解離性大動脈瘤の破裂直後に出血性ショックとなった患者の症状として正しいのはどれか。 | MyMerci
一般・状況設定問題
問題

解離性大動脈瘤の破裂直後に出血性ショックとなった患者の症状として正しいのはどれか。

解説
解離性大動脈瘤が破裂し大量出血から出血性ショックに陥ると、全身の組織への酸素供給が不足して多臓器不全をきたし、ショック肺(ARDS)による「呼吸不全」が起こり得ます。顔面は蒼白になります。

詳細解説

核心解説 この問題は、解離性大動脈瘤 (Dissecting Aortic Aneurysm) 破裂に伴う 出血性ショック (Hemorrhagic Shock) の病態生理と、それにより生じる症状を問うています。大量出血による循環血液量の減少 が全身の組織灌流を低下させ、多臓器不全へと進行するメカニズムを理解することが鍵です。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): 解離性大動脈瘤が破裂すると、大動脈壁の外膜が破れ、胸腔内や腹腔内、後腹膜腔などに大量出血を来します。これにより急激な循環血液量減少が起こり、出血性ショック状態となります。出血性ショックでは、代償機構として末梢血管が収縮し、心拍数が増加しますが、最終的には組織への酸素供給が著しく低下し、多臓器不全 (MODS) を引き起こします。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): 正解は 呼吸不全 です。出血性ショックにより肺への血流が減少し、全身性の炎症反応(SIRS)が引き起こされると、急性呼吸窮迫症候群 (ARDS: Acute Respiratory Distress Syndrome)(いわゆるショック肺)を発症することがあります。ARDSでは、肺胞上皮と血管内皮が障害され、肺水腫が生じ、重篤な低酸素血症(PaO2/FiO2比 300以下)による呼吸不全が進行します。最重要! 出血性ショックの経過中に出現する呼吸不全は、病態の重症化を示す重要なサインです。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis): - ①番の黄疸は、肝臓でのビリルビン代謝障害や赤血球破壊亢進により生じます。出血性ショックでは肝血流低下による肝障害は起こり得ますが、急性期の破裂直後に黄疸が出現することは通常ありません。黄疸は敗血症性ショックや肝疾患の経過で見られることが多い症状です。 - ②番の浮腫は、体内に水分が貯留することで生じます。出血性ショックでは循環血液量が減少するため、浮腫はむしろ生じにくく、逆に脱水状態となります。浮腫が出現するのは、ショックからの回復期に輸液過多となった場合や、心不全を合併した場合などです。 - ③番の顔面紅潮は、末梢血管が拡張することで血流が増加した状態です。出血性ショックでは、代償機構として末梢血管が収縮するため、顔面は蒼白(Pallor)となり、紅潮することはありません。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts): 出血性ショックと他のショックとの鑑別が重要です。混同注意! 出血性ショックは循環血液量減少性ショック(Hypovolemic Shock)の代表です。これに対し、顔面紅潮や皮膚の温感を伴うのは血管拡張を主体とする アナフィラキシーショック (Anaphylactic Shock)敗血症性ショック (Septic Shock) の初期です。ショックの種類ごとの症状の違いを整理しておきましょう。 概念整理: 解離性大動脈瘤破裂→大量出血→循環血液量減少(出血性ショック)→代償性血管収縮・頻脈→組織低灌流→多臓器不全(ARDS含む)→呼吸不全。顔面蒼白、冷汗、頻脈、血圧低下が古典的な3徴候です。 一目で比較!:
ショックの種類主な原因皮膚の状態代表的な症状
出血性ショック (Hypovolemic)出血・脱水蒼白・冷感血圧低下・頻脈・乏尿
敗血症性ショック (Distributive)重症感染症初期:紅潮・温感 後期:蒼白発熱・白血球増多
心原性ショック (Cardiogenic)心筋梗塞など蒼白・冷感肺水腫・頸静脈怒張
アナフィラキシーショック (Distributive)アレルギー紅潮・蕁麻疹呼吸困難・気道浮腫
看護過程ポイント: 出血性ショックが疑われる患者では、アセスメントとしてバイタルサイン(特に血圧・脈拍数・呼吸数)の頻回観察、尿量測定(30mL/時未満は腎不全のサイン)、意識レベルの評価が優先されます。看護診断としては「非効果的組織灌流(心臓・脳・腎臓・末梢)」が最優先となります。計画・実施では、太い血管ルートの確保、医師の指示による急速輸液(乳酸リンゲル液など)と輸血準備、酸素投与、ショック体位(下肢挙上)の実施が含まれます。評価では、血圧が目標値(平均血圧65mmHg以上)に維持されているか、尿量が改善しているかを確認します。 暗記のコツ: ショックの症状を覚える時は「3P」で覚えましょう!Pale(蒼白)、Pulse(頻脈・弱い脈)、Pressure(低血圧)。さらに呼吸不全(Pulmonary failure)も加えると4Pになります。 国試頻出ポイント: ショックの病態生理と症状は、ほぼ毎年出題される超重要項目です。特に「どのショックでどの症状が出るか」を問う問題、および「ショック患者への優先看護介入(輸液・酸素・体位など)」を問う問題が頻出です。 出題パターン注意!: 近年は「解離性大動脈瘤破裂後、ICUで管理中の患者に新たに呼吸不全が出現。看護師は何を疑うか?」という状況設定問題(事例問題)で、ARDSの発症を問うパターンが増えています。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド - 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 65歳男性。高血圧歴あり。昼食中に突然の胸背部痛を訴え、救急搬送。CTで解離性大動脈瘤(Stanford A型)破裂と診断され、緊急手術となった。術中に大量出血し、出血性ショックに陥った。ICU帰室後、血圧はドパミンで80/50mmHgに維持されている。夜間、看護師がバイタルサインを測定すると、SpO2が92%に低下し、呼吸回数が30回/分と頻呼吸になっている。聴診で両側肺野に水泡音を聴取した。 - 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): ① 最重要! 直ちに酸素投与量を増量し、医師に報告(SBARで報告例:「A: 65歳男性、大動脈瘤破裂術後、S: SpO2低下と頻呼吸出現、B: 血圧80/50、SpO2 92%、呼吸数30、両肺に水泡音、C: 酸素マスク10Lに変更、Aライン確認、血液ガス準備中」)。② 動脈血ガス分析 を実施し、PaO2/FiO2比を算出(300以下ならARDSを強く疑う)。③ 医師の指示で気管挿管の準備、人工呼吸器設定の確認。④ 輸液量と輸血量のバランスを評価し、輸血や昇圧剤の調整を医師と相談。⑤ 家族に状況を説明し、不安の軽減に努める。 - 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 出血性ショックからの回復期に過剰な輸液を行うと、心不全や肺水腫を悪化させるリスクがあります。また、人工呼吸管理中の患者では、人工呼吸器関連肺炎 (VAP) の予防(口腔ケア、ベッドアップ30度、サクショニング時の無菌操作)が必須です。 看護プロトコル: 観察項目: バイタルサイン(特に血圧・脈拍・呼吸数・SpO2)、意識レベル(GCS)、尿量(1時間ごと)、皮膚の色調と温感、末梢冷感の有無、輸液ルートの確保状態と滴下速度。報告基準(SBAR): S: 患者の状態変化(SpO2低下など)を簡潔に、B: 背景(術後出血性ショック)を、A: 客観的データ(数値)を、R: 看護師の提案(酸素増量、血液ガス、医師の診察依頼)を伝える。 先輩看護師の一言: 「出血性ショックの患者さんで、『なんとなく呼吸が苦しそう』と感じたら、すぐにSpO2と呼吸音を確認しましょう! 呼吸不全は静かに進行します。国試では『血圧低下→頻脈』だけ覚えがちですが、『呼吸不全』も必ずショックの重要な症状として覚えておいてくださいね。現場では、患者さんの『いつもと違う』という感覚が最初の気づきになります!」

重要概念

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