核心解説
この問題は、
高齢者 (Elderly) の
脱水 (Dehydration) のアセスメントにおける情報収集の優先順位を問うています。患者Aさんは、発熱(体温37.5℃)と水分摂取不良、さらに血液検査で
血清Na値 150mEq/L(高値)、
BUN 25mg/dL(軽度高値)、
Ht 50%(軽度高値)を示しており、
最重要! 高張性脱水 (Hypertonic Dehydration) の状態と判断できます。高齢者は腎機能の低下や口渇感の減退により、脱水に陥りやすいため、早期発見と介入が重要です。このような背景から、脱水の有無や程度を評価するための客観的指標として、
尿比重 (Urine Specific Gravity) の測定が優先度の高い情報となります。尿比重は脱水時には上昇するため、簡便で侵襲の少ない脱水の評価指標です。
正解の根拠 (Answer Rationale): Aさんは高齢で脳梗塞の後遺症があり、最近の水分摂取不良と微熱から脱水が疑われます。血液検査結果(Na高値、BUN高値、Ht上昇)はこれを裏付けています。
最重要! 脱水の評価において、
尿比重 (Urine Specific Gravity) は、腎臓の濃縮能を反映し、脱水時には基準値(1.010~1.025)を超えて高値を示すため、客観的な評価指標として非常に有用です。選択肢の中で最も直接的に脱水の有無を確認できる情報です。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
①
混同注意! 口渇感 (Thirst) は主観的な訴えであり、高齢者では口渇中枢の感受性が低下しているため、たとえ脱水状態であっても口渇を自覚しないことがあります。主観的な情報のみに頼るのは危険であり、客観的な指標に優先順位が置かれます。
②
呼吸音 (Breath Sounds) は、誤嚥性肺炎などの呼吸器合併症の評価に重要ですが、Aさんの胸部エックス線写真は異常なし、SpO2も正常であり、現時点での優先順位は高くありません。
④
腹部膨満感 (Abdominal Distension) は、消化器症状の評価項目ですが、Aさんの主訴は食欲不振であり、腹部膨満感の有無は確認すべき情報ではありますが、脱水の評価として直接的な指標ではありません。
関連概念の整理 (Related Concepts): 脱水は
高張性脱水 (Hypertonic Dehydration)(Na > 145mEq/L)、
等張性脱水 (Isotonic Dehydration)(Na 正常)、
低張性脱水 (Hypotonic Dehydration)(Na < 135mEq/L)に分類されます。高齢者では、発熱や下痢による水分喪失に加え、飲水不足が重なり高張性脱水をきたしやすいです。アセスメントのポイントは、血液検査(Na、BUN、Ht、総蛋白)と尿検査(尿比重、尿量、尿中Na濃度)を組み合わせることです。また、
バイタルサイン (Vital Signs) では、皮膚ツルゴール(turgor)の低下、口腔粘膜の乾燥、起立性低血圧なども合わせて観察します。
概念整理: 高齢者の脱水アセスメント:血液検査(Na、BUN、Ht、総蛋白)+ 尿検査(尿比重、尿量)+ 身体所見(皮膚ツルゴール、口腔粘膜、バイタルサイン)。特に高齢者の口渇感はあてにならないため、客観的指標を優先する。
一目で比較!:
| 脱水の種類 | 血清Na値 | 原因の例 | 主なアセスメント指標 |
|---|
| 高張性脱水 | 145mEq/L以上 | 水分摂取不足、発熱 | 尿比重↑、BUN↑、Ht↑、口渇(高齢者では減弱) |
| 等張性脱水 | 正常範囲 | 出血、下痢 | Ht↑、尿量減少 |
| 低張性脱水 | 135mEq/L未満 | 利尿薬の過剰投与、嘔吐 | 尿比重↓、尿中Na↑ |
看護過程ポイント: アセスメントでは、主観的情報(口渇感など)に加え、客観的情報(血液検査、尿検査、バイタルサイン)を統合する。看護診断としては「
体液量不足 (Deficient Fluid Volume)」または「
体液量減少リスク (Risk for Deficient Fluid Volume)」が考えられる。計画では、安全な経口水分補給の促進と、必要に応じた
輸液療法 (Fluid Therapy) の実施、バイタルサインと尿量のモニタリングを立案する。
暗記のコツ: 「高齢者の脱水は『口渇感』というアラームが壊れている!」と覚えましょう。つまり、主観的訴えに頼らず、血液データ(Na、BUN、Ht)と尿比重を必ずチェックするのが鉄則です。
国試頻出ポイント: 脱水の種類(高張性・等張性・低張性)とその鑑別ポイント、高齢者の脱水症状の特徴(非典型的な症状、口渇感の減退、せん妄の誘発)は国試で頻出です。また、検査値(Na、BUN、Ht、尿比重)の解釈と看護介入の優先順位を問う問題が出題されやすいです。
出題パターン注意!: 事例問題として、高齢者の術後管理や、経口摂取不良の患者の看護計画の立案に発展することが多いです。単純な知識問題に加え、「この患者のデータから最も優先すべき看護問題はどれか」といった判断を求める問題にも対応できるようにしておきましょう。