こんな問題があと1,192問挑戦 ›
一般・状況設定問題
看護師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか。
Aさん(35歳、男性、会社員)は妻(32歳、主婦)と子ども(2歳)と3人暮らし。5年前にうつ病と診断された。半年前に営業部門に異動し、帰宅後も深夜まで仕事をする日が続いていた。「仕事のことが気になってしまい、焦りと不安ばかりが増して眠れない。会社に行くのが苦しい、入院させてもらえないか」と訴えがあり、休養と薬物の調整を目的として精神科病院に入院となった。入院後、Aさんから「実は薬を飲むのが嫌で、途中から飲むのをやめていたんです。薬を飲みたくないのですが、どうしたらよいでしょうか」と看護師に相談があった。
-
1
薬を飲みたくない理由を尋ねる。
✓ 正解
-
2
薬を飲むことを約束してもらう。
-
3
自己判断で薬をやめたことへの反省を促す。
-
4
薬の管理はAさんの妻にしてもらうよう勧める。
解説
患者が服薬を拒否したり中断したり(ノンコンプライアンス)している場合、無理に強要したり説教したりせず、まずは患者自身が「なぜ薬を飲みたくないと感じているのか」その理由(副作用の苦痛や薬への偏見など)を傾聴し、背景を理解することが最優先です。
同じテーマの次の問題インシデントレポートについて適切なのはどれか。2つ選べ。この問題が収録された問題集【合格ライン突破】 過去問5年分 本気の実戦問題KRW 20,000
核心解説
この問題は、うつ病 (Depression) 患者の 服薬アドヒアランス (Medication Adherence) 低下への看護対応を問うています。最重要! 看護師は、患者が服薬を中断・拒否した場合、まずその 背景と理由を傾聴 することが最優先です。患者の主体性を尊重し、信頼関係を構築するための第一歩です。
正解の根拠 (Answer Rationale):
Aさんは「薬を飲むのが嫌で、途中から飲むのをやめていた」と自ら打ち明け、不安を抱えながらも看護師に相談しています。このような場合、看護師は まず否定せず、「飲みたくない」という感情を受け止め、その理由を共感的に尋ねる ことが重要です。理由(例:副作用のつらさ、効果の実感がない、偏見、経済的理由など)を明確にすることで、患者に合った支援(情報提供、医師への代弁、服薬方法の調整など)が可能になります。これは 看護過程のアセスメント (Nursing Assessment) の第一段階です。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ②番の「服薬を約束させる」は、患者の主体性を無視した一方的な強制であり、信頼関係を損ない、さらに服薬中断を助長する可能性があります。
③番の「自己判断をやめたことへの反省を促す」は、患者を責める態度であり、看護の基本である受容的態度 (Acceptance) に反します。
④番の「妻に管理を任せる」は、患者の セルフケア能力 (Self-care Agency) を奪う可能性があり、かつ患者の意思を無視した対応です。家族を支援に巻き込むことは重要ですが、まずは患者自身の気持ちを確認することが先決です。
関連概念の整理 (Related Concepts):
- アドヒアランス (Adherence): 患者が治療方針に主体的に同意し、積極的に治療に参加する姿勢。看護師は、患者の価値観を尊重しながら、治療の必要性を理解できるよう支援します。
- コンプライアンス (Compliance): 患者が医療者の指示に従うこと。近年はアドヒアランスの概念が重視されています。
- ノンコンプライアンス (Non-compliance): 指示通りに服薬しない状態。単なる「不従順」ではなく、患者なりの理由があることを理解する必要があります。
概念整理: うつ病 の治療において、服薬アドヒアランス は再発予防の鍵です。患者の「服薬したくない」という気持ちには、副作用(特に初期の悪心・倦怠感・性機能障害) や 「病気の自分を認めたくない」という心理的反発 が隠れていることが多いです。まずは傾聴し、患者の気持ちを言語化させる支援が重要です。
一目で比較!:
| アプローチ | 看護師の姿勢 | 結果(予測) |
|---|
| 傾聴・受容 | 「飲みたくない理由を教えてください」 | 信頼構築 → 自己開示 → 問題解決への協力 |
| 強制・説教 | 「ちゃんと飲みなさい」 | 患者の閉鎖・抵抗 → 治療中断・退院後再発 |
| 委任(家族任せ) | 「奥さんに管理してもらって」 | 患者の依存強化・自己効力感低下 |
看護過程ポイント:
- アセスメント: 服薬中断の理由(副作用、効果実感不足、偏見、経済的理由、飲み忘れ)、服薬に対する考え方、セルフケア能力、周囲のサポート状況。
- 看護診断 (Nursing Diagnosis): 非効果的健康管理 (Ineffective Health Maintenance)、または 非効果的治療計画管理 (Ineffective Therapeutic Regimen Management)。
- 計画・実施: 患者の意思を尊重した服薬スケジュールの提案、副作用への対処法の情報提供、医師との連携(副作用の少ない薬への変更提案も含む)、服薬の必要性を患者自身が理解できるよう心理教育。
- 評価: 患者が自分の意思で服薬を継続できるようになったか、または副作用があっても医師に相談するなど適切な行動がとれるようになったか。
暗記のコツ: 「アドヒアランス の A は Accept(受け入れる) の A!」患者の服薬拒否もまずは受け入れ、傾聴から始めることを覚えましょう。
国試頻出ポイント: うつ病に限らず、統合失調症 (Schizophrenia) や 双極性障害 (Bipolar Disorder) など、あらゆる精神疾患で「患者の治療への主体性」と「アドヒアランス向上の看護介入」が問われます。特に「最初にするべきこと」を選ばせる問題が頻出です。
出題パターン注意!: 単純な知識問題「服薬中断の患者にまずすべきことは?」から、事例問題「Aさんが『もう薬は飲みたくない』と言っています。夕方の内服を拒否しています。あなたはどうしますか?」のように発展します。事例問題では、患者の背景(入院理由、病状、家族状況)を丁寧に読み解き、患者中心の看護 (Patient-centered Nursing) の視点で最優先を選ぶ練習をしましょう。
臨床実践ガイド臨床シナリオ (Clinical Scenario):精神科病棟で、うつ病のAさん(35歳男性)が夜間の内服を拒否しています。「この薬(SSRI)を飲むと気分が悪くなる。もう飲みたくない」と訴えています。日中の活動性は低く、抑うつ気分が強い状態です。
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):1. 最重要! まず、内服を強要せず、Aさんのペースで話ができる静かな環境を整えます。「飲みたくない気持ち、よくわかります。よかったら、どんなふうに気分が悪くなるのか教えてもらえますか?」と 開かれた質問 (Open-ended Question) で傾聴します。2. 副作用の詳細(例:吐き気、頭痛、倦怠感、不安の増強)をアセスメントし、特に不安や焦燥感の増強(アクチベーション症候群の可能性) がないか確認します。これは若年者に注意すべき重要な副作用です。3. 医師にSBARで報告します。- S: 「Aさんが夕方の内服を拒否されています。」- B: 「服薬中断歴があり、副作用(悪心)を理由に飲みたくないと話しています。」- A: 「アクチベーション症候群の可能性も考慮し、服薬方法の変更(例:食後内服、分割投与、頓服の検討)や薬剤変更の検討をお願いします。」- R: 「あなたの指示をお待ちします。」4. 医師の指示に基づき、副作用への対処法(例:吐き気止めの併用)や服薬スケジュールの調整を提案します。同時に、Aさんに「最初の2週間は副作用が出やすいこと、多くの場合、続けるうちに軽快すること」を 心理教育 (Psychoeducation) として伝えます。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions):- ⚠️ アクチベーション症候群: SSRI/SNRI投与初期に、不安、焦燥、イライラ、不眠が出現することがあり、自殺リスクが高まることがあるため、特に注意深い観察が必要です。- 患者の意思を無視した強制内服は、治療への信頼を損ない、退院後の再発リスクを高めます。決して行わないでください。- 患者が「薬を飲まない」という選択をした場合も、その理由をアセスメントし、医師と連携して代替案(例:注射薬への変更、デポ剤の検討)を検討します。
看護プロトコル:- 観察項目: 服薬の有無、服薬拒否の理由(副作用の内容と程度、心理的抵抗感、認識の違い)、患者の表情や言動(抑うつ気分の程度、焦燥感の有無)、バイタルサイン(特に睡眠状態、食欲)。- 報告基準(SBAR): 上記シナリオ参照。特に「アクチベーション症候群」や「希死念慮」の有無は必ず報告する。- 記録のポイント: 「患者は内服を拒否。理由は副作用(悪心)と発言。傾聴後、医師に報告し、指示を仰いだ。」など、事実と看護介入を客観的に記載する。
先輩看護師の一言: 「精神科看護では『患者さんの言葉を否定しない』ことが一番の基本です。『薬を飲みたくない』という言葉の裏には、必ず患者さんの苦しみや葛藤があります。まずはその気持ちに寄り添うこと。そうすることで、患者さんは『この看護師さんは自分のことをわかってくれる』と感じ、治療への信頼が生まれます。国試でも、現場でも、この『傾聴から始める』姿勢を忘れないでくださいね!」
- アドヒアランス — 患者が治療方針に主体的に同意し、積極的に治療に参加する概念。看護師は患者の価値観を尊重し、治療の必要性を理解できるよう支援する。
- コンプライアンス — 患者が医療者の指示に従うこと。近年はアドヒアランスの概念が重視されている。
- ノンコンプライアンス (Non-compliance) — 患者が医療者の指示通りに行動しない状態(服薬中断など)。単なる不従順ではなく、患者なりの理由があることを理解する必要がある。
- アクチベーション症候群 (Activation Syndrome) — SSRI/SNRI投与初期に生じうる、不安、焦燥、イライラ、不眠などの症状。特に若年者で自殺リスクを高める可能性があるため注意深い観察が必要。
- 心理教育 — 患者と家族に疾患や治療について正しい知識を提供し、主体的な治療参加を促す教育的支援。
MyMerciで看護師国家試験を完全対策
過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。
無料で始める
学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。