新生児の呼吸窮迫症候群(RDS)で正しいのはどれか。 | MyMerci
一般・状況設定問題
問題

新生児の呼吸窮迫症候群(RDS)で正しいのはどれか。

解説
呼吸窮迫症候群(RDS)は、肺胞を拡張状態に保つための「肺サーファクタント(表面活性物質)」の産生が不十分な未熟な早産児に発症しやすく、出生直後から多呼吸、チアノーゼ、陥没呼吸などを呈する疾患です。

詳細解説

核心解説 この問題は、新生児呼吸窮迫症候群 (RDS: Respiratory Distress Syndrome) の病態と特徴を問うています。RDSは主に早産児に発症する疾患であり、その根本原因は肺の未熟性にあります。正解を導くためには、病態生理、特に 肺サーファクタント (Pulmonary Surfactant) の役割を理解することが鍵となります。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): この問題の核心は、RDSが「肺サーファクタント欠乏」による肺胞虚脱(無気肺)が原因で起こる疾患であることです。肺サーファクタントは、肺胞の表面張力を低下させ、呼気時に肺胞が虚脱するのを防ぐ重要な物質です。胎齢(在胎週数)とともに産生が増加し、特に胎齢34~35週以降に急増します。そのため、早産児ほどサーファクタントが不足しやすく、RDSを発症します。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): 最重要! ④「肺サーファクタントの欠乏が原因で生じる」が正解です。RDSは、肺サーファクタントの絶対的欠乏(早産)または質的異常(二次性)により、肺胞が安定して拡張できず、広範な無気肺を生じる病態です。この結果、ガス交換障害(低酸素血症、高二酸化炭素血症)と呼吸仕事量の増大(多呼吸、陥没呼吸)が引き起こされます。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis): - 混同注意! ①「呼吸数が減少する。」→ RDSでは、低酸素血症を代償するために呼吸数は増加します(多呼吸: Tachypnea)。呼吸数減少(徐呼吸)は無呼吸発作や呼吸中枢抑制など別の病態を示唆します。 - ②「過期産児に発症しやすい。」→ RDSは早産児に発症しやすい疾患です。過期産児ではむしろ肺が成熟しているため、RDS発症リスクは低くなります。 - ③「生後24時間ころから発症する。」→ RDSの症状は、出生直後(多くの場合、生後数分~数時間以内)に発症します。経時的に進行性に悪化するのが特徴です。生後24時間以降に発症する呼吸障害は、新生児一過性多呼吸(TTN)や敗血症、肺炎など他の原因を疑います。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts): RDSと鑑別すべき疾患として、新生児一過性多呼吸 (TTN: Transient Tachypnea of the Newborn) があります。TTNは肺液の吸収遅延によるもので、正期産児や帝王切開児に多く、出生直後から多呼吸を示しますが、予後は良好で通常48~72時間で改善します。また、RDSの治療には、人工サーファクタント補充療法呼吸管理(経鼻的持続陽圧呼吸: NCPAP、人工呼吸器管理) が中心となります。
概念整理: 新生児呼吸窮迫症候群 (RDS)
- 原因: 肺サーファクタント欠乏 → 肺胞虚脱(無気肺)
- リスク因子: 早産(特に胎齢34週未満)、周産期仮死、母親の糖尿病、帝王切開、多胎
- 症状: 出生直後からの多呼吸(60回/分以上)、陥没呼吸(肋間・胸骨上窩・剣状突起下)、呻吟(唸り声:呼気時声門閉鎖による機能的PEEP効果)、鼻翼呼吸、チアノーゼ
- 診断: 胸部X線で「網状顆粒状陰影(ground-glass appearance)」と気管支透亮像(air bronchogram)
- 治療: サーファクタント補充療法、呼吸管理(NCPAP、HFOVなど)、全身管理(体温・酸塩基平衡・栄養管理)
一目で比較!: RDS vs 新生児一過性多呼吸 (TTN)
項目RDSTTN
原因サーファクタント欠乏肺液吸収遅延
発症時期出生直後~数時間出生直後~数時間
好発児早産児正期産児(特に帝王切開児)
経過進行性悪化(48~72時間でピーク)良性、48~72時間で自然軽快
胸部X線所見網状顆粒状陰影、気管支透亮像肺門部の血管影増強、スリ錐様の肺紋理増強

看護過程ポイント:
- アセスメント: 呼吸パターン(回数、陥没、呻吟、鼻翼呼吸)、SpO2、聴診(呼吸音の左右差・減弱)、バイタルサイン、体温管理の状態
- 看護診断: 非効果的呼吸パターン (Ineffective Breathing Pattern)、ガス交換障害 (Impaired Gas Exchange)、体温調節不全 (Ineffective Thermoregulation)
- 計画・介入: 呼吸状態の頻回観察(特にNCPAP管理中はチューブ位置・皮膚トラブル・腹部膨満に注意)、保温(中性温環境維持、クベース管理)、静脈ライン・経鼻胃管の管理、家族への状況説明と心理的支援
- 評価: 呼吸状態の改善(呼吸数減少、陥没呼吸軽減、SpO2正常化)、血液ガス分析の正常化
暗記のコツ: 「RDS」は「Respiratory Distress Syndrome」の略。覚えるポイントは「RDS = 未熟な肺に、十分なサーファクタントが無い → 肺胞がつぶれる(無気肺)→ 呼吸が苦しくて頑張る(多呼吸・呻吟)」とストーリーで覚えましょう。特に「サーファクタントは早産で足りない」が最重要キーワードです。
国試頻出ポイント: 新生児RDSは、病態・原因(サーファクタント欠乏)、好発児(早産児)、症状(多呼吸、陥没呼吸、呻吟)、治療(サーファクタント補充療法、NCPAP)、予防(出生前ステロイド投与)が頻出です。また、TTNとの鑑別点も出題されやすいので、必ず比較整理しておきましょう。
出題パターン注意!: 単純な知識問題(「原因はどれか」など)から、事例問題へ発展します。例:「在胎30週で出生体重1500gの男児。出生直後から呻吟と多呼吸がみられる。SpO2 88%(室内気)。この児に最も優先される看護介入はどれか。」→ 酸素投与とNCPAP準備など、呼吸管理の優先順位を問う問題も出題されます。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): あなたはNICUに勤務する看護師です。在胎28週、出生体重1000gで出生した超早産児が、NCPAP管理下で経過観察中です。日齢1、夜勤帯に患児の呼吸状態が増悪。呼吸数80回/分、SpO2が88%に低下、呻吟と強い陥没呼吸が出現しました。血液ガス分析でpH 7.20、PaCO2 65mmHg、PaO2 50mmHgと呼吸性アシドーシスが進行しています。
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 最重要! まず、急変のサインとして呼吸状態の悪化を認識します。直ちに以下の手順で対応します。 1. 観察: 呼吸数、陥没の程度、呻吟の有無、SpO2、心拍数、NCPAP回路の状態(リークや閉塞がないか)、胸部の動きの左右差、経鼻カニューレの位置を確認。 2. アセスメント: RDSの増悪(サーファクタント補充の必要性)、またはNCPAPの効果不十分と判断。呼吸性アシドーシスの進行は人工呼吸器管理への移行基準の一つです。 3. 報告 (SBAR): 医師にSBARで報告します。
- S (Situation): 「日齢1、在胎28週の○○ちゃんですが、呼吸状態が増悪しています。」
- B (Background): 「出生時よりRDSでNCPAP管理中です。出生時サーファクタント補充は未実施です。」
- A (Assessment): 「呼吸数80回/分、SpO2 88%、陥没呼吸と呻吟が強く、血液ガスで呼吸性アシドーシス(pH 7.20, PaCO2 65mmHg)です。」
- R (Recommendation): 「人工呼吸器管理への移行とサーファクタント補充が必要と考えます。指示をお願いします。」 4. 介入: 医師の指示を受け、気管挿管と人工呼吸器管理の準備(バッグバルブマスク、喉頭鏡、気管内チューブ、固定テープ、吸引セット)、サーファクタント補充療法の準備(薬剤の準備、投与用のカテーテルなど)を迅速に行います。同時に、患児の保温に注意し、ストレスを最小限にしたケアを継続します。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): - NCPAP管理中は、鼻根部・鼻前庭の皮膚損傷(褥瘡) に注意。プロテクターの使用と観察が必須です。 - 腹部膨満に注意。NCPAPによる空気の嚥下で胃拡張をきたすことがあるため、経鼻胃管は必ず開放とし、排気を行います。 - サーファクタント補充後は、一過性のSpO2低下や徐脈に注意。投与中はバイタルサインをモニタリングし、必要に応じて投与を中断する準備をします。 - 人工呼吸器管理中は、人工呼吸器関連肺炎 (VAP) 予防として、口腔ケアや回路の清潔保持、体位管理(ベッドアップなど)を徹底します。
看護プロトコル:
- 観察項目: 呼吸数、呼吸パターン、陥没呼吸の部位・程度、呻吟、SpO2、経皮的二酸化炭素分圧(TcPCO2)、バイタルサイン、聴診(呼吸音・心音)、胸部X線の経時的変化、血液ガス分析(pH, PaO2, PaCO2, HCO3-, BE)
- 報告基準(SBAR): SpO2 90%未満が持続、呼吸数が60回/分未満または80回/分以上、陥没呼吸の増強、呻吟の出現、血液ガス分析でpH60mmHg or PaO2

重要概念

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