中心静脈栄養法を受けている患者の看護について適切なのはどれか。 | MyMerci
一般・状況設定問題
問題

中心静脈栄養法を受けている患者の看護について適切なのはどれか。

解説
中心静脈カテーテルは、抜去や迷入を防ぐため、挿入の長さ(固定位置)が変化していないかを「毎日確認する」ことが重要です。刺入部は観察できるように透明フィルムドレッシング材で覆います。

詳細解説

核心解説 この問題は、中心静脈栄養法 (Central Venous Nutrition / Total Parenteral Nutrition, TPN) の管理における看護の基本を問うています。中心静脈カテーテル (Central Venous Catheter, CVC) は、太い血管に直接留置されるため、感染予防、閉塞・迷入・抜去防止が最も重要な管理項目です。カテーテルが正しい位置にあり、固定が確実で、刺入部に異常がないかを毎日系統的に評価することが、カテーテル関連血流感染 (Catheter-Related Bloodstream Infection, CRBSI) や機械的合併症の予防に直結します。 正解の根拠 (Answer Rationale)カテーテルの固定位置を毎日確認する が適切です。最重要! 中心静脈カテーテルは、皮膚に縫合固定または専用の固定デバイスで固定されていますが、患者の体位変換や牽引によって挿入長が変化することがあります。挿入部の皮膚面からカテーテル先端までの長さ(体外に出ている長さ)を毎日確認し、記録と照合することで、カテーテルの逸脱(抜けかけ)や迷入(深く入りすぎ)を早期に発見できます。これは、空気塞栓やカテーテル破損の予防にもつながります。 誤答の分析 (Distractor Analysis) ① カテーテルの刺入部は見えないように覆う → 誤り混同注意! 刺入部は、発赤、腫脹、滲出液、疼痛などの感染兆候を観察できるように、透明な半透膜フィルムドレッシング材 (Semipermeable Film Dressing) で覆うのが標準です。ガーゼで覆う場合も定期的な観察が必要です。 ② カテーテル刺入部を定期的に消毒する → 誤り。ドレッシング交換時に刺入部を消毒することは適切なケアの一部ですが、この選択肢は「定期的に消毒する」こと自体が主語になっています。カテーテル管理において最優先されるべき「毎日の固定位置の確認」に比べると、この問題の文脈では③の方がより直接的にカテーテルの安全性(抜去・迷入防止)に関わるため、③が正解となります。消毒も重要ですが、固定位置の確認はさらに重要な基本動作です。 ④ 予防的に抗菌薬の投与を行う → 誤り混同注意! カテーテル関連血流感染の予防に、ルーチンでの予防的抗菌薬投与は推奨されていません。不必要な抗菌薬投与は、耐性菌の出現や薬剤性副作用のリスクを高めるため、禁忌です。感染予防は、清潔操作の徹底と適切なドレッシング管理が基本です。 関連概念の整理 (Related Concepts) 中心静脈栄養の管理では、感染予防策 (Infection Prevention Measures)閉塞予防策 (Catheter Flushing Protocol)カテーテル先端位置確認 (Tip Position Verification) の3つが柱です。カテーテルの固定位置確認は、機械的合併症予防の観点から特に重要です。
概念整理: 中心静脈カテーテル管理の三大要点:① 感染予防(手指衛生・消毒・ドレッシング交換) ② 閉塞予防(定期的なフラッシュ) ③ 固定位置確認(毎日の長さチェックと記録)。この問題は③の重要性を問うています。
一目で比較!:
項目末梢静脈カテーテル (PIV)中心静脈カテーテル (CVC)
主なリスク静脈炎、浸潤、感染感染(CRBSI)、カテーテル迷入/抜去、空気塞栓、血栓症
固定位置確認頻度毎回の輸液開始時(刺入部観察と固定確認)毎日必須(体外長さ測定と記録)
刺入部被覆材透明フィルムまたはガーゼ透明フィルムドレッシング(観察目的)
交換間隔72時間以内またはガイドラインに準じる必要時交換(定期的交換は推奨されない場合が多い)

看護過程ポイント: アセスメント:毎日のカテーテル固定位置(体外長さ)記録と刺入部観察。 看護診断:「カテーテル関連感染リスク状態」「非効果的健康維持(自己管理能力不足)」など。 計画:固定位置確認と記録の実施、感染徴候早期発見のための観察基準設定。 実施:手指衛生、無菌操作でのドレッシング交換、固定位置測定と記録。 評価:カテーテルが正しい位置にあり、感染徴候がなく、患者が安心して治療を受けられている状態を維持する。
暗記のコツ: 中心静脈カテーテルは「命のライン」ですが、同時に「危険も伴うライン」です。覚え方:「毎日確認!カテーテルの長さ」と唱えましょう。抜けかけたカテーテルが体内に迷入し、心臓に達する危険性をイメージすると、確認の重要性が忘れられません。
国試頻出ポイント: 中心静脈栄養の管理は、感染予防(無菌操作、ドレッシング交換間隔)、合併症予防(カテーテル固定確認、フラッシュ、空気塞栓対策)、代謝管理(血糖コントロール、電解質補正)の3領域から頻出です。特に「カテーテル固定位置の毎日確認」は、機械的合併症予防の基本として繰り返し問われます。
出題パターン注意!: 単純な知識問題(「固定位置の確認頻度は?」)に加え、状況設定問題(事例問題)で「患者がカテーテルを引っ張ってしまった」「輸液ポンプの流量が突然増加した」といった急変時対応を問う形で出題されることがあります。固定位置の確認は、そうしたトラブルの早期発見に直結するため、事例問題の文脈でも重要です。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): あなたは外科病棟の看護師です。中心静脈栄養(TPN)を受けている70代の女性患者(大腸癌術後)が、朝のラウンドで「カテーテルのところが何だかひっかかる感じがする」と訴えました。昨夜、体勢を変えた際に少し引っ張ったかもしれないと話しています。患者の訴えを聞いたら、あなたは何を最初に行うべきでしょうか? 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 観察とアセスメント: 最重要! 直ちにカテーテルの固定位置(体外に出ている長さ)を、患者のカルテ(または看護記録)の前回値と比較します。同時に、刺入部の発赤・腫脹・滲出液の有無、ドレッシングの剥がれや汚染がないかを観察します。バイタルサイン(特に体温、脈拍、呼吸状態)も確認します。 2. 報告と対応: 固定位置に明らかな変化(長さが短くなっている=抜けかけ、または長くなっている=迷入)があれば、直ちに医師へSBARで報告 します。もし抜けかけの兆候があれば、カテーテルを抜去しないように注意 し、医師の指示を仰ぎます。ドレッシングが汚染している場合は、無菌操作で交換します。 3. 介入と評価: 医師の指示に従い、必要に応じて 胸部X線撮影 でカテーテル先端位置を確認します。患者には「引っ張らないように気をつけてくださいね。もしまた違和感があればすぐに教えてください」と伝え、安楽な体位を整えます。その後も、固定位置の確認を1~2時間ごとに行い、安定するまで観察を継続します。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): - カテーテル抜去は絶対禁忌! もしカテーテルが完全に抜けてしまった場合、直ちに刺入部を清潔なガーゼで圧迫し、空気塞栓を防ぎながら医師に報告します。 - 感染予防のために、カテーテル操作時は必ず手指衛生と清潔手袋を着用します。 - 患者のせん妄や不穏状態に注意し、カテーテルを自己抜去するリスクがある場合は、ミトンや抑制(医師指示のもと)の使用を検討します。
看護プロトコル: 観察項目:① カテーテル固定位置(体外長さ) ② 刺入部の皮膚所見 ③ ドレッシングの状態 ④ 輸液ラインの接続状態 ⑤ 患者の訴え(疼痛、違和感)。報告基準(SBAR):S(状況:患者がカテーテルの違和感を訴えている)、B(背景:昨夜体動時に引っ張った可能性あり)、A(アセスメント:固定位置が前回より2cm短くなっている、抜けかけの疑い)、R(提案:胸部X線撮影と固定強化の指示を仰ぎたい)。記録:観察所見、医師への報告内容と指示、実施したケア、患者の反応を経時的に記録します。
先輩看護師の一言: 「中心静脈カテーテルは、患者さんにとっては治療のための大切なラインですが、同時に『何かあったら命に関わる』という怖さも伴います。『いつもと違う』という患者さんの小さな訴えを見逃さず、カテーテルの固定位置を確認する。これが、カテーテルトラブルを未然に防ぐ、看護師の腕の見せどころです。国試では『毎日確認する』と覚えましょう!」

重要概念

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