核心解説
この問題は、
連続携行式腹膜灌流法 (Continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis: CAPD) を導入する患者への生活指導について問うています。CAPDは、患者自身が1日に数回、腹腔内に留置したカテーテルから透析液を注入・排液する方法です。血液透析 (Hemodialysis: HD) と比較して、
生活の自由度が高い反面、
自己管理能力と感染予防の徹底が極めて重要となります。正解を選ぶには、CAPDとHDの違いを明確に理解している必要があります。
1.
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! 選択肢①「食事療法が必要です」が正解です。CAPDはHDに比べて食事制限は緩やかですが、全く不要になるわけではありません。CAPDでは、透析液に含まれるブドウ糖の吸収による高血糖や肥満、カリウムやリンの蓄積、水分・塩分の摂取量に注意が必要です。
高カリウム血症 (Hyperkalemia) による不整脈や、
溢水 (Fluid Overload) による心不全を予防するため、食事療法の継続は必須です。
2.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
- ②「通院は週に2、3回必要です」:
混同注意! これは血液透析(HD)の説明です。HDは一般的に週2~3回、医療機関に通院する必要があります。CAPDは患者自身が自宅で行う治療法であり、通院頻度は月に1~2回程度の定期外来受診で済みます。
- ③「宿泊を伴う旅行はできません」:
混同注意! CAPDの大きなメリットの一つが、旅行が可能なことです。透析液と器材を持参すれば、宿泊を伴う旅行も可能です。HDでは旅行先での透析施設の調整が必要となるため制限が大きくなります。
- ④「カテーテル挿入術後の翌日から入浴できます」:カテーテル挿入部(出口部)の感染予防のため、術後すぐの入浴は禁忌です。一般的には、創部が安定し、
感染徴候(発赤、腫脹、排膿)がないことを確認してから、主治医の許可を得て入浴が可能となります(多くの場合、術後1~2週間程度)。シャワー浴も同様に、出口部を防水フィルムなどで保護する必要があります。
3.
関連概念の整理 (Related Concepts): 血液透析(HD)と腹膜透析(CAPD)は、腎代替療法の代表的な方法です。HDは体外循環で短時間に血液を浄化するため、食事・水分制限が厳しく、通院負担が大きいです。CAPDは持続的に行うため体内環境の変動が少なく、食事制限は緩やかですが、自己管理能力と感染対策(特に腹膜炎予防)が課題です。また、CAPDの合併症として、
腹膜炎 (Peritonitis)、出口部感染、
除水不足、
腹膜硬化症 (Encapsulating Peritoneal Sclerosis: EPS) などがあります。
概念整理: CAPDは在宅で実施する持続的な腹膜透析。血液透析に比べ、食事制限は緩やかで、通院頻度は少なく、旅行も可能。ただし、感染予防(腹膜炎・出口部感染)が最大の課題であり、カテーテル管理と清潔操作が極めて重要。
一目で比較!:
| 項目 | 血液透析 (HD) | 腹膜透析 (CAPD) |
|---|
| 実施場所 | 医療機関 | 自宅 |
| 頻度 | 週2-3回 (1回4-5時間) | 毎日 (1日3-5回交換) |
| 通院 | 必須 (週2-3回) | 月1-2回程度 |
| 食事制限 | 厳格 (水分、カリウム、リン) | 比較的緩やか (継続は必要) |
| 旅行 | 困難 (施設調整が必要) | 可能 (器材持参) |
| 主な合併症 | ショック、不均衡症候群 | 腹膜炎、出口部感染 |
看護過程ポイント:
-
アセスメント: 患者のセルフケア能力(手指衛生、清潔操作の理解度)、生活スタイル(仕事、旅行の希望)、社会支援体制(家族の協力の有無)。
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看護診断: 「感染リスク状態(腹膜炎、出口部感染)」、 「セルフケア不足(透析療法)」、 「健康管理維持困難リスク状態」。
-
計画・実施: CAPD手技指導(出口部ケア、バッグ交換手順)、フローチャート記録の指導、異常時の対応(混濁した排液、発熱、腹痛)の教育。体重・血圧・排液量の自己管理指導。
-
評価: 手技の習得状況、感染徴候の有無、体重コントロール状態、患者のQOL向上。
暗記のコツ: CAPDの「C」は「Continuous(持続的)」、「A」は「Ambulatory(歩行可能=行動制限が少ない)」。「CAPDは自分でやるから、旅行OK、通院少ない、食事制限も緩い。でも、感染だけは絶対にダメ!」と覚えましょう。
国試頻出ポイント: CAPDとHDの比較、CAPDの適応基準、合併症(腹膜炎・出口部感染・EPS)、生活指導(入浴・旅行・食事)が頻出です。特に「CAPD患者への食事指導」と「CAPDとHDの違い」は、状況設定問題(事例問題)でもよく出題されます。
出題パターン注意!: 「CAPDを導入する患者への退院指導の内容として適切なのはどれか」という形式や、「CAPD中の患者に発熱と排液の混濁がみられた場合の看護師の対応」といった発展的な事例問題にも対応できるようにしましょう。