核心解説
この問題は、
ウイルス性胃腸炎 (Viral Gastroenteritis) による脱水症で入院中の幼児(2歳10か月)とその母親への看護支援を問うています。入院2日目で嘔吐は消失しましたが、水様便が続いている状況です。母親の「ストレスが溜まっている」という訴えに対し、看護師が具体的にどのような情報提供・指導を行うべきかを考える問題です。鍵となるのは、
感染症による個室隔離の継続、
急性期の食事管理(腸管安静の原則)、そして
幼児の心理的ストレス緩和と愛着対象の活用です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 幼児期(特に2歳前後)は、親から離れて慣れない環境(病院)に入院することで強い不安やストレスを感じます。特に
愛着対象 (Attachment Object)であるタオルやぬいぐるみ、あるいは
好きなおもちゃ (Favorite Toy)は、心理的な安定剤として非常に有効です。母親が「大泣きしてストレスが溜まっている」と感じていることへの具体的な支援として、④の「
Aちゃんの好きなおもちゃを自宅から持参してよいこと」を伝えることは、安心感を与え、ストレスを緩和するための最も適切な看護介入です。これは、小児看護における
プレパレーション (Preparation) と心理的ケアの基本原則に基づきます。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①
混同注意!「プレイルームで遊べること」:水様便が続いており、感染力が強いウイルス性胃腸炎が疑われます。感染拡大防止のために個室隔離が継続されている可能性が高く、プレイルームへの外出は許可されません。ストレス緩和を目的としていますが、現実的な対応として不適切です。
②「アイスクリームを食べてよいこと」:嘔吐は消失しましたが、
水様便が続いているため、腸管の炎症と吸収障害が継続しています。冷たく糖分の多いアイスクリームは腸管を刺激し、下痢を悪化させる可能性が高いため、
食べることは推奨できません(禁忌に準じた対応)。腸管安静の原則に反します。
③「個室隔離が明日、解除されること」:問題文には隔離解除の基準(例えば便の性状の改善や検査結果など)が全く記載されていません。根拠なく「明日解除」と伝えることは誤った情報であり、看護師として不適切です。
⑤「Aちゃんが静かに過ごせるよう看護師の訪室を控えること」:ストレスが溜まっているからこそ、看護師は積極的に関わり、母親と子どもを支援する必要があります。訪室を控えることは、かえって不安を増強させたり、必要なケアや観察が遅れる原因になります。
混同注意!「静かに過ごさせる=放置する」ではありません。
概念整理
この問題の核心は、
感染症隔離下にある幼児の心理社会的発達とストレスマネジメントです。
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発達段階: 2歳児(幼児期前期)は自律性 vs 恥・疑惑の段階。環境の変化や分離に敏感で、愛着対象が重要な安心感の源です。
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看護の焦点: 身体的ケア(輸液、食事管理、観察)に加え、心理的ケア(プレパレーション、遊びの提供、家族の協力)が不可欠です。
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隔離の影響: 活動制限はフラストレーションを生みやすく、退行行動(泣く、甘える)を引き起こすことがあります。
一目で比較!
| 介入方法 | 適切性 | 理由 |
| 好きなおもちゃの持参 | 適切 | 心理的安定、ストレス緩和、安心感の提供 |
| アイスクリームの許可 | 不適切 | 腸管刺激、下痢増悪のリスク |
| プレイルームでの遊び | 不適切 | 感染拡大防止の観点から個室隔離継続 |
| 訪室を控える | 不適切 | 必要な観察・ケアの欠落、不安増強 |
看護過程ポイント
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アセスメント: 排便の状態(頻度、性状、量)、バイタルサイン、皮膚のツルゴール、口腔内の湿潤度(脱水の評価)、母親の不安レベル、子どものストレスサイン(泣き方の程度、遊びへの興味の有無)。
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看護診断: 下痢、体液量不足のリスク、非効果的な対処(母親側)、恐怖/不安(子どもの分離不安)。
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計画・実施: ①経過に応じた食事再開の指示の確認(経口補水液→おかゆなど) ②心理的支援として愛着対象の活用を促す ③母親への感染症と隔離の目的の説明、具体的な遊びの提案(絵本、ぬりえ、折り紙など、個室内でできる遊び)。
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評価: 子どもの泣き方が減り、遊びに集中できる時間が増える。母親が安心して付き添える。
暗記のコツ
「
下痢+嘔吐で入院=
腸管安静」まずはコレを暗記!「
アイス=NG」です。
そして「幼児の
ストレスには、
タオルや
おもちゃで
安心!」と連想しましょう。入院中の子どものストレスケアは、国試の定番です。
国試頻出ポイント
- 小児看護分野の「感染症」「脱水症」「入院中の子どもの心理的ケア」の複合問題として頻出。
- 選択肢の中に「感染対策」「食事管理」「心理的ケア」の観点が混在しているため、それぞれの優先順位を冷静に判断する力が求められます。
- 特に「母親への伝達内容」という形で、看護師の指導・相談対応能力を問う問題は増加傾向にあります。
出題パターン注意!
事例問題として、「子どもが『アイス食べたい』と泣いている。母親が看護師にどう伝える?」という状況設定から、適切な対応を選ばせる問題に発展します。今回の正解のように、直接的な欲求(アイス)を叶えるのではなく、別の方法でストレスを和らげる支援(おもちゃの持参)を提案する思考が重要です。