核心解説
この問題は、
レビー小体型認知症 (Dementia with Lewy Bodies, DLB) の患者さんに見られる特徴的な症状(幻視、パーキンソニズム、日内変動、睡眠障害)を理解し、
患者の安全を最優先とした看護介入を選択する能力を問うています。
DLBでは、現実と区別のつかない鮮明な幻視が出現しやすく、患者さんはそれに対して現実的な行動(子どもをよけるなど)をとるため、転倒リスクが著しく高まります。また、認知機能の日内変動が大きく、興奮しやすい状態(易怒性)も特徴です。このような患者さんへの対応の基本は、
最重要! 患者の体験している世界を否定せず、安全を確保することです。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は「② 歩行時は看護師と一緒に歩くように声をかける」です。
Aさんは幻視によって「床に子どもが寝転んでいる」と認識し、それをよけようとして転びそうになっています。このような状況では、
最重要! 転倒・外傷を予防するために、
身体的介助と見守りによる安全確保が最優先の看護介入です。看護師が付き添うことで、患者の行動をサポートし、急な動きにも対応できます。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
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① Aさんに別の病室へ移動することを提案する混同注意! 同室患者からの苦情への対応は重要ですが、まず優先すべきは患者の安全確保です。病室移動は興奮を鎮める一つの手段になりえますが、転倒リスクが高い現状では、安全確保のための介入(歩行介助)が先決です。また、環境変化がさらなる混乱を招く可能性もあります。
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③ 怒りをコントロールできる方法を見つけるように伝えるDLBの認知機能障害により、怒りのコントロールは患者自身では困難です。この対応は患者にさらなる負担と無力感を与え、興奮を増強させる恐れがあります。看護師が環境調整や声かけで感情の安定化を図る必要があります。
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④ 床に子どもがいるように見えるのは幻視であることを説明するこれは
禁忌対応です。DLB患者の幻視は非常に現実感が強く、否定されることで患者は混乱し、不信感や興奮を招きます。正しい対応は、否定せずに「そう見えるのですね。私には見えませんが、怖いですね」と共感的に受け止め、安全を確保することです。
関連概念の整理 (Related Concepts)
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鑑別ポイント! レビー小体型認知症 (DLB) vs アルツハイマー型認知症 (AD)| 項目 | DLB | AD |
|---|
| 幻視 | 特徴的・早期から出現・詳細で現実的 | 比較的後期・単純なものが多い |
| パーキンソニズム | 早期から出現(筋固縮、動作緩慢) | 末期まで出現しないことが多い |
| 日内変動 | 顕著(認知機能の波がある) | 比較的少ない |
| REM睡眠行動障害 | 高頻度(寝言、四肢の激しい動き) | まれ |
概念整理: レビー小体型認知症(DLB)の三大特徴は「幻視」「パーキンソニズム」「認知機能の日内変動」です。この3つを軸に病態と看護を理解しましょう。
一目で比較!: 認知症の種類別対応の違い。ADでは見当識障害への対応(現実見当識療法)、DLBでは幻視への対応(否定せず共感・安全確保)が重要です。前者で有効な対応が後者では禁忌になります。
看護過程ポイント: アセスメントでは「いつ・どんな時に幻視が出現するか」「転倒リスクはどの程度か」「興奮のトリガーは何か」を観察。看護診断は【転倒リスク状態】【暴力リスク状態】【知覚・思考の変調】が考えられます。介入は「安全な環境調整」「否定しない対応」「興奮時のクールダウン」が軸です。
暗記のコツ: DLBは「ドリーム・レビー」で覚えよう!「ド」=日内変動、「リーム」=REM睡眠行動障害、「レ」=レビー小体、「ビー」=パーキンソニズム(Be動きが鈍い)。幻視(Visual Hallucination)はビジュアル・レビーで。
国試頻出ポイント: DLBの特徴的症状(幻視、パーキンソニズム、日内変動、REM睡眠行動障害)と、それに応じた看護の基本原則(否定しない・安全確保)は国試で頻出です。特に「転倒予防」と「幻視への対応」は必ず押さえましょう。
出題パターン注意!: 問題文のように症状が進行した事例で、「最も優先する看護介入」を問う形や、「幻視への声かけとして適切なもの」を選ばせる形で出題されます。症状の経過と看護介入の優先順位を考えられるようにしておきましょう。