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一般・状況設定問題
肥大型心筋症について正しいのはどれか。
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1
ウイルス感染が主な病因である。
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2
拡張障害が問題となる。
✓ 正解
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3
左室内腔は拡大する。
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4
弁膜に肥厚を認める。
解説
肥大型心筋症は、心筋が異常に肥厚する疾患で、心室壁が硬くなるため拡張期に十分な血液を貯めることができない「拡張障害」が主な問題となります。左室内腔はむしろ狭小化します。
同じテーマの次の問題インシデントレポートについて適切なのはどれか。2つ選べ。この問題が収録された問題集【合格ライン突破】 過去問5年分 本気の実戦問題KRW 20,000
核心解説
この問題は、肥大型心筋症 (Hypertrophic Cardiomyopathy, HCM)の病態生理と特徴を正確に理解しているかを問うています。肥大型心筋症は、心室中隔を中心に心筋が異常に肥厚(肥大)する疾患で、その結果として心室壁のコンプライアンス(伸展性)が低下し、拡張期に心室が十分に血液で満たされなくなる「拡張障害 (Diastolic Dysfunction)」が主な病態となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
②番の「拡張障害が問題となる」が正解です。
肥大型心筋症では、肥厚した硬い心筋によって心室の拡張が妨げられます。そのため、心拍出量 (Cardiac Output) の低下や肺うっ血などの症状が出現します。この病態は「拡張不全 (Diastolic Heart Failure)」とも呼ばれ、収縮力自体は保たれていることが多い点が特徴です。
最重要! 肥大型心筋症における心不全症状は、主にこの拡張障害によるものです。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①「ウイルス感染が主な病因である」→ 混同注意! ウイルス感染が主な病因となるのは拡張型心筋症 (Dilated Cardiomyopathy)の一部であり、肥大型心筋症の主な病因は常染色体優性遺伝(サルコメア蛋白の遺伝子変異)です。
③「左室内腔は拡大する」→ 混同注意! 肥大型心筋症では心室壁が肥厚するため、左室内腔はむしろ狭小化(縮小)します。左室内腔が拡大するのは拡張型心筋症 (Dilated Cardiomyopathy)の特徴です。
④「弁膜に肥厚を認める」→ 弁膜の肥厚は、弁膜症 (Valvular Heart Disease)、特にリウマチ性弁膜症などで見られる所見であり、肥大型心筋症の直接的な病変部位は心筋(心臓の筋肉)です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
| 特徴 | 肥大型心筋症 (HCM) | 拡張型心筋症 (DCM) |
| 主な病態 | 拡張障害 (Diastolic Dysfunction) | 収縮障害 (Systolic Dysfunction) |
| 心室壁 | 肥厚 (Hypertrophy) | 非薄化 (Thinning) |
| 心室腔 | 狭小化 (Narrowing) | 拡大 (Dilation) |
| 主な症状 | 労作時呼吸困難、失神、胸痛 | 全身性うっ血、低心拍出症状 |
| 主な病因 | 遺伝性 (Genetic) | 特発性、ウイルス感染後、アルコールなど |
概念整理: 肥大型心筋症は「心筋の異常な肥厚」→「心室壁の硬化」→「拡張障害(血液を取り込めない)」という病態連鎖が核心です。心拍出量を維持するためには、心拍数を保つこと(徐脈は心拍出量を減少させる)と、十分な前負荷(循環血液量)の確保が重要となります。
一目で比較!: 肥大型心筋症(壁:厚い、腔:狭い、問題:拡張) vs 拡張型心筋症(壁:薄い、腔:広い、問題:収縮)。「肥」は「肉厚で中身が詰まっている」、「拡」は「肉が薄くて風船のように膨らんでいる」とイメージすると覚えやすいです。
看護過程ポイント: アセスメント:バイタルサイン(特に脈拍・血圧)、呼吸音(うっ血の有無)、疲労感・失神の有無。肺うっ血の徴候(呼吸困難、起坐呼吸、ラ音)に注意。看護介入:安静の確保(心筋酸素消費量の軽減)、β遮断薬やCa拮抗薬の服薬指導(拡張能改善と心拍数コントロール)、急変時の対応準備(心室性不整脈による突然死リスク有)。
暗記のコツ: 「肥大型は『厚くて固くて広がらない』。まるで凍ったスポンジ。水を吸収(拡張)できないので、心拍出量が落ちる。」「拡張型は『薄くてペラペラで縮まない』。まるで伸びきったゴム風船。収縮(縮む)力が弱い。」
国試頻出ポイント: 肥大型心筋症と拡張型心筋症の比較問題は毎年と言って良いほど頻出です。心エコー図の所見(壁の厚さ、腔の大きさ)や、心不全のタイプ(拡張不全か収縮不全か)をセットで問われることが多いです。また、肥大型心筋症における突然死予防のための植込み型除細動器(ICD)に関する問題も増えています。
出題パターン注意!: 近年は、単純な知識問題だけでなく、「労作時失神で来院した若年男性」のような事例問題で、鑑別診断として肥大型心筋症を挙げさせる問題や、運動制限(競技スポーツ禁止など)の理由を問う応用問題が出題されています。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)30代男性。健康診断の心電図で異常(巨大陰性T波)を指摘され、精査の結果、肥大型心筋症と診断されました。自覚症状はほとんどありませんが、医師から「激しい運動は避けるように」と指導を受けています。患者さんから「なぜ運動をしてはいけないのですか?症状がないのに。」と質問がありました。看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)- 1観察患者さんの表情、理解度、不安の有無をアセスメントします。
- 2アセスメント患者さんは無症状であるため、疾患の深刻さを実感できていない可能性があります。肥大型心筋症のリスク(特に心室性不整脈や左室流出路閉塞による突然死)について、正しく理解できるように支援する必要があります。
- 3報告・相談医師の指示内容(運動制限の具体的なレベル)を確認します。
- 4介入以下のように説明します。「肥大型心筋症は心臓の筋肉が厚くなって硬くなっている状態で、激しい運動をすると心臓に負担がかかり、危険な不整脈を起こしたり、血液の通り道(左室流出路)が狭くなって失神したりするリスクがあります。自覚症状がなくても、このリスクは存在するため、予防として運動制限が必要です。」
- 5評価患者さんの表情や質問から理解度を確認し、必要に応じて医師への再相談や、より具体的な生活指導(禁止される運動の具体例:短距離走、バスケットボール、サッカーなど)を行います。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)最重要! 肥大型心筋症は若年者のスポーツ中の突然死の原因となることが知られています。看護師は、患者さんが自覚症状のない場合でも、突然死のリスクがあることを理解し、生活指導(激しい運動や脱水の回避)を徹底するとともに、家族にもそのリスクを説明し、緊急時の対応(心肺蘇生法の習得、AEDの場所確認など)を指導する必要があります。 看護プロトコル: 観察項目:自覚症状の有無(胸痛、動悸、息切れ、失神前兆)、バイタルサイン、心電図モニター所見(ST変化、不整脈の出現)。報告基準(SBAR):S「××患者さんが、動悸と胸痛を訴えています」B「肥大型心筋症で、現在は安静中です」A「バイタルサインは…、心電図モニター上で心室性期外収縮が頻発しています」R「医師の確認をお願いします」。
先輩看護師の一言: 「国試では、肥大型心筋症と拡張型心筋症を混同しないことが第一歩です。でも、現場で大事なのは『この患者さんは突然死のリスクがある』という認識です。症状がなくても、油断は禁物。運動制限の指導一つとっても、患者さんの人生に大きく関わります。『なぜダメなのか』を病態に基づいてきちんと説明できる看護師になりましょう!」
- 肥大型心筋症 — 心室中隔を中心に心筋が異常に肥厚する遺伝性疾患。拡張障害と左室流出路閉塞が主な病態であり、若年者の突然死の原因となる。
- 拡張障害 — 心室のコンプライアンス低下により、拡張期に十分な血液が流入できなくなる状態。肥大型心筋症や高血圧性心疾患で生じる。
- 拡張型心筋症 — 心室腔が拡大し、収縮機能が低下する疾患。心不全、不整脈、血栓塞栓症をきたす。ウイルス感染やアルコールなどが原因となる。
- 突然死 — 発症から24時間以内の予期せぬ死亡。肥大型心筋症では心室性不整脈(心室頻拍/心室細動)が原因で、特に若年者の運動中に発生しやすい。
- 左室流出路閉塞 — 肥厚した心室中隔と僧帽弁前尖が接触することで、左室から大動脈への血液の出口が狭窄される病態。心雑音の原因となり、運動時に失神を誘発する。
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