核心解説
この問題は、眼の遠近調節 (Accommodation) に関与する筋肉の知識を問うています。遠近調節とは、近くの物体を見る際に水晶体 (Lens) を厚くし、遠くの物体を見る際に薄くすることで、網膜 (Retina) 上に像を結ぶための仕組みです。この調節を担うのは、毛様体 (Ciliary Body) 内に存在する
毛様体筋 (Ciliary Muscle) です。毛様体筋が収縮すると、毛様体小帯 (チン小帯) (Zonule of Zinn) の緊張が緩み、水晶体の厚みが増加します(近くに焦点)。逆に、毛様体筋が弛緩すると、毛様体小帯が緊張し、水晶体が薄くなります(遠くに焦点)。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 遠近調節の主体は
毛様体筋 (Ciliary Muscle) であり、これは
自律神経(副交感神経) の支配を受けています。近くを見るときに副交感神経が興奮し、毛様体筋が収縮します。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番の下斜筋 (Inferior Oblique) と②番の下直筋 (Inferior Rectus) は、眼球を上下左右に動かす
外眼筋 (Extraocular Muscles) の一部であり、遠近調節には関与しません。④番の上眼瞼挙筋 (Levator Palpebrae Superioris) は、上まぶたを上げる筋肉で、眼球運動ではなく
まぶたの開閉に関与します。⑤番の瞳孔括約筋 (Sphincter Pupillae) は、瞳孔の縮小(縮瞳)を司り、遠近調節に伴う
輻輳 (Convergence) や縮瞳の一部には関与しますが、水晶体の厚みを変える遠近調節そのものの主体ではありません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
眼の調節には、遠近調節(毛様体筋)、瞳孔調節(瞳孔括約筋・散大筋)、輻輳(内直筋)が3つセットで働きます(近見反射:Near Reflex)。この反射の求心路は視神経 (Optic Nerve)、遠心路は動眼神経 (Oculomotor Nerve) です。特に、毛様体筋と瞳孔括約筋は
副交感神経(動眼神経由来) の支配を受けることを押さえましょう。
概念整理
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毛様体筋 (Ciliary Muscle): 遠近調節の主体。副交感神経支配。収縮で水晶体が厚くなり近くに焦点。
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瞳孔括約筋 (Sphincter Pupillae): 縮瞳を担う。副交感神経支配。
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瞳孔散大筋 (Dilator Pupillae): 散瞳を担う。交感神経支配。
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外眼筋: 眼球運動(上下左右斜め)を担う。上直筋、下直筋、内直筋、外直筋、上斜筋、下斜筋の6つ。
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上眼瞼挙筋 (Levator Palpebrae Superioris): 上まぶたを挙上する。動眼神経支配。
一目で比較!
| 筋肉 | 機能 | 神経支配 | 遠近調節との関連 |
|---|
| 毛様体筋 | 水晶体の厚みを変える | 副交感神経 (動眼神経) | 直接関与 (主体) |
| 瞳孔括約筋 | 瞳孔を縮小する | 副交感神経 (動眼神経) | 近見反射の一部 (間接的) |
| 下斜筋 | 眼球を上方・外側に回転 | 動眼神経 | なし (外眼筋) |
| 下直筋 | 眼球を下方・内側に回転 | 動眼神経 | なし (外眼筋) |
| 上眼瞼挙筋 | 上まぶたを挙上 | 動眼神経 | なし |
看護過程ポイント
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アセスメント: 遠近調節障害は、
老視 (Presbyopia)(加齢による毛様体筋の硬化)や、副交感神経を遮断する薬剤(抗コリン薬:アトロピン等)の影響で生じる。視力検査や調節幅の評価を行う。
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看護介入: 遠近調節障害のある患者には、手元の文字やテレビの距離を調整するよう環境を整える。特に高齢者では、安全な歩行のために床の段差や照明に注意する。
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評価: 患者が「見えにくい」と訴えていないか、読書や手元の作業がスムーズに行えているかを確認する。
暗記のコツ
- 「毛様体筋」は「水晶体を動かす筋肉」と覚えましょう。「毛」と「水」は体の中では別物ですが、「毛様体筋がレンズ(水晶体)の厚みを変える」とイメージすると忘れません。
- 外眼筋は「眼球を動かす6つの筋肉」と覚え、眼瞼挙筋は「まぶたを上げる」、瞳孔括約筋は「瞳孔をギュッと閉じる」と役割をセットで暗記しましょう。
国試頻出ポイント
- 「遠近調節は毛様体筋」の知識は必須。また、近見反射の3要素(調節、縮瞳、輻輳)を問う問題も頻出です。
- 誤答として、瞳孔括約筋を「遠近調節」と混同しないように注意。縮瞳は近見反射の一部ですが、水晶体の厚みを変える主体ではありません。
出題パターン注意!
- 単純知識問題:「眼の遠近調節に関与するのはどれか」
- 状況設定問題:「抗コリン薬を投与された患者が『近くが見えにくい』と訴えた。そのメカニズムとして正しいのはどれか」のように、薬理作用と結びつけた出題が増えています。