核心解説
この問題は、
点眼薬投与 (Ophthalmic Instillation) の基本手技を問うています。点眼は、眼科治療において頻繁に行われる処置であり、薬液の効果を最大限に発揮させ、かつ
全身への吸収を最小限に抑え、副作用を予防する ための正しい手技を理解することが重要です。また、患者にとって清潔で安全なケアを提供するという観点も含まれています。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 点眼後、眼から溢れた薬液は
清潔なガーゼやティッシュで優しく拭き取る 必要があります。これは、薬液が皮膚に付着したままになることで、
皮膚炎やかぶれ (Contact Dermatitis) を引き起こすリスクがあるためです。特に抗がん剤や緑内障治療薬(例えばラタノプロスト)など、皮膚刺激が強い薬剤を使用する場合は、この処置が非常に重要になります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
1.
① 点眼時は上眼瞼を上げる。
混同注意! 点眼時には、下眼瞼(したまぶた)を優しく下げて
結膜嚢 (Conjunctival Sac) を作ります。上眼瞼を上げると、点眼した薬液がすぐに流れ出てしまい、眼球(角膜)を傷つけるリスクもあります。
2.
② 点眼容器の先端は眼瞼結膜に当てる。
これは
絶対に避けるべき行為です。点眼容器の先端をまぶたや結膜に触れると、
容器内の薬液が細菌に汚染 (Contamination) される原因となります。また、誤って眼球を傷つける危険性もあります。点眼容器の先端は、眼やまぶたに触れないよう、約2~3cm離して使用します。
3.
③ 点眼後は眼球を圧迫する。
点眼後に行うのは、眼球の圧迫ではなく、
内眼角(目頭)の涙嚢部 (Lacrimal Sac) の圧迫です。これは、
涙点閉塞法 (Punctal Occlusion) と呼ばれ、薬液が涙小管から鼻や喉へ流れ、全身に吸収されるのを防ぐために行います。これにより、全身的な副作用(例えば、β遮断薬点眼薬による徐脈や気管支痙攣など)を予防できます。
4.
④ 眼から溢れた薬液は拭き取る。
正解! 上記の通り、皮膚の炎症を予防するために拭き取ります。
概念整理:
点眼手技の目的は、「局所に効果を集中させ、全身への影響を最小限にする」ことです。
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清潔の確保: 容器の先端を触れさせない(無菌操作)。
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薬液の貯留: 下眼瞼を引き、結膜嚢に滴下する。
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効果の向上: 点眼後は目を1~2分程度閉じ、涙嚢部を圧迫する。
-
副作用予防: 溢れた薬液を拭き取り、皮膚炎を防ぐ。
一目で比較!:
| 手技 | 正しい方法 | 誤った方法 |
|---|
| まぶたの操作 | 下眼瞼を下げる | 上眼瞼を上げる |
| 容器の位置 | 眼やまぶたに触れず、2~3cm離す | 結膜に当てる |
| 点眼後の圧迫 | 涙嚢部(目頭)を軽く圧迫 | 眼球そのものを圧迫 |
| 溢れた薬液 | 清潔なガーゼで拭き取る | そのまま放置する |
看護過程ポイント:
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アセスメント: 患者の協力の可否(開眼・閉眼ができるか、震えがないか)、眼疾患の種類、使用する薬剤の特性(刺激性、副作用)を確認する。
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看護介入: 患者に「これからお薬を差しますね。目を開けて、天井を見てください」と声かけを行い、恐怖心や緊張を和らげる。複数の点眼薬がある場合は、
5分以上の間隔をあけて投与する(先に差した薬液が流出するのを防ぐため)。
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評価: 薬液が確実に結膜嚢内に入ったか、患者に刺激症状や痛みがないか、皮膚に発赤やかぶれがないかを観察する。
暗記のコツ:
「点眼は、上を触らず、下を引き、目頭押す」と覚えましょう!
- 「上を触らず」=上まぶたは上げない。容器の先端はどこにも触れない。
- 「下を引き」=下まぶたを引き、結膜嚢を作る。
- 「目頭押す」=点眼後は涙嚢部(目頭)を押さえる。
国試頻出ポイント:
点眼薬投与の手技は、
基礎看護学の「薬物療法の看護」の分野で頻出です。特に「下眼瞼を下げる」「容器の先端を眼に触れない」「涙嚢部を圧迫する」「溢れた薬液を拭き取る」の4点は、それぞれ誤った選択肢として出題されることが多いため、しっかり区別しましょう。また、点眼薬と点鼻薬、点耳薬の手技の違いも問われやすいので注意が必要です。
出題パターン注意!:
近年は「緑内障(Glaucoma)の患者への点眼指導」や「白内障術後の患者への点眼指導」といった状況設定問題として出題される傾向があります。単純な手技の知識に加え、患者の疾患や年齢(高齢者)に応じた指導のポイント(例:手の震えがある患者への補助具の提案など)を問われる可能性があります。