安静臥床による廃用症候群で生じるのはどれか。 | MyMerci
一般・状況設定問題
問題

安静臥床による廃用症候群で生じるのはどれか。

解説
長期間の安静臥床(廃用症候群)により、骨への力学的な刺激(体重負荷など)が減少すると、骨を壊す「骨吸収が亢進」し、骨からカルシウムが溶け出して骨粗鬆症や高カルシウム血症を招きます。

詳細解説

核心解説 この問題は、廃用症候群 (Disuse Syndrome) によって生じる全身の生理的変化について問うています。廃用症候群とは、長期間の安静臥床や不動状態により、身体の各器官・システムに生じる二次的な機能低下の総称です。安静臥床による骨への力学的刺激(体重負荷や筋肉の牽引力)の減少は、骨代謝のバランスを崩し、骨形成よりも骨吸収が優位になります。その結果、骨塩量が減少し、骨粗鬆症 (Osteoporosis)高カルシウム血症 (Hypercalcemia) を招くことがあります。

正解の根拠 (Answer Rationale):
安静臥床により骨への負荷が減少すると、破骨細胞 (Osteoclast) の活性化が促進され、骨吸収 (Bone Resorption) が亢進します。これは、不動によるカルシウム代謝の変化を理解する上で極めて重要な病態生理です。このため、廃用症候群の予防には早期離床や関節可動域訓練 (ROM訓練) が不可欠です。

誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ①番の「1回換気量の増加」は誤りです。安静臥床では呼吸筋の筋力低下と肺活量の減少が生じ、1回換気量 (Tidal Volume) は減少します。無気肺 (Atelectasis) や肺炎のリスクが高まります。
②番の「循環血液量の増加」は誤りです。安静臥床では心臓への静脈還流量が減少し、循環血液量 (Circulating Blood Volume) は減少します。また、起立性低血圧 (Orthostatic Hypotension) の原因ともなります。
③番の「基礎代謝の上昇」は誤りです。不動により筋肉量が減少し、全身の代謝活動が低下するため、基礎代謝 (Basal Metabolism) は低下します。
⑤番の「食欲の増進」は誤りです。活動量の低下に伴い、消化管運動も低下するため、食欲は減退し、便秘や低栄養のリスクが高まります。

関連概念の整理 (Related Concepts):
廃用症候群は全身に影響を及ぼします。循環器系では心拍出量 (Cardiac Output) の減少と起立性低血圧、呼吸器系では肺活量 (Vital Capacity) の減少と分泌物の貯留、筋骨格系では筋萎縮 (Muscle Atrophy) と骨吸収亢進、皮膚では褥瘡 (Pressure Ulcer)、精神面ではうつ状態やせん妄 (Delirium) など、多岐にわたる症状が出現することを一元的に理解しましょう。

概念整理: 廃用症候群は、不動・安静による全身の機能低下。特に骨代謝では「負荷減少→骨吸収亢進」がポイント。予防には早期離床・リハビリテーションが必須。

一目で比較!:
システム安静臥床による変化
筋骨格系筋萎縮、骨吸収亢進(骨粗鬆症)
循環器系循環血液量減少、起立性低血圧
呼吸器系1回換気量減少、無気肺
代謝基礎代謝低下、食欲減退


看護過程ポイント: アセスメント: 安静期間、関節可動域、筋力、皮膚の状態(褥瘡リスク)、バイタルサインの変化(特に起立性低血圧)。看護診断: 「活動耐受力低下 (Decreased Activity Tolerance)」「身体可動性障害 (Impaired Physical Mobility)」「自己排泄障害 (Self-Care Deficit)」など。介入: 医師の指示に基づく早期離床の促進、ベッド上での自動・他動的関節可動域訓練、ポジショニング、栄養管理(特にカルシウムとビタミンD)。

暗記のコツ: 「廃用症候群の変化は、全て『使わないと衰える』方向に進む」と覚えましょう。1回換気量→減る、循環血液量→減る、基礎代謝→減る、食欲→減る。ただし、骨吸収だけは『負荷が減ると亢進する』という逆方向です。これを「骨だけは吸収が進む(骨が痩せる)」とイメージしましょう。

国試頻出ポイント: 廃用症候群で生じる「増えるもの」と「減るもの」の識別問題は頻出です。特に「骨吸収の亢進」と「循環血液量の減少」はセットで問われることが多いです。また、予防策としての「関節可動域訓練」や「早期離床」の重要性も合わせて出題されます。

出題パターン注意!: 単純な知識問題から、「長期臥床中の高齢患者のアセスメント(事例問題)」へ発展します。事例の中で「食欲がない」「立ちくらみがする」「骨折した」などの症状から、廃用症候群による変化を推測させる問題が出題されます。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド

臨床シナリオ (Clinical Scenario):
80代女性、左大腿骨頸部骨折 (Femoral Neck Fracture) で手術後、安静指示が出ています。術後3日目、看護師がバイタルサイン測定と共に状態を観察すると、ベッド上で動かないでいる患者さんから「何だか腰が痛くて、足がつる感じがする」と訴えがあります。また、微熱 (37.8℃) が持続し、足背に軽度の浮腫が認められます。

看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):
1. 観察とアセスメント: まず、この患者さんは廃用症候群のリスクが非常に高い状態です。腰の痛みと「足がつる」という症状は、不動による骨吸収亢進とそれに伴う軽度の高カルシウム血症、あるいは筋萎縮によるこむら返りの可能性を疑います。微熱と浮腫は、深部静脈血栓症 (Deep Vein Thrombosis, DVT) の可能性も考慮しなければなりません。
2. 報告 (SBAR): 「医師、S患者の〇〇様、左大腿骨頸部骨折術後3日目。B腰痛と下肢のこむら返りを訴え、微熱と足背浮腫あり。A廃用症候群による骨吸収亢進、もしくは深部静脈血栓症の可能性を考えています。RDVTの有無を確認するための下肢エコーと、安静度の見直し(早期離床の可否)についてご指示をお願いします。」
3. 介入と評価: 医師の指示に基づき、DVT予防のために弾性ストッキング (Elastic Stockings) や間欠的空気圧迫装置 (IPC) の適応を確認します。また、安静度が許可されれば、ベッド上での自動運動(足首のポンプ運動、股関節の屈伸)や、医師の指示範囲内での車椅子への移乗を開始します。骨吸収を抑制する薬剤(ビスホスホネート系薬剤)の内服状況も確認します。介入後は、疼痛の変化や下肢の腫脹・発赤の有無、離床時のめまいの有無(起立性低血圧の評価)を継続観察します。

患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions):
最重要! 廃用症候群の予防は、早期離床が鍵ですが、急な離床は転倒・転落や起立性低血圧を誘発します。必ず、段階的に(ベッドアップ→端座位→車椅子移乗)進め、バイタルサインの変化を確認しながら実施しましょう。また、不動によるDVTは肺血栓塞栓症 (Pulmonary Embolism, PE) の原因となり、致死的です。下肢の疼痛、腫脹、発赤、Homan's徴候(足首を背屈した時の下腿後面の痛み)を必ず観察しましょう。

看護プロトコル: 観察項目: バイタルサイン、疼痛(部位・程度・性状)、関節可動域、筋力、下肢の腫脹・発赤・圧痛、皮膚の状態(褥瘡の有無)、排泄状態、精神状態。記録のポイント: 安静度(臥床・端座位・車椅子・歩行)、実施した訓練内容と時間、患者の反応(疲労感・痛みの有無)、転倒予防策の実施状況。家族への説明: 「長く寝たままだと筋肉や骨が弱くなり、色々な合併症のリスクが高まります。少しずつ動いていただくことが回復への近道です。一緒にリハビリを応援しましょう。」

先輩看護師の一言: 「安静指示がある患者さんほど、『体を動かさないでいいから楽』と思ってはいけません。むしろ、積極的に合併症を予防する看護が求められます。『安静』は治療の一環ですが、それと同時に『廃用症候群』という別の病気を生まないためのケアもセットなんです。この問題のように、『安静臥床で何が増えて、何が減るか』をしっかり理解しておけば、臨床で患者さんの急変に気づくアンテナになりますよ!」

重要概念

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