核心解説
この問題は、
蠕動運動 (Peristalsis)がみられる部位を問うています。蠕動運動とは、管腔臓器の平滑筋が収縮と弛緩を交互に繰り返すことで内容物を一方向に送り出す運動のことです。尿路においては、尿を腎臓から膀胱へと能動的に輸送するために、腎盂 (Renal Pelvis) と尿管 (Ureter) にこの蠕動運動が存在します。腎動脈、膀胱、尿道は受動的な通過または貯留の役割が主であり、蠕動運動はみられません。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は
最重要! 腎盂 と
尿管 です。腎臓で生成された尿は、まず腎杯から
腎盂 に集められます。腎盂壁の平滑筋が蠕動運動(約2~6回/分)を開始し、この収縮波が
尿管 へと伝播することで、尿は重力に依存せずに膀胱へと能動的に送り出されます。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番の
腎動脈は血管であり、血液の拍動流は心臓のポンプ作用によるもので、平滑筋の蠕動運動ではありません。
④番の
膀胱は尿を貯留する器官で、排尿時には平滑筋(排尿筋)が一斉に収縮しますが、これは内容物を輸送するための蠕動運動とは異なります。
⑤番の
尿道は尿を体外へ排出する管ですが、主に骨格筋(外尿道括約筋)によって制御され、蠕動運動はみられません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
消化管も蠕動運動によって内容物を運びます。食道、胃、小腸、大腸がその例です。一方、血管(動脈・静脈)やリンパ管は蠕動運動ではなく、心臓の拍出や周囲の筋肉のポンプ作用、弁の働きによって血流が維持されます。尿路の蠕動運動は、
腎盂尿管移行部 (Ureteropelvic Junction, UPJ) から始まることがポイントです。
概念整理:
蠕動運動 (Peristalsis) は、平滑筋で構成される管腔臓器が内容物を輸送するための能動的運動。尿路では
腎盂 と
尿管 に存在する。
一目で比較!:
| 部位 | 蠕動運動の有無 | 主な機能 |
| 腎動脈 | なし | 血液の受動的灌流(心臓のポンプ作用) |
| 腎盂 | あり | 尿の集約と能動的輸送開始 |
| 尿管 | あり | 尿の能動的輸送(蠕動伝播) |
| 膀胱 | なし | 尿の貯留と一斉収縮による排出 |
| 尿道 | なし | 尿の受動的排出路(括約筋制御) |
看護過程ポイント:
アセスメント: 尿管結石の患者では、蠕動運動の亢進による疝痛(Colicky Pain)が生じます。結石が蠕動を妨げると、腎盂内圧が上昇し、水腎症 (Hydronephrosis) を引き起こすリスクがあります。
暗記のコツ: 「腎盂と尿管が尿を送るための『自走式ベルトコンベア』」とイメージしましょう。膀胱と尿道は「貯蔵タンクと排水パイプ」で、自走機能はありません。
国試頻出ポイント: 尿路の解剖と生理機能の組み合わせ問題として頻出。「蠕動運動がみられる部位は?」という直接的な問いのほか、「尿管結石の痛みの原因となる病態は?」など、臨床症状と関連付けて出題されることもあります。
出題パターン注意!: 「消化管の蠕動運動がみられる部位は?」という類似問題と混同しないように。消化管の蠕動運動は食道から大腸まで幅広くみられますが、尿路は腎盂と尿管に限られます。