核心解説
この問題は、
過換気症候群 (Hyperventilation Syndrome) における体内の酸塩基平衡異常について問うています。興奮や不安による
頻呼吸 (Tachypnea)が引き起こす病態生理を理解することが鍵です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 過換気により、肺胞からの二酸化炭素 (CO₂) の排泄が過剰になります。その結果、動脈血中の
二酸化炭素分圧 (PaCO₂) が低下し、血液のpHが上昇します。これが
呼吸性アルカローシス (Respiratory Alkalosis)です。正解は①の「アルカローシスである。」です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
- ②番の「ヘマトクリットは基準値よりも高い。」:過換気自体は脱水を伴わないため、ヘマトクリットは基準値内です。脱水や多血症で上昇します。
- ③番の「動脈血酸素飽和度〈SaO2〉は100%を超えている。」:SaO₂は
正常範囲は95~100%で、100%を超えることはありません。過換気ではPaO₂は上昇しますが、SaO₂が100%を超えることはありえません。
- ④番の「動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉は基準値よりも高い。」:逆です。過換気ではPaCO₂は
基準値 (35~45mmHg) よりも低下します。基準値より高い状態は
混同注意!呼吸性アシドーシスです。
関連概念の整理 (Related Concepts)
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酸塩基平衡 (Acid-Base Balance):呼吸性と代謝性の2大区分があります。
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呼吸性アルカローシス:過換気、発熱、不安、機械的人工呼吸の設定ミスで発生。
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呼吸性アシドーシス:COPD、呼吸抑制、気道閉塞で発生。PaCO₂上昇、pH低下。
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代謝性アルカローシス:嘔吐、利尿薬使用で発生。
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代謝性アシドーシス:糖尿病性ケトアシドーシス (DKA)、下痢、腎不全で発生。
概念整理:
| 状態 | 頻呼吸の原因 | PaCO₂ | pH | 状態名 |
| 過換気症候群 | 心理的興奮・不安 | 低下 | 上昇 | 呼吸性アルカローシス |
| 呼吸不全(低換気) | COPD・呼吸筋麻痺 | 上昇 | 低下 | 呼吸性アシドーシス |
一目で比較!:
混同注意! 過換気=呼吸性アルカローシス、低換気=呼吸性アシドーシス。PaCO₂の高低で判断するのが最もシンプルです。
看護過程ポイント: アセスメント:過換気の患者では、
PaCO₂低下・pH上昇を確認。看護診断:非効果的呼吸パターン (Ineffective Breathing Pattern) 関連因子:不安。介入:患者を落ち着かせ、紙袋呼吸(リブリージング法)で呼気CO₂を再吸入させる(※最近のガイドラインでは推奨しない場合あり、安全面に配慮しつつ)。評価:呼吸数減少、PaCO₂正常化。
暗記のコツ: 「過呼吸=CO₂を吐きすぎ=アルカリ性」→イメージ:「炭酸飲料(CO₂)を振るとシュワシュワ(酸性)抜けると甘く(アルカリ性)なる」と覚えましょう。
国試頻出ポイント: 酸塩基平衡異常は毎年出題される核心テーマ。PaCO₂・pH・HCO₃⁻の3つをセットで覚え、呼吸性と代謝性の鑑別を確実に。
出題パターン注意!: 単純な定義問題から、「糖尿病患者の嘔吐後」→代謝性アルカローシス、「COPD患者の増悪」→呼吸性アシドーシスなど、臨床状況と組み合わせた応用問題に発展します。