核心解説
この問題は、
炎症 (Inflammation) の基本的な局所徴候である
4徴候 (Cardinal Signs of Inflammation)について問うています。炎症は、感染や組織損傷に対する生体の防御反応であり、古典的には
発赤 (Rubor)、熱感 (Calor)、腫脹 (Tumor)、疼痛 (Dolor)の4徴候が知られています。これらは血管透過性の亢進や血流増加、化学伝達物質の放出によって引き起こされます。
正解の根拠 (Answer Rationale)
炎症の4徴候は、
発赤 (Rubor)と
腫脹 (Tumor)です。発赤は血管拡張による血流増加、腫脹は血管透過性亢進による組織への体液(浸出液)貯留によって生じます。これらは炎症の急性期に必ず観察される基本的な所見であり、正解の選択肢となります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①番の
壊疽 (Gangrene)は、組織が壊死に陥った状態であり、炎症の4徴候には含まれません。壊疽は重度の虚血や感染の結果として生じるもので、炎症の一部というより、その後の病態です。
③番の
膿瘍 (Abscess)は、化膿性炎症によって組織内に膿が限局的に貯留した状態であり、4徴候そのものではなく、炎症の結果として生じる可能性がある病変です。
⑤番の
浮腫 (Edema)は、組織間隙に過剰な水分が貯留した状態ですが、炎症の4徴候のうち「腫脹」とは異なります。浮腫は心不全や腎疾患など非炎症性の原因でも生じるため、炎症に特異的な徴候とは言えません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
混同注意! 炎症の4徴候に「機能障害 (Functio Laesa)」を加えると
5徴候 (5 Cardinal Signs)になります。また、全身性の炎症反応では、発熱や白血球増多、CRP上昇などがみられます。炎症と
感染症 (Infection)は密接に関連しますが、炎症は非感染性(外傷・熱傷・自己免疫疾患など)でも生じることを理解しておきましょう。
概念整理: 炎症の4徴候:
発赤 (Rubor)、
熱感 (Calor)、
腫脹 (Tumor)、
疼痛 (Dolor)。これらは血管反応(拡張・透過性亢進)と化学伝達物質(ヒスタミン・プロスタグランジンなど)によって引き起こされる。
一目で比較!:
| 項目 | 4徴候 | 5徴候 |
|---|
| 内容 | 発赤・熱感・腫脹・疼痛 | 上記 + 機能障害 |
| 提唱者 | ケルスス (Celsus) | ガレノス (Galenus) |
看護過程ポイント: 炎症部位のアセスメントでは、発赤・熱感・腫脹・疼痛の有無と程度を観察し、感染兆候(膿瘍形成・発熱)と鑑別する。炎症の進行を防ぐため、安静・冷却・挙上(RICE処置)を指導する。
暗記のコツ: 「赤・熱・腫・痛」の頭文字「赤熱腫痛(せきねつしゅつう)」で覚えましょう。さらに機能障害を加えて「赤熱腫痛機」とすると5徴候です。
国試頻出ポイント: 炎症の4徴候は必修問題で頻出。選択肢に「壊疽」「膿瘍」「浮腫」などの類似用語が混ざることが多いので、正確に区別できるようにしておきましょう。
出題パターン注意!: 単純な4徴候の列挙問題だけでなく、「炎症部位のアセスメントで正しいのはどれか」や「慢性炎症ではみられにくい徴候はどれか」といった応用問題にも対応できるように、病態生理を理解しておくことが重要です。