核心解説
この問題は、
回復期リハビリテーション病棟における患者と家族への看護、特に
退院支援 (Discharge Planning)と
家族への心理的支援を問うています。Aさんの妻は、面会時に疲れて眠っているAさんの姿しか見ておらず、「このままの状態で家で世話ができるか自信がない」と不安を訴えています。ここでの看護の目標は、妻がAさんの
実際の機能回復状況を正しく理解し、現実的な在宅介護のイメージを持てるように支援することです。最も適切な対応は、妻に機能訓練中のAさんの前向きな姿を見学してもらい、回復の実感と介護への自信につなげることです。
正解の根拠 (Answer Rationale)
③番の「Aさんの機能訓練中の様子の見学を勧める」が最も適切です。
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最重要! 妻は面会時に「疲れて何もしたくない」と横になっているAさんしか見ていません。そのため、Aさんの
日常生活動作 (ADL) の自立度やリハビリへの積極的な姿勢を知らず、退院後の介護に過度な不安を抱いています。
- 機能訓練中のAさんは、歩行練習やトイレ移動など、積極的にリハビリに取り組み、ADLも徐々に自立しています。妻がこの様子を見学することで、「自宅でもここまでできる」という客観的な事実に基づいた評価ができ、不安の軽減につながります。
- また、看護師や理学療法士などの専門職がいる環境で見学することで、介護方法の具体的なアドバイスを受けられる機会にもなります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
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混同注意! ①番「施設入所の検討を提案する」は、妻の不安を否定せずに聞く姿勢は大切ですが、まずAさんと妻の希望である自宅退院を前提とした支援を行うべきです。現時点でAさんのADLが自立しつつあることから、施設入所を第一選択肢とするのは時期尚早であり、妻の不安をさらに強める可能性があります。
- ②番「トイレ介助の方法を指導する」は、退院後の具体的な介護技術の提供として有用ですが、妻がAさんの全体的な能力を誤認している現状では、部分的な指導だけでは不安の根本解決になりません。まずはAさんの実際の姿を見てもらうことが優先です。
- ④番「息子夫婦にも介護に参加してもらうよう助言する」は、介護負担の軽減という点では長期的に重要ですが、妻が「息子夫婦は仕事が忙しい」と述べているように、現実的に参加が難しい可能性があります。また、妻の不安は「介護ができるかどうか」という自己効力感の低下が本質であり、家族の参加を促す前に、妻自身がAさんの状態を正しく理解する必要があります。
概念整理
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回復期リハビリテーション病棟: 急性期治療後の患者に対し、集中的なリハビリテーションを提供し、在宅復帰を目指す病棟。患者のADL向上と家族への退院支援が看護の重要業務。
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家族支援 (Family Support): 患者だけでなく、主介護者となる家族の不安や負担感を軽減し、在宅療養を継続できるよう支援すること。情報提供、技術指導、心理的支援、社会資源の活用など多面的なアプローチが必要。
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退院支援 (Discharge Planning): 入院時から退院後の生活を見据え、患者と家族が安全かつ安心して在宅生活を送れるよう、多職種で計画的に支援すること。
一目で比較!
| 選択肢 | 評価 | 理由 |
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| ①施設入所の検討 | ✕ 時期尚早 | Aさんの希望や回復状況を無視し、妻の不安のみに焦点を当てている |
| ②トイレ介助の指導 | △ 部分的不十分 | 具体的技術は有用だが、全体的な誤解を解くには不十分 |
| ③訓練中の見学勧奨 | ◎ 最も適切 | 妻がAさんの実際の能力を正しく理解できる最も効果的な方法 |
| ④息子夫婦への参加依頼 | △ 現実的困難 | 家族の事情を考慮せず、妻の不安軽減に直接つながらない |
看護過程ポイント
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アセスメント: 妻はAさんの「疲れて眠っている」姿のみから、「このままの状態では介護できない」と全体的に否定的なイメージを持っている。Aさんの実際のADL能力(食事・排泄・入浴・歯磨きの自立度)を正しく評価する必要がある。
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看護診断: 「家族のコーピング(対処)困難」「介護者役割緊張」または「知識不足(患者の機能回復状況に関する)」が考えられる。
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計画・実施: 妻にAさんの機能訓練やADLの自立した場面を見学する機会を設定する。その際、看護師が同席し、Aさんの努力や成長を具体的に説明することで、妻の理解を促進する。
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評価: 見学後、妻の不安が軽減されたか、退院後の生活の具体的なイメージが持てるようになったかを確認する。
国試頻出ポイント
- 回復期リハビリテーション病棟における看護の役割と退院支援の実際
- 家族(特に高齢の配偶者)への心理的支援と情報提供の優先順位
- 患者の機能評価と家族の認識のギャップを埋める看護介入
- 「在宅介護の不安」に対するアプローチは、単なる技術指導ではなく、客観的な事実(訓練中の姿など)の提示が有効であること