間位で固定することを標準プロトコルとします。 - 術後は、麻酔から覚醒した患者が初めて訴える「しびれ」や「痛み」は、体位性神経障害のサインである可能性が高いため、軽視せずに確実にアセスメントしましょう。 - 両側性のしびれや、高位脊髄損傷が疑われる症状(四肢麻痺など)は、より緊急性の高い病態の可能性があります(鑑別診断が重要)。
先輩看護師の一言: 「手術室で患者さんの腕を固定するとき、『この位置で尺骨神経が圧迫されていないかな?』と常に意識することが大切です。たった数時間の手術でも、術後の患者さんのQOLを大きく左右することがあります。術後の小さな訴えも、『なぜ』という視点で捉えられる看護師になりましょう!」

重要概念

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