健常な女子(15歳)が野外のコンサートで興奮し、頻呼吸を起こして倒れた。このときの女子の体内の状態で正しいのはどれか。 | MyMerci
一般・状況設定問題
問題

健常な女子(15歳)が野外のコンサートで興奮し、頻呼吸を起こして倒れた。このときの女子の体内の状態で正しいのはどれか。

解説
極度の興奮などで過換気(頻呼吸)になると、血液中の二酸化炭素(CO2)が過剰に排出され、血液がアルカリ性に傾く「呼吸性アルカローシス」となります。

詳細解説

核心解説 この問題は、過換気症候群 (Hyperventilation Syndrome) における体内の酸塩基平衡異常について問うています。興奮や不安による頻呼吸 (Tachypnea)が引き起こす病態生理を理解することが鍵です。 正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 過換気により、肺胞からの二酸化炭素 (CO₂) の排泄が過剰になります。その結果、動脈血中の二酸化炭素分圧 (PaCO₂) が低下し、血液のpHが上昇します。これが呼吸性アルカローシス (Respiratory Alkalosis)です。正解は①の「アルカローシスである。」です。 誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! - ②番の「ヘマトクリットは基準値よりも高い。」:過換気自体は脱水を伴わないため、ヘマトクリットは基準値内です。脱水や多血症で上昇します。 - ③番の「動脈血酸素飽和度〈SaO2〉は100%を超えている。」:SaO₂は正常範囲は95~100%で、100%を超えることはありません。過換気ではPaO₂は上昇しますが、SaO₂が100%を超えることはありえません。 - ④番の「動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉は基準値よりも高い。」:逆です。過換気ではPaCO₂は基準値 (35~45mmHg) よりも低下します。基準値より高い状態は混同注意!呼吸性アシドーシスです。 関連概念の整理 (Related Concepts)
- 酸塩基平衡 (Acid-Base Balance):呼吸性と代謝性の2大区分があります。
- 呼吸性アルカローシス:過換気、発熱、不安、機械的人工呼吸の設定ミスで発生。
- 呼吸性アシドーシス:COPD、呼吸抑制、気道閉塞で発生。PaCO₂上昇、pH低下。
- 代謝性アルカローシス:嘔吐、利尿薬使用で発生。
- 代謝性アシドーシス:糖尿病性ケトアシドーシス (DKA)、下痢、腎不全で発生。
概念整理:
状態頻呼吸の原因PaCO₂pH状態名
過換気症候群心理的興奮・不安低下上昇呼吸性アルカローシス
呼吸不全(低換気)COPD・呼吸筋麻痺上昇低下呼吸性アシドーシス

一目で比較!: 混同注意! 過換気=呼吸性アルカローシス、低換気=呼吸性アシドーシス。PaCO₂の高低で判断するのが最もシンプルです。
看護過程ポイント: アセスメント:過換気の患者では、PaCO₂低下・pH上昇を確認。看護診断:非効果的呼吸パターン (Ineffective Breathing Pattern) 関連因子:不安。介入:患者を落ち着かせ、紙袋呼吸(リブリージング法)で呼気CO₂を再吸入させる(※最近のガイドラインでは推奨しない場合あり、安全面に配慮しつつ)。評価:呼吸数減少、PaCO₂正常化。
暗記のコツ: 「過呼吸=CO₂を吐きすぎ=アルカリ性」→イメージ:「炭酸飲料(CO₂)を振るとシュワシュワ(酸性)抜けると甘く(アルカリ性)なる」と覚えましょう。
国試頻出ポイント: 酸塩基平衡異常は毎年出題される核心テーマ。PaCO₂・pH・HCO₃⁻の3つをセットで覚え、呼吸性と代謝性の鑑別を確実に。
出題パターン注意!: 単純な定義問題から、「糖尿病患者の嘔吐後」→代謝性アルカローシス、「COPD患者の増悪」→呼吸性アシドーシスなど、臨床状況と組み合わせた応用問題に発展します。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
高校生の女子生徒が、学校の体育祭で応援中に過呼吸になり、手足のしびれと口周囲の感覚異常を訴えて保健室に運ばれてきました。呼吸数は40回/分、脈拍120回/分。顔色はやや蒼白で、不安が強い様子です。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察:バイタルサイン(呼吸数・脈拍・血圧・SpO₂)を測定。SpO₂は正常範囲であることが多いです。2. アセスメント:過換気による呼吸性アルカローシスの可能性が高い。PaCO₂低下によりテタニー症状(Chvostek徴候、Trousseau徴候)が出現することがあります。3. 報告(SBAR):「状況:女子生徒が過呼吸で倒れました。背景:興奮状態が誘因。アセスメント:呼吸性アルカローシスの可能性。推奨:安静と呼吸法の指導。」4. 介入:落ち着いた環境で、患者のペースに合わせた呼吸(吸う:吐く=1:2)を促します。最重要! 紙袋呼吸は推奨されないガイドラインが増えています(低酸素血症リスク)。代わりに「口すぼめ呼吸(Purse-lip Breathing)」や会話による気そらしが有効です。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- 最重要! 器質的疾患(肺塞栓症、気胸、甲状腺機能亢進症など)の除外が必須。頻呼吸の原因が心因性のみとは限りません。 - テタニー症状が出現した場合は、Ca²⁺の低下(アルカローシスによる蛋白結合型Ca増加)が原因。安全に配慮し、必要に応じて医師へ報告。 - 再発予防として、ストレスマネジメントの指導や、必要時には専門機関(精神科・心療内科)への紹介も考慮します。
看護プロトコル: 観察項目:呼吸数・リズム・深さ、SpO₂、血圧、脈拍、意識レベル、手足のしびれ・感覚異常の有無。報告基準(SBAR):状態の変化(呼吸数増加、SpO₂低下、意識変容)を即時報告。記録:発症時刻、誘因、呼吸数・パターン、介入内容と効果。
先輩看護師の一言: 「過換気の患者さんは、『息が吸えない!』と強く訴えますが、実際は体内のCO₂が足りない状態。まずは落ち着いて、『ゆっくり息を吐いて』と声をかけてあげてください。国試では酸塩基平衡の数値と症状をセットで覚えれば、現場でも自信を持って対応できますよ!」

重要概念

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