核心解説
この問題は、
小児の脱水症 (Dehydration in Children)、特に
中等度脱水症 (Moderate Dehydration)における身体所見を問うています。
小児は体重に対する水分量が多く、代謝回転が速いため、成人よりも急速に脱水が進行しやすいという病態生理を理解することが鍵です。中等度脱水では、体重の5~10%の水分が喪失しており、細胞外液量の減少が顕著になります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
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皮膚のツルゴール (Skin Turgor)は、皮膚の弾力性・緊張を評価する指標です。中等度脱水では細胞外液が減少するため、皮膚の弾力性が失われ、
皮膚をつまんで離してもすぐに元に戻らない(ツルゴール低下)という所見が現れます。これは、小児の脱水評価において最も信頼性の高い身体所見の一つです。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①番:
混同注意!昏睡状態 (Coma) は、
重症脱水 (Severe Dehydration)で意識レベルの著しい低下がみられる場合に見られる所見です。本例は「中等度脱水症」と診断されており、意識は清明であることが多く、昏睡状態は考えにくいです。
②番:脱水では、涙液の分泌も減少します。流涙が普段と変わらないのは、脱水がないか軽度の場合の所見です。
中等度脱水では涙液減少 (Decreased Tears)がみられます。
③番:3日前と比較して、入院時の体重測定は行われていませんが、中等度脱水では体重の5~10%が喪失しているため、3日前より
体重は減少していると推測されます。「変わらない」は誤りです。
④番:脱水時は、生体は水分を保持しようと腎臓での水分再吸収を促進するため、
尿量は減少(排尿頻度も減少)します。「普段通り」は誤りです。
関連概念の整理 (Related Concepts)小児の脱水症は、体重減少率で評価します。
最重要!軽度(3~5%)、中等度(5~10%)、重度(10%以上)に分類され、各段階で意識状態、皮膚ツルゴール、粘膜の潤い、尿量、バイタルサインなどの所見が異なります。特に、
乳幼児の脱水は急速に重症化するため、早期発見と適切な輸液療法 (Fluid Therapy) が極めて重要です。
概念整理: 脱水症の重症度は、主に皮膚ツルゴール低下、粘膜乾燥、尿量減少、頻脈、意識レベルの変化などで評価する。中等度脱水ではこれらの徴候が明らかになる。
一目で比較!:
| 脱水重症度 | 体重減少率 | 皮膚ツルゴール | 尿量 | 意識 |
|---|
| 軽度 | 3~5% | 正常 | やや減少 | 清明 |
| 中等度 | 5~10% | 低下 | 減少(乏尿) | 機嫌不良・傾眠傾向 |
| 重度 | 10%以上 | 著明に低下 | 無尿 | 昏睡 |
看護過程ポイント:
アセスメント:体重変化、バイタルサイン、皮膚ツルゴール、口腔粘膜・舌の乾燥、大泉門(乳児)の陥凹、涙液、尿量を総合評価。
看護介入:経口補水療法(ORS)または医師の指示による輸液療法の確実な実施。皮膚の清潔保持と保湿。
暗記のコツ: 脱水の「5徴候」として、①皮膚ツルゴール低下、②粘膜乾燥、③尿量減少、④頻脈、⑤意識レベルの変化(初期は不機嫌・傾眠)をセットで覚えましょう。
国試頻出ポイント: 脱水症の重症度評価(特に体重減少率と身体所見の紐付け)は、小児看護学の頻出事項です。事例問題で、検査値や症状から脱水の程度を判断させる問題がよく出ます。
出題パターン注意!: 「体重12.5kg、3日前から体重測定なし」という情報から、現時点の体重減少率を計算させる問題に発展する可能性があります。常に「基準体重」と「現在の推定体重」を意識しましょう。