核心解説
この問題は、
MRI検査室(Magnetic Resonance Imaging Room)における安全管理に関する基礎知識を問うています。
MRI装置は強力な磁場(Magnetic Field)を発生するため、磁性体(鉄などを含む金属)や磁気の影響を受ける電子機器・磁気記録媒体の持ち込みが厳格に制限されます。このルールを理解することが、患者安全と機器保護の根幹です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 耳栓は、MRI検査中の騒音(グラディエントコイルの作動音)から聴覚を保護する目的で使用が推奨される医療安全具です。一般的に金属を含まず、磁場の影響を受けないため、検査室内への持ち込みが可能です。多くの医療機関では検査前に患者へ貸し出しを行っています。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 以下の3つは、MRI検査室への持ち込みが禁止されている代表的な物品です。
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②番:携帯電話(Smartphone/Cell Phone)
内部に磁性体(スピーカー、バイブレーター、バッテリー端子など)を含むため、磁場に引き寄せられて飛んで行き(ミサイル効果)、患者や装置を損傷する危険があります。また、電子機器が磁場により誤作動・破損します。
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③番:使い捨てカイロ(Disposable Hand Warmer)
一部の製品は発熱反応に鉄粉(Iron Powder)を使用しています。磁性体である鉄粉が磁場に反応し、発熱部位が異常に加熱されたり、カイロが引き寄せられたりする危険があるため、持ち込み禁止です。
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④番:キャッシュカード(Cash Card / Bank Card)
磁気ストライプ(Magnetic Stripe)方式のカードは、強力な磁場に晒されると記録データが消去(磁気破壊)され、使用不能になります。ICチップ内蔵型でも、強磁場の影響で回路が破損する可能性があるため、持ち込みは禁止です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
MRI検査室への持ち込み可否を判断する際は、以下の3原則を確認するとよいでしょう。
1.
磁性体(Ferromagnetic Material)か? → 鉄・ニッケル・コバルトを含むか。例:酸素ボンベ(アルミ製でもバルブが鉄の場合あり)、ストレッチャー、車椅子、時計、ヘアピン、補聴器、入れ歯(磁性アタッチメント)など。
2.
電子機器(Electronic Device)か? → 磁場で誤作動・破損する。例:ペースメーカー(植込み型心臓デバイス)、インスリンポンプ、補聴器。
3.
磁気記録媒体(Magnetic Recording Media)か? → データが消去される。例:キャッシュカード、クレジットカード、Suica/PASMOなどの交通系ICカード、フロッピーディスク。
概念整理
MRI検査室における安全管理の核心は「
磁性体の持ち込み禁止」です。これは「ミサイル効果(物体が強力な磁石に引き寄せられる危険)」と「熱傷(金属が高周波磁場により誘導加熱される危険)」、「機器誤作動・データ破損」の3つのリスクを防ぐために必須です。
一目で比較!
| 項目 | MRI検査室 | CT検査室 |
|---|
| 使用エネルギー | 強力な磁場 + 高周波パルス | X線(電離放射線) |
| 主な安全上の制限 | 磁性体・電子機器の持ち込み禁止 | 被ばく線量管理、妊娠の可能性確認 |
| 代表的な持ち込み禁止物 | ペースメーカー、鉄製酸素ボンベ、時計、カイロ | 特になし(但し、X線撮影の妨げになる金属は除去) |
看護過程ポイント
アセスメント:MRI検査前に、患者の体内留置物(ペースメーカー、人工関節、脳動脈クリップ、義眼、刺青・タトゥー(酸化鉄系インクで熱傷リスクあり))、閉所恐怖症の有無、妊娠の可能性を確認します。
計画・実施:検査室入室前に、患者の所持品(眼鏡、入れ歯、時計、アクセサリー、衣類の金属ファスナー・ホック、カイロなど)を全て除去するよう指導します。検査用ガウンへの着替えを促します。
評価:患者が指示通りに金属類を全て外したか、身体チェックまたは金属探知機を用いて確認します。
暗記のコツ
「MRI =
Metal
Remove
Immediately(金属は即座に除去)」と覚えましょう。また、磁石に引き寄せられる代表的な「金属の三種」は「時計(Watch)、カイロ(Warmer)、キャッシュカード(Card)」と「3W(スリーW)ルール」も役立ちます。
国試頻出ポイント
看護師国家試験では、MRI検査の「適応疾患(脊椎・脳・関節の精査)」と「禁忌・注意事項」がセットで出題される傾向があります。特に「ペースメーカー患者はMRI禁忌(但し、近年はMRI対応型も増加しているため、最新機器情報も押さえること)」、「閉所恐怖症への配慮」、「騒音対策としての耳栓・ヘッドホン使用」は必須知識です。本問のように「MRI検査室に持ち込めるもの/持ち込めないもの」を選ばせる問題は頻出です。