核心解説
この問題は、
肝硬変 (Liver Cirrhosis) の重症度評価に用いられる
Child-Pugh分類 (Child-Pugh Classification) の判定項目を問うています。この分類は、肝予備能(肝臓の機能予備力)を評価し、予後予測や治療方針(特に手術適応や薬物療法のリスク評価)の決定に不可欠です。単なる暗記ではなく、各項目が肝臓のどの機能を反映しているかを理解することが重要です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! Child-Pugh分類は以下の5項目で構成され、各項目をスコア化(1~3点)し、合計点(5~15点)でGrade A(5~6点)、B(7~9点)、C(10~15点)に分類します。
1.
肝性脳症の程度 (Degree of Hepatic Encephalopathy):アンモニア代謝障害による意識障害の重症度。
2.
腹水の程度 (Degree of Ascites):門脈圧亢進と低アルブミン血症による体液貯留。
3.
血清ビリルビン値 (Serum Bilirubin Level):肝細胞のビリルビン抱合・排泄能を反映。
4.
血清アルブミン値 (Serum Albumin Level):肝細胞のタンパク合成能を反映。低値は肝機能低下を示す。→
低アルブミン血症 (Hypoalbuminemia) は肝不全の指標
5.
プロトロンビン時間 (Prothrombin Time, PT):肝臓で産生される凝固因子(第II, VII, IX, X因子など)の合成能を反映。延長は肝機能低下を示す。→
PT延長 (Prolonged PT) は出血リスク増大
したがって、選択肢①
プロトロンビン時間 と②
血清アルブミン値 が正解です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
- ③
混同注意! 血中アンモニア値 (Blood Ammonia Level) は、肝性脳症の原因物質の一つですが、Child-Pugh分類の直接的な判定項目ではありません。肝性脳症の程度は「臨床症状」で評価します(意識レベル、羽ばたき振戦など)。アンモニア値は参考指標ですが、分類項目には含まれません。
- ④ 血小板数 (Platelet Count) は、慢性肝疾患における門脈圧亢進による脾機能亢進症 (Hypersplenism) で低下しますが、Child-Pugh分類の項目ではありません。肝線維化の指標として用いられることがあります(例:FIB-4 index)。
- ⑤ 尿酸値 (Uric Acid Level) は肝硬変と直接的な関連はなく、分類項目ではありません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
Child-Pugh分類と混同しやすい評価尺度として、
MELDスコア (Model for End-Stage Liver Disease) があります。MELDスコアは、血清クレアチニン値、血清ビリルビン値、INR(国際標準比、プロトロンビン時間の指標)を用いて算出され、特に肝移植の優先順位決定に用いられます。また、肝硬変の合併症評価として、
食道胃静脈瘤 (Esophagogastric Varices) のスクリーニング(内視鏡検査)も重要です。
概念整理: Child-Pugh分類の5項目は「脳症(意識)」「腹水(体液)」「ビリルビン(代謝)」「アルブミン(合成)」「PT(凝固)」と、肝臓の多面的な機能を評価します。これらを「肝臓の5大機能」として覚えましょう。
一目で比較!:
| 評価尺度 | 主な評価項目 | 主な用途 |
|---|
| Child-Pugh分類 | 脳症、腹水、ビリルビン、アルブミン、PT | 肝硬変の重症度分類、予後予測、手術リスク評価 |
| MELDスコア | クレアチニン、ビリルビン、INR | 肝移植の優先順位決定 |
| APRIスコア | AST値、血小板数 | 肝線維化の非侵襲的評価 |
看護過程ポイント: Child-Pugh分類の結果は、看護計画に直結します。Grade Cの患者では、
肝性脳症の予防(アンモニア上昇を避けるための食事管理、便秘予防、薬剤の慎重投与)、
出血リスク管理(プロトロンビン時間延長に伴う皮下注射後の圧迫時間延長、転倒転落予防)、
腹水管理(体重・腹囲測定、低ナトリウム食の指導)が優先されます。
暗記のコツ: 「Child-Pughの5項目は『頭(脳症)とお腹(腹水)と3つの血液検査(ビリルビン、アルブミン、PT)』」と覚えましょう。特に「PT」は凝固因子の合成能、「アルブミン」はタンパク合成能と、それぞれが肝臓の異なる働きを反映している点を意識してください。
国試頻出ポイント: Child-Pugh分類の各項目を直接問う問題、あるいは「肝硬変の患者で、肝機能評価のために最も適切な検査はどれか」という形で出題されます。また、スコアの解釈(Grade A/B/Cの違い)や、スコアに応じた治療・看護介入の優先順位を問う状況設定問題(事例問題)にも発展します。
出題パターン注意!: 「肝硬変の患者に手術が必要になった。術前評価としてChild-Pugh分類を行うことになった。評価項目として適切なものを選べ」といった臨床判断を問う問題や、「Child-Pugh分類Grade Cの患者に優先すべき看護ケアはどれか」のように、知識を応用させる問題に注意しましょう。