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一般・状況設定問題
成人におけるバイタルサインで緊急に対応が必要なのはどれか。
-
1
脈拍70/分
-
2
体温34.4℃
✓ 正解
-
3
呼吸数14/分
-
4
血圧 130/80 mmHg
-
5
グラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉 15点
解説
成人の深部体温が35℃以下に低下した状態は「偶発性低体温症」であり、心室細動などの致死性不整脈を誘発する危険性が極めて高いため、緊急の加温処置が必要です。その他の選択肢は正常範囲内です。
同じテーマの次の問題インシデントレポートについて適切なのはどれか。2つ選べ。この問題が収録された問題集【合格ライン突破】 過去問5年分 本気の実戦問題KRW 20,000
核心解説
この問題は、成人のバイタルサイン (Vital Signs) の異常値を見極め、緊急対応の必要性を判断する看護アセスメント能力を問うています。最重要! バイタルサインは患者の生命の危機を察知するための最も基本的かつ重要な指標です。正常値からの逸脱を即座に認識し、緊急度を評価する能力は、看護師に求められる核心的なスキルです。
核心概念の分析 (Key Concept): バイタルサインの正常範囲と、生命の危機に直結する異常値の理解が不可欠です。特に 低体温 (Hypothermia) は、代謝低下や心機能抑制、致死性不整脈を引き起こす可能性があり、緊急対応が必要です。一方、正常範囲内の値は経過観察で問題ありません。
正解の根拠 (Answer Rationale): 正解は ② 体温34.4℃ です。成人の深部体温が 35℃未満 の状態を 偶発性低体温症 (Accidental Hypothermia) と呼びます。この状態では、体温調節中枢の機能が低下し、心拍出量 (Cardiac Output) の減少、意識障害、さらには 心室細動 (Ventricular Fibrillation) などの致死的な不整脈を引き起こすリスクが極めて高いため、速やかな加温処置と全身管理が必要です。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
- 混同注意! ① 脈拍70/分: 成人の安静時脈拍数は 60~100回/分 が正常範囲であり、これは正常値です。
- ③ 呼吸数14/分: 成人の安静時呼吸数は 12~20回/分 が正常範囲であり、これは正常値です。
- ④ 血圧 130/80 mmHg: 収縮期血圧130mmHg、拡張期血圧80mmHgは、正常高値血圧に分類されることもありますが、緊急対応が必要なレベルではありません。緊急を要する高血圧は、一般的に 収縮期血圧180mmHg以上 または 拡張期血圧120mmHg以上 を指します。
- 混同注意! ⑤ グラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉 15点: GCSは意識レベルの評価指標で、15点が最良(正常) であり、問題ありません。緊急対応が必要なのは 8点以下 (昏睡状態、気管挿管の適応を考慮)の場合です。
関連概念の整理 (Related Concepts): 体温の異常には、高体温(発熱・熱中症)と低体温があります。高体温でも40℃を超えると熱性けいれんや臓器障害を引き起こす可能性がありますが、低体温(特に35℃未満)は死に直結するリスクが高いため、より緊急性が高いと判断されます。また、バイタルサインは単独の数値だけでなく、経時的変化や他の兆候(意識レベル、皮膚の状態、尿量など)と合わせて総合的に評価することが重要です。
概念整理: バイタルサインの正常範囲と異常値の定義を必ず暗記する。
- 体温: 正常 36.0~37.0℃(深部体温)、緊急対応 35℃未満(低体温)
- 脈拍: 正常 60~100回/分
- 呼吸数: 正常 12~20回/分
- 血圧: 正常 収縮期120未満/拡張期80未満
- 意識レベル: 正常 GCS 15点
一目で比較!:
| 指標 | 正常範囲 | 緊急対応が必要な異常値 |
|---|
| 体温 | 36.0~37.0℃ | 35.0℃未満(低体温) または 40.0℃以上(高熱) |
| 脈拍 | 60~100回/分 | 40回/分未満(徐脈) または 120回/分以上(頻脈) |
| 呼吸数 | 12~20回/分 | 10回/分未満(徐呼吸) または 30回/分以上(頻呼吸) |
| 血圧 | 収縮期120未満/拡張期80未満 | 収縮期90未満(低血圧/ショック) または 収縮期180以上(高血圧緊急症) |
| GCS | 15点 | 8点以下(昏睡) |
看護過程ポイント:
- アセスメント: バイタルサイン測定時は、単に数値を記録するだけでなく、「なぜこの数値なのか」「患者の状態と矛盾しないか」をアセスメントする。低体温の場合、振戦、皮膚の冷感、意識レベルの変化も観察する。
- 看護診断: 「低体温 (Hypothermia)」に関連する「非効果的体温調節 (Ineffective Thermoregulation)」や、重症化すれば「組織灌流変化 (Risk for Ineffective Tissue Perfusion)」などが考えられる。
- 計画・実施: 異常値発見時は、直ちに再測定、医師への報告、指示に基づく処置(加温、酸素投与、輸液など)の準備を行う。
- 評価: 処置後のバイタルサインの推移、症状の改善を継続的に評価する。
暗記のコツ: バイタルサインの正常値は「3・6・9」などゴロ合わせで覚えるのも有効ですが、最も大事なのは「緊急対応が必要な異常値」をセットで覚えることです。例えば「体温は36℃台が正常。35℃を切ったら低体温で緊急!」というように、異常値の閾値を意識して記憶しましょう。
国試頻出ポイント: この問題はバイタルサインの基本を問う High Yield なテーマです。単純な知識問題としてだけでなく、「低体温患者の看護」「術後の低体温管理」「高齢者の低体温症予防」など、状況設定問題 (事例問題) に発展して出題される可能性が高いです。また、ショックや熱中症など、他の病態と組み合わせて出題されることも多いため、バイタルサインの異常値を常に念頭に置いて学習しましょう。
出題パターン注意!:
- 単純知識問題: 「成人の正常体温はどれか」
- 応用問題: 「術後、全身麻酔から覚醒した患者の体温が34.5℃である。看護師の対応として適切なのはどれか」
- 状況設定問題: 「冬山で遭難し、低体温状態で搬送された患者のバイタルサインはどれか。最も緊急度が高いものを選べ」
臨床実践ガイド
この問題の知識は、臨床現場で患者の急変を早期発見するための基本となります。臨床シナリオ (Clinical Scenario): 冬場、一般病棟で臥床している80代の女性患者さん。夕方のラウンドでバイタルサインを測定したところ、体温34.8℃、脈拍48回/分、血圧88/56mmHgでした。患者さんは「寒い」と訴え、顔色は蒼白で、全身に軽度の振戦がみられます。意識は清明ですが、応答が緩慢です。看護師としてどのようにアセスメントし、対応すべきでしょうか?
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):- 1観察まず、バイタルサインの異常を確認し、同時に意識レベル(GCS)、皮膚の色・温度・湿度、振戦の有無、尿量を観察します。 最重要! 低体温は不整脈を誘発するため、心電図モニターを装着し、リズム異常の有無を確認します。
- 2アセスメントバイタルサイン、症状、背景(高齢、冬季、臥床)から、偶発性低体温症 (Accidental Hypothermia) と判断します。高齢者は体温調節機能が低下しているため、特にリスクが高いです。血圧低下は低体温による循環不全の兆候である可能性があります。
- 3報告観察結果とアセスメントを基に、直ちに医師へ SBAR で報告します。
- S (状況)「A病棟のBさんですが、バイタルサインで体温34.8℃、脈拍48回/分、血圧88/56mmHgと低体温と徐脈、低血圧を認めています。」
- B (背景)「80代女性、肺炎で入院中、本日で入院5日目です。これまでのバイタルサインは安定していました。」
- A (アセスメント)「低体温による循環不全の可能性が高いと考えます。不整脈のリスクもあるため、緊急対応が必要です。」
- R (提案)「加温処置と輸液の指示をお願いします。心電図モニターは装着済みです。」
- 4介入医師の指示に基づき、受動的体外加温(毛布、アルミシートで保温)を開始します。 注意: 四肢だけを急激に加温すると、末梢血管が拡張し、かえって体温が下がる「アフタードロップ (Afterdrop)」を引き起こす可能性があります。 体幹部を中心に加温します。必要に応じて、加温ブランケットや温めた輸液(指示の範囲内)を使用します。
- 5評価加温開始後、15~30分毎にバイタルサインと意識レベルを再評価します。体温が 35℃以上 に回復し、脈拍・血圧が安定するまで継続的に観察します。症状の改善が見られない、または悪化する場合は、再度医師へ報告します。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions):
- 最重要! 低体温患者の 急激な再加温は禁忌 です。心室細動を誘発するリスクがあります。
- 高齢者、新生児、低栄養状態の患者は低体温症のハイリスク群です。予防的な保温に努めましょう。
- 術後患者は麻酔の影響で体温調節機能が低下しているため、術後低体温に注意が必要です。
- 感染症による発熱時には、解熱剤の使用や冷却処置を検討しますが、必要以上に冷やしすぎないように注意します(特に高齢者や小児)。 看護プロトコル:- 1観察項目体温(深部体温測定が望ましい)、脈拍、血圧、呼吸数、SpO2、意識レベル、皮膚の色・温度・湿度、振戦、尿量(1時間あたり)。
- 2報告基準 (SBAR)上記シナリオを参考に、状況を簡潔に伝える。特に異常値と、それに基づく自身のアセスメントを明確に報告する。
- 3記録のポイント発見時の時刻、バイタルサイン値、患者の症状、行った看護ケア(保温方法、加温開始時刻)、医師への報告内容と指示、その後の経過を正確に記録する。
- 4家族への説明「〇〇さんが体温が低くなっており、緊急に対応が必要な状態です。現在、看護師が体を温めるなどの処置を行っており、医師の指示の下で治療を進めています。」と、状況と対応をわかりやすく伝え、安心してもらえるように説明する。
先輩看護師の一言:
「バイタルサインは『患者さんの命の声』です!異常値を見つけた時は、焦らずに『なぜこの数値なのか』を考え、『次に何をすべきか』を行動に移せる看護師になりましょう。国試で覚えた知識は、現場で患者さんを守るための大切な武器です。この問題のように、異常値の緊急度を判断する力は、新人看護師のうちから身につけておきたい必須スキルです!」
- 偶発性低体温症 (Accidental Hypothermia) — 外因性(寒冷曝露など)に深部体温が35℃未満に低下した状態。高齢者や新生児、低栄養状態で発症リスクが高い。代謝低下、循環不全、致死性不整脈を引き起こす。
- 心室細動 (Ventricular Fibrillation) — 心筋の無秩序な興奮により、心臓が血液を拍出できなくなる致死性不整脈。低体温時の再加温時に誘発リスクがある。
- SBAR — 医療従事者間の情報伝達を効率的かつ確実に行うためのフレームワーク。Situation(状況)、Background(背景)、Assessment(アセスメント)、Recommendation(提案/指示)の頭文字。
- アフタードロップ — 低体温症の加温処置中に、四肢など末梢の冷えた血液が体幹に戻ることで、一時的に深部体温がさらに低下する現象。急激な四肢加温を避ける理由の一つ。
- グラスゴー・コーマ・スケール — 意識レベルを評価する国際的なスケール。開眼(E)、言語反応(V)、運動反応(M)の3項目で評価し、合計点で意識障害の程度を判定する。3点が最悪、15点が最良。
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