成人のばね指で正しいのはどれか。 | MyMerci
一般・状況設定問題
問題

成人のばね指で正しいのはどれか。

解説
ばね指(弾発指)は、指の屈筋腱と腱鞘の間で生じた「腱の炎症(狭窄性腱鞘炎)」が原因で起こります。更年期以降の女性に多く、母指や中指に好発し、患部の安静が基本です。

詳細解説

核心解説 この問題は、ばね指(弾発指 / Trigger Finger)の病態と疫学を問うています。ばね指は、手指の屈筋腱とそれを覆う腱鞘(Tendon Sheath)の間に生じる狭窄性腱鞘炎(Stenosing Tenosynovitis)が原因です。腱鞘の肥厚・狭窄により、腱の滑走が障害され、手指の伸展時に「ばね現象(弾発現象)」が生じます。この病態を正しく理解することが、全ての正誤判断の基盤となります。 1. 正解の根拠 (Answer Rationale): ②番「原因は腱の炎症である」が正解です。最重要! ばね指の本態は 非特異的炎症による狭窄性腱鞘炎 です。腱そのものだけでなく、腱鞘の肥厚と狭窄が病態の中心であり、これにより腱の通過障害が起こります。 2. 誤答の分析 (Distractor Analysis): - ①番「男性に多い」: 混同注意! ばね指は 40〜60代の女性に圧倒的に多い ことが疫学的に知られています。更年期以降のホルモンバランスの変化や、家事・手仕事による手指の使い過ぎが関連すると考えられています。 - ③番「好発部位は示指である」: 混同注意! ばね指の好発部位は 母指(Thumb)中指(Middle Finger) または環指(Ring Finger)です。示指(Index Finger)に好発するのは、むしろ ド・ケルバン病(De Quervain Disease / 狭窄性腱鞘炎の一種) であり、混同しやすいポイントです。 - ④番「積極的にストレッチを行う」: 禁忌! ばね指の急性期・炎症期には 安静と患部の固定 が原則です。炎症を悪化させるため、積極的なストレッチやマッサージは禁忌です。保存的治療として、安静、NSAIDs内服、ステロイド局所注射(腱鞘内注射)が行われます。 3. 関連概念の整理 (Related Concepts): 混同注意! ド・ケルバン病(De Quervain Disease)は母指の腱鞘炎で、手関節橈側の疼痛と腫脹が特徴です。Finkelsteinテストが診断に有用です。両者は共に「狭窄性腱鞘炎」に分類されますが、発生部位が異なることを押さえましょう。
概念整理: ばね指(弾発指 / Trigger Finger) = 手指屈筋腱の狭窄性腱鞘炎。腱鞘(Tendon Sheath)の肥厚・狭窄が原因で、腱の滑走が障害され、手指の伸展時に弾発現象が起きる。治療の第一選択は保存療法(安静・NSAIDs・ステロイド局注)。手術療法(腱鞘切開術)は保存療法無効例に行われる。
一目で比較!:
項目ばね指(Trigger Finger)ド・ケルバン病(De Quervain Disease)
好発部位母指・中指・環指母指(手関節橈側)
原因腱鞘手指屈筋腱鞘短母指伸筋腱鞘・長母指外転筋腱鞘
好発性別女性(圧倒的多数)女性(やや多い)
特徴的症状手指の屈伸時の弾発現象(ばね現象)手関節橈側の疼痛・腫脹、母指の運動時痛
診断テスト視診・触診による弾発現象の確認Finkelsteinテスト

看護過程ポイント: アセスメント: 発症部位(どの指か)、弾発現象の程度(軽度のひっかかり感から完全ロックまで)、疼痛の性状・誘発動作(物を握る、ボタンをかける)、職業や日常生活動作(ADL)への影響を評価。看護診断 (Nursing Diagnosis): 「慢性疼痛(Chronic Pain)」「手指機能障害(Impaired Hand Function)」。介入: 安静保持の指導(装具・シーネ固定の遵守)、ステロイド局注後の感染徴候観察、手術後の創部管理・早期リハビリテーション(術後の癒着防止のための自動運動)の指導。評価: 疼痛軽減、弾発現象消失、ADL(食事・整容・家事)の自立度向上。
暗記のコツ: 「ばね指(Trigger Finger)」の「Trigger(引き金)」は、指が「引き金を引いたよう」にカクッと動く様子から。好発年齢は「更年期女性(女性ホルモンの減少 + 手の酷使)」と覚えましょう。部位は「お母さん(母指)の真ん中(中指)」がゴロ合わせのヒントです。
国試頻出ポイント: ばね指は「女性に多い」「好発部位(母指・中指)」「原因(腱鞘の炎症)」「治療の第一選択(保存療法)」が頻出です。「積極的ストレッチは禁忌」という点も問われやすいので、安静の重要性と併せて必ず押さえましょう。
出題パターン注意!: 単純な「正しいのはどれか」だけでなく、「ばね指の患者への看護指導で適切なのはどれか」という状況設定問題にも発展します。その場合、安静(例:家事の休憩、道具の使用を減らす)、ステロイド局注の注意点(効果持続期間、感染リスク)、手術後のリハビリ(癒着予防のための自動運動開始時期) などが具体的に問われる可能性があります。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド - 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 50代女性、主婦。3ヶ月前から右手母指の付け根に痛みがあり、朝方に指が「カクッ」と引っかかる感じがする。最近では指が伸びきらず、物を掴みにくくなった。近医整形外科を受診し、ばね指(Trigger Finger)と診断され、ステロイド局所注射(腱鞘内注射)とシーネ固定が行われた。翌日、注射部位の発赤・腫脹・疼痛増強を訴えて来院。 - 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 最重要! まず 感染徴候(蜂窩織炎 Cellulitis / 化膿性腱鞘炎 Suppurative Tenosynovitis)の有無を評価 します。局所の熱感・発赤の範囲拡大、自発痛の増強、全身の炎症所見(発熱、CRP上昇)を確認。腱鞘内注射後の合併症として、最も注意すべきは感染症です。観察(Observation)→ 医師への報告(SBAR形式:状況・背景・アセスメント・推奨) → 介入(Intervention:医師の指示のもと、抗生剤投与・切開排膿の準備)という流れを迅速に行います。感染が否定されれば、ステロイドの反応性不良や、注射後の一過性の炎症反応(ステロイドフレア)の可能性も考慮します。 - 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 混同注意! 腱鞘内注射後の安静指示(注射後24〜48時間は患部を動かしすぎない)と、感染徴候(発赤・腫脹・疼痛増強・熱感の4徴候)出現時の早期受診指導は必須です。また、ステロイドの副作用(腱断裂リスク、血糖上昇)についても、特に糖尿病患者への説明を徹底しましょう。
看護プロトコル: 観察項目: 疼痛の性状(NRSスケール)、弾発現象の有無と程度、関節可動域(ROM)、局所の炎症徴候(発赤・腫脹・熱感)、ADLへの影響(食事、整容、家事、仕事)。報告基準(SBAR): S(状況)「〇〇さん、ばね指でステロイド注射後、疼痛が増強しています」、B(背景)「昨日、母指の腱鞘内にステロイド注射を実施」、A(アセスメント)「感染の可能性を懸念しています」、R(推奨)「創部の診察と血液検査(CRP)を提案します」。記録のポイント: 注射部位の状態(色調、腫脹の有無)、疼痛スケール、患者のADL状況、指導内容(安静・感染徴候の注意点)と患者の反応を具体的に記載。
先輩看護師の一言: 「ばね指は一見マイナーに見えるけど、患者さんのQOL(生活の質)を大きく損なう疾患です。『指一本でこんなに不自由になるんだ』と実感しながら、日常生活動作(ADL)に即した具体的な指導を心がけてください。国試では、治療法と安静の原則がポイント。術後のリハビリ指導も、単に『動かしてください』ではなく『いつから・どの程度・どんな動きを』まで考えられる看護師を目指しましょう!」

重要概念

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