核心解説
この問題は、
ABO式血液型 (ABO Blood Group System) の判定原理、特に
オモテ検査 (Forward Typing) とウラ検査 (Reverse Typing) の結果の組み合わせを問うています。血液型は、赤血球表面の抗原(オモテ検査で判定)と血清中の抗体(ウラ検査で判定)の両方から総合的に判断されます。
最重要! O型の特徴は、赤血球表面にA抗原もB抗原も持たない(オモテ検査:抗A・抗B血清の両方で凝集なし:「- -」)こと、そして血清中に抗A抗体と抗B抗体の両方を持つ(ウラ検査:A型血球・B型血球の両方で凝集あり:「+ +」)ことです。したがって、このパターンに該当する選択肢4がO型の正しい結果です。
正解の根拠 (Answer Rationale):
O型 (Blood Type O) は、遺伝子上にA抗原もB抗原もコードする対立遺伝子を持たないため、赤血球表面に両抗原が欠如しています。そのため、オモテ検査で抗A血清・抗B血清のいずれとも反応しません(陰性・陰性)。同時に、体内では自己の赤血球に存在しないA抗原とB抗原に対する抗体(抗A抗体・抗B抗体)を産生するため、ウラ検査ではA型血球・B型血球の両方と凝集反応を示します(陽性・陽性)。この「オモテ:両方陰性、ウラ:両方陽性」のパターンがO型を確定させる根拠です。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
選択肢1はオモテ検査で抗A血清にのみ凝集(A型のパターン)ですが、ウラ検査で抗B血球に凝集していません(A型のウラは抗B血球と凝集するはず)。
混同注意! 選択肢2はオモテ検査で両方陰性(O型のオモテ)ですが、ウラ検査で抗A血球のみ凝集(血清中に抗A抗体しかないことを示す、A型のウラのパターン)。選択肢3はオモテ検査で両方陽性(AB型のオモテ)ですが、ウラ検査で両方陰性(AB型のウラのパターン)。
関連概念の整理 (Related Concepts):
各血液型の抗原抗体パターンを整理します。
最重要!
| 血液型 | 赤血球抗原 (オモテ) | 血清抗体 (ウラ) |
| A型 | A抗原 | 抗B抗体 |
| B型 | B抗原 | 抗A抗体 |
| AB型 | A抗原 + B抗原 | なし |
| O型 | なし | 抗A抗体 + 抗B抗体 |
概念整理: ABO式血液型は、赤血球膜上の糖鎖抗原(A抗原、B抗原)と血清中の対応する自然抗体(IgM型)の有無で決定されます。輸血医療において、この抗原抗体反応を理解することは、致命的な溶血性輸血副作用を防ぐために不可欠です。
一目で比較!:
混同注意! Rh式血液型はD抗原の有無のみを判定するため、ABO式のようなオモテ・ウラ両方の検査は通常行われません。ABO式の複雑な判定法と混同しないようにしましょう。
看護過程ポイント:
アセスメント: 患者の血液型を確認する際は、過去の検査記録、オモテ・ウラ検査の結果、本人への確認(意識があれば)を総合的に行います。
計画・実施: 輸血開始前には必ず二人の看護師で患者本人と血液製剤の照合(患者氏名、生年月日、血液型、製剤番号、有効期限)を実施します。
評価: 輸血開始後はバイタルサインの変化や、発熱、蕁麻疹、腰痛などの副作用症状の有無を観察します。
暗記のコツ: 「オモテは赤血球の抗原(持っているもの)を見る、ウラは血清の抗体(持っていないものに対する攻撃準備)を見る」と覚えましょう。「O型は何も持たないけど、何にでも攻撃する(抗体を持つ)」というイメージも役立ちます。
国試頻出ポイント: ABO式血液型の抗原抗体パターン、輸血前の患者確認手順、交差適合試験(クロスマッチ)の目的、輸血副作用(特に溶血反応とアナフィラキシー)の症状と看護介入が頻出です。
出題パターン注意!: 単純な知識問題に加え、「A型の患者にB型の血液を誤って輸血した場合に生じる反応とその病態は?」といった応用問題や、実際の検査結果表を提示して「どの血液型か?」を問う本問のようなパターンもよく出題されます。