核心解説
この問題は、
三点歩行 (Three-point Gait)における歩行補助具(杖)の適切な初期位置を問うています。三点歩行は、一側下肢に荷重制限がある患者(例えば、片足に軽度の筋力低下や疼痛がある場合)に用いられる歩行パターンで、「両杖 + 患側下肢 → 健側下肢」の順に重心移動を行います。ここで最も重要なのは、
支持基底面 (Base of Support) を広く確保し、転倒を予防することです。歩き始めに杖を前方外側に出すことで、重心が安定し、健側へのスムーズな体重移動が可能になります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
本症例では、右下肢に軽度の筋力低下があるため、右側が患側、左側が健側となります。杖は健側(左手)に持ちます。三点歩行の開始時は、まず両方の杖を
最重要! 健側(左側)の前方外側に同時に出すことで、支持基底面を広くとり、体幹を安定させます。この位置(図のA)は、次に患側(右下肢)を杖と同じ高さまで前方に振り出すための準備として最適です。これにより、
安定した歩行パターンを実現できます。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
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混同注意! ②番(図のB:患側(右側)の前方外側):杖を患側の前方外側に出すと、支持基底面が健側に偏り、体幹が患側へ傾きやすくなります。また、歩行の順序(両杖→患側→健側)に従うと、次に患側を出す際に杖と干渉し、バランスを崩しやすいため不適切です。
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混同注意! ③番(図のC:健側(左側)の真横):真横に杖を置くと、前方への支持基底面が狭く、前方への重心移動が不安定になります。歩行開始時に前方へ体重移動するためには、杖を前方に出す必要があります。
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混同注意! ④番(図のD:患側(右側)の真横):患側の真横に杖を置くと、バランスが悪く、患側への荷重を強いてしまう可能性があり、筋力低下のある患側に負担がかかり、転倒リスクが高まります。
関連概念の整理 (Related Concepts)
三点歩行と似た歩行パターンとして、
二点歩行 (Two-point Gait)(杖と反対側の足を同時に出す)や
四点歩行 (Four-point Gait)(右杖→左足→左杖→右足の順)があります。混同しやすいので、それぞれの適応(例:四点歩行は両側下肢に問題がある場合、二点歩行は軽度の片側障害でより速い歩行が必要な場合)を押さえておきましょう。
概念整理: 三点歩行は、非荷重または部分荷重の患側がある患者に用いる。歩行の順序は「両杖(+患側) → 健側」であり、まず支持基底面を確保するために杖を前方外側に出す。
一目で比較!:
| 歩行パターン | 適応 | 歩行順序 | 特徴 |
|---|
| 三点歩行 | 片側下肢の非荷重~部分荷重 | 両杖+患側 → 健側 | 最も安定、やや低速 |
| 二点歩行 | 両側軽度障害 or 片側障害のより速い歩行 | 右杖+左足 → 左杖+右足 | 自然歩行に近い |
| 四点歩行 | 両側下肢の重度障害、協調運動障害 | 右杖 → 左足 → 左杖 → 右足 | 最も低速だが安定性高い |
看護過程ポイント:
アセスメント:筋力・バランス・持久力・歩行パターンを観察。歩行前に患者の転倒リスク評価(例:Timed Up and Go test)を実施。
計画・実施:杖の高さ調整(大転子の高さが目安)、適切な歩行順序の指導、安全な環境(床の滑り止め、障害物除去)の確保。
評価:歩行時の疼痛の有無、バランスの安定性、歩行速度、転倒の有無を確認。
暗記のコツ: 「杖は元気な方(健側)の手に持ち、患側と一緒に出す」と覚えましょう。そして「まずは杖を前に出して、地面にしっかり支えを作る」イメージです。
国試頻出ポイント: 三点歩行は、杖の位置(前方外側)、歩行の順序、適応(片側下肢の問題)が頻出です。図と組み合わせて、どの位置が健側か患側かを判断する問題がよく出ます。
出題パターン注意!: 単純な知識問題に加えて、「患者が退院後に自宅で安全に歩行するための指導」など、状況設定問題に発展します。杖の高さや転倒予防策も併せて学習しましょう。