核心解説
この問題は、
創傷治癒 (Wound Healing) の過程を、術後という時間軸に沿って正しく理解しているかを問うています。創傷治癒は大きく3つの段階に分けられます。術後1日目は、まさにこの最初の段階にあたります。
1.
核心概念の分析 (Key Concept):
創傷治癒 (Wound Healing) は、炎症期(滲出期)・増殖期・成熟期( remodeling期 )の3段階で進行します。術後1日目の創部では、生体の防御反応として
炎症反応 (Inflammatory Response) が主体となります。
2.
正解の根拠 (Answer Rationale):
正解は「創部の浮腫が起こる。」です。
術後1日は
炎症期(滲出期)にあたります。この時期は、組織損傷に対する生体反応として、
血管透過性の亢進が起こり、血漿成分が組織内に漏出します。これにより、創部周囲に
浮腫 (Edema) や発赤、熱感が生じるのが正常な経過です。
3.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! 各選択肢は創傷治癒の異なる段階を示しています。
- ②番の「肉芽組織が形成される。」は、炎症期の次の段階である
増殖期 (Proliferative Phase)(術後3日~3週間程度)の所見です。
- ③番の「コラーゲンが成熟し瘢痕組織となる。」は、最終段階である
成熟期 (Maturation Phase)(術後3週~1年以上)の所見です。
- ④番の「血管内皮細胞が新しい血管を形成する。」(血管新生)も増殖期に起こるため、術後1日ではまだ始まっていません。
4.
関連概念の整理 (Related Concepts):
創部の観察(アセスメント)では、発赤(Rubor)、熱感(Calor)、腫脹(Tumor)、疼痛(Dolor)の4つの炎症徴候(古典的炎症兆候)を評価します。これらの程度が強すぎる場合は、感染や創離開のリスクを考慮する必要があります。
概念整理:
| 創傷治癒の段階 | 主な出来事 | 時期(目安) |
|---|
| 炎症期(滲出期) | 止血、血管透過性亢進、白血球遊走、浮腫 | 術後0~3日 |
| 増殖期 | 肉芽組織形成、血管新生、上皮化 | 術後3日~3週間 |
| 成熟期( remodeling期 ) | コラーゲン再構築、瘢痕収縮、創収縮 | 術後3週~1年以上 |
一目で比較!:
炎症期 vs 感染:炎症期の浮腫・発赤・熱感は正常な生体反応ですが、膿性浸出液の増加、悪臭、発熱、疼痛の増強があれば
感染 (Infection)を疑います。
看護過程ポイント:
アセスメント: 創部のサイズ、滲出液の量・性状(漿液性/血性/膿性)、創周囲の皮膚状態(浮腫、発赤範囲、硬結の有無)を観察。ドレーンやガーゼの交換時期と量も確認。
看護診断: 術後急性期は「組織完全性の障害」や「急性疼痛」が優先される看護診断です。
計画・介入: 創部の安静保持、感染予防のための無菌的操作(ガーゼ交換時など)、疼痛の緩和(体位調整、鎮痛薬投与)を計画します。
評価: 浮腫の軽減、創部の状態の改善、感染徴候の有無を評価します。
暗記のコツ:
「
イ(1日目)ンキで
浮腫(炎症期)」→ 術後1日は浮腫が正常!
「
ミ(3日目)ンチで
肉芽(増殖期)」→ 術後3日目から肉芽形成!
「
サ(3週間)イコロ
瘢痕(成熟期)」→ 3週以降に瘢痕化!
国試頻出ポイント:
創傷治癒の各時期とその特徴(炎症徴候、肉芽、瘢痕)を具体的な日数(術後1日/3日/3週)と結びつけて出題される傾向が強いです。また、創部の観察ポイント(特に感染徴候の早期発見)は、状況設定問題で頻出です。
出題パターン注意!:
「術後3日目の患者の創部を観察すると、赤色の柔らかい組織が認められた。これは正常か異常か?」→ 増殖期の正常な肉芽組織です!と即答できるようにしましょう。