核心解説
この問題は、
川崎病 (Kawasaki Disease) の急性期治療である
γ-グロブリン療法 (Gamma-globulin Therapy) 開始時の看護を問うています。治療中は、
アナフィラキシー (Anaphylaxis) や
心負荷増大 による心不全、冠動脈瘤 (Coronary Artery Aneurysm) の発生・進展リスクを考慮した安全な投与管理が最優先となります。
1.
核心概念の分析 (Key Concept): 川崎病は全身性血管炎 (Systemic Vasculitis) であり、特に冠動脈 (Coronary Artery) に瘤 (Aneurysm) を形成するリスクがあります。γ-グロブリン療法はこの炎症を抑制し、冠動脈瘤の発生率を低下させる効果が期待されるため、急性期に早期開始されます。投与中は、循環動態の変動やアレルギー反応に細心の注意を払う必要があります。
2.
正解の根拠 (Answer Rationale):
-
最重要! **④番: 心電図モニターの装着を確認する**:γ-グロブリン療法は血漿増量作用があり、心負荷を増大させます。川崎病ではすでに心筋炎 (Myocarditis) や冠動脈障害のリスクがあるため、
不整脈 (Arrhythmia) や心筋虚血の兆候を
心電図モニター で継続監視することが必須です。
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最重要! **⑤番: 留置針の刺入部を観察する**:γ-グロブリン製剤は高粘稠度 (High Viscosity) であり、血管外漏出 (Extravasation) を起こすと高度な炎症や組織障害を引き起こす恐れがあります。投与中は定期的に刺入部の腫脹、発赤、疼痛の有無を確認する必要があります。
3.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
- **①番: γ-グロブリン製剤の投与中もAちゃんと売店に行けると母親に伝える。**:
混同注意! γ-グロブリン投与中は、アナフィラキシーショック (Anaphylactic Shock) など急変時の対応を即座に行えるよう、
病室から離れることは原則禁忌です。母親にはその旨を丁寧に説明し、付き添いの範囲を制限する必要があります。
- **②番: 留置針の自己抜去防止のために右肘関節に抑制帯を使用する。**:抑制帯 (Restraint) の使用は身体拘束に該当し、まずは年齢に応じた説明や遊びの提供、点滴ラインの保護カバーの使用など、最小限の方法を優先すべきです。抑制帯は最後の手段であり、この状況で
安易に使用するのは不適切です。
- **③番: 心負荷の軽減のためにAちゃんの経口水分摂取を制限する。**:
混同注意! γ-グロブリン療法中の心負荷軽減は点滴速度の調節で行います。Aちゃんが泣いている状態では脱水やストレスが心負荷を増大させる可能性もあるため、
経口水分摂取を一律に制限するのは適切ではありません。むしろ、状態をアセスメントしながら必要に応じて水分を促す場合もあります。
4.
関連概念の整理 (Related Concepts): 川崎病の急性期看護では、全身の炎症所見(発熱、発疹、結膜充血、口腔粘膜変化、四肢末端の変化)の観察とともに、最も重篤な合併症である
冠動脈瘤 (Coronary Artery Aneurysm) の予防と早期発見が中心となります。そのため、γ-グロブリン療法中の循環動態の監視(心電図、血圧、脈拍、SpO2)と、薬液漏出予防(刺入部観察)は看護師の最重要業務です。また、アスピリン療法 (Aspirin Therapy) は抗炎症・抗血小板作用を目的としており、出血傾向の観察も必要です。
概念整理: 川崎病急性期の治療は「γ-グロブリン療法」と「アスピリン療法」。看護の焦点は、①γ-グロブリン投与中の循環動態の監視(心負荷・アナフィラキシー)、②薬液漏出の予防、③冠動脈瘤の早期発見、④発熱・疼痛などの症状マネジメント、⑤家族(特に母親)への精神的支援と情報提供。
一目で比較!:
| 治療 | 主な作用 | 看護上の重要観察項目 |
|---|
| γ-グロブリン療法 | 抗炎症・免疫調節 | アナフィラキシー症状、心負荷(心電図・呼吸・血圧)、薬液漏出 |
| アスピリン療法 | 抗炎症・抗血小板 | 出血傾向(皮下出血・歯肉出血・血便)、消化器症状(嘔気・腹痛) |
看護過程ポイント:
アセスメント: バイタルサイン(特に心拍数・血圧・呼吸状態)、心電図波形、刺入部の状態、意識レベル、全身の皮疹や粘膜の変化。
看護診断: 「
非効果的な心肺組織灌流リスク (Risk for Ineffective Cardiopulmonary Perfusion)」- 心負荷増大と冠動脈瘤のリスク、「
組織損傷リスク (Risk for Tissue Damage)」- 薬液漏出リスク。
計画・実施: 心電図モニター装着、刺入部の30分毎観察、点滴速度の厳守、母親への安静と観察の協力依頼。
評価: アナフィラキシー・心不全症状の出現なし、薬液漏出なし。
暗記のコツ: 「γ-グロブリンは血管に優しくない!」→高粘稠度で漏れやすい、心臓に負担がかかる。「だから看護師は『モニター(④)』と『刺入部(⑤)』を絶対に見逃すな!」
国試頻出ポイント: 川崎病の治療と看護は毎年のように出題される頻出テーマです。特に「γ-グロブリン療法中の観察項目」「アスピリン療法中の観察項目」「冠動脈瘤のスクリーニング(心エコー)」はセットで覚えましょう。
出題パターン注意!: 本問のように「適切な対応を2つ選べ」という形式だけでなく、「不適切な対応を選べ」「優先すべき看護観察を順に選べ」といったバリエーションもあります。また、状況設定問題(事例問題)では、投与中に「顔色が悪い」「呼吸が速い」といった変化が生じた場合の看護師の対応を問われることが多いです。