核心解説
この問題は、産褥2日目の母体の生理的変化を正しくアセスメントできるかを問うています。
最重要! 産褥期の看護では「正常な経過」と「異常の早期発見」の両方が求められます。特に、
子宮復古 (Involution of Uterus)、
悪露 (Lochia)、
乳房変化 (Breast Changes)、
創傷治癒 (Wound Healing)、
血栓症リスク (Thrombosis Risk) の5点を総合的に評価する必要があります。
正解の根拠 (Answer Rationale): 正解は
2. 乳房の変化は産褥日数相当である です。
産褥2日目(分娩後48時間程度)の乳房は、
プロラクチン (Prolactin) とオキシトシン (Oxytocin) の作用により、分泌準備が整い「乳房緊満 (Breast Engorgement)」が出現します。この時期に初乳がにじむ程度に分泌され、乳管が開通しているのは、全く正常な生理的経過です。問題文の「左右の乳頭に2本ずつ乳管が開通」という所見は、産褥2日目の典型的な状態を示しています。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
- ①番:会陰縫合部の感染は否定されます。感染の兆候は
発赤 (Redness)、腫脹 (Swelling)、熱感 (Heat)、疼痛増強 (Increased Pain)、膿性分泌物 (Purulent Discharge) です。問題文では「発赤なし、腫脹なし」と明記されており、痛みは創傷自体による生理的なものと判断できます。
- ③番:深部静脈血栓症 (Deep Vein Thrombosis, DVT) のリスクは産褥期に高いですが、症状は
下肢の疼痛、熱感、腫脹、発赤、Homans徴候陽性 などです。問題文では「下肢の浮腫は認めない」とあり、現時点では疑う所見はありません。
- ④番:子宮復古が遅れているという所見はありません。産褥2日目の正常な子宮底の高さは
臍下約2~3横指 です。問題文の「臍下2横指に硬く触れ」という所見は、子宮が正常に収縮している証拠です。復古遅延のサインは、子宮底が高い・軟らかい・悪露量増加などです。
関連概念の整理 (Related Concepts):
産褥期のアセスメントは「日数経過に沿った正常変化」の知識が土台です。
産褥1~3日目:子宮底は臍下1~2横指、悪露は赤色(Lochia Rubra)で量は中程度、乳房は緊満開始。
産褥4~7日目:子宮底はさらに下降、悪露は褐色(Lochia Serosa)に変化、乳房は本格的な分泌期に移行。
産褥10~14日目:子宮は骨盤内に触知不能、悪露は黄白色(Lochia Alba)に変化。
概念整理: 産褥期の正常経過 vs 異常兆候の鑑別。
| 項目 | 正常所見(産褥2日目) | 異常所見(注意) |
|---|
| 子宮復古 | 臍下2横指、硬く触れる | 臍高以上で軟らかい、圧痛あり |
| 悪露 | 赤褐色(Lochia Rubra)、中等量 | 多量の凝血、悪臭、膿性 |
| 乳房 | 緊満、初乳分泌、乳管開通 | びまん性の発赤・熱感(乳腺炎疑い) |
| 会陰創 | 軽度の疼痛、発赤・腫脹なし | 発赤・腫脹・熱感・膿 |
| 下肢 | 浮腫・疼痛なし | 片側性の腫脹・疼痛・発熱 |
一目で比較!:
混同注意! 産褥期の「生理的な痛み」と「病的な痛み」の鑑別が重要。会陰切開部の痛みは通常2~3日でピークを迎え、その後軽減しますが、感染による痛みは増悪傾向で、発赤や発熱を伴います。
看護過程ポイント:
アセスメント: 子宮底の高さと硬さ、悪露の性状・量・臭い、バイタルサイン、乳房の状態、会陰創の状態、下肢の状態を系統的に観察。
看護診断 (Nursing Diagnosis): 「産褥期の正常経過にある」という健康管理促進の診断が優先。疼痛に対しては「急性疼痛 (Acute Pain)」が該当。
計画・実施: 会陰部の冷却・清潔ケア、適切な鎮痛薬の使用、乳房ケアの指導(頻回授乳、適切な圧迫)、血栓予防のための早期離床とフットポンプ運動の励行。
評価: 疼痛の程度(Numerical Rating Scaleなど)、子宮復古の経過、感染徴候の有無を継続評価。
暗記のコツ: 産褥期の経過は「日数×時計のイメージ」で覚えましょう。産褥2日目は「子宮底:臍下2横指」「悪露:赤色(ルブラ)」「乳房:緊満開始」の三点セットです。
国試頻出ポイント: 産褥期のアセスメントは必修問題および母性看護学の頻出分野です。特に「正常経過からの逸脱」を問う問題が多いため、正常範囲の数値(子宮底の高さ、悪露の色、バイタルサインの基準)を正確に暗記しておきましょう。
出題パターン注意!: 単純な知識問題から、事例形式で「産褥〇日目の患者のアセスメントとして適切/不適切なものを選べ」という形で出題されます。本問のように複数の所見を総合的に判断させる問題が増えています。