核心解説
この問題は
関節リウマチ (Rheumatoid Arthritis, RA) の病態における主な炎症部位を問うています。関節リウマチは、自己免疫異常により
関節滑膜 (Synovium) に慢性炎症(滑膜炎) が生じ、増殖した滑膜組織(パンヌス (Pannus))が軟骨や骨を破壊していく全身性炎症性疾患です。
正解の根拠 (Answer Rationale): 関節リウマチの初期病変の主座は
滑膜 (Synovium) です。免疫複合体や自己抗体(リウマトイド因子、抗CCP抗体)が関与して滑膜細胞が増殖し、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-6など)が放出されることで滑膜炎が引き起こされます。これが関節の腫脹・疼痛・朝のこわばり(モーニングスティフネス (Morning Stiffness))の主因となります。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ②血管炎 (Vasculitis) は関節リウマチの関節外症状(皮膚潰瘍、末梢神経障害など)として生じることがありますが、
主な炎症ではありません。③骨髄炎 (Osteomyelitis) は細菌感染による骨髄の炎症で、関節リウマチとは病態が異なります。④骨軟骨炎 (Osteochondritis) は骨軟骨の炎症で、離断性骨軟骨炎などが代表的ですが、関節リウマチの主病変ではありません。⑤関節周囲炎 (Periarthritis) は腱や靭帯など関節周囲組織の炎症で、五十肩(肩関節周囲炎)などが該当し、関節リウマチの主座とは異なります。
関連概念の整理 (Related Concepts): 関節リウマチと類似する疾患として
変形性関節症 (Osteoarthritis, OA) があります。変形性関節症は機械的摩耗による軟骨の変性が主体で炎症は二次的ですが、関節リウマチは自己免疫性の滑膜炎が一次的病変です。この違いは治療戦略(RAでは免疫抑制薬・生物学的製剤、OAでは鎮痛薬・関節内注射)に直結します。
概念整理:
関節リウマチ (RA) の核心病態は
自己免疫性滑膜炎 (Autoimmune Synovitis) です。滑膜の炎症 → パンヌス形成 → 軟骨・骨破壊 → 関節変形・機能障害という進行過程を理解しましょう。
一目で比較!:
| 疾患 | 主病変部位 | 炎症の種類 | 代表的な関節 |
|---|
| 関節リウマチ (RA) | 滑膜 | 自己免疫性慢性炎症 | 手指PIP・MP関節、手関節(対称性多関節炎) |
| 変形性関節症 (OA) | 関節軟骨 | 非炎症性(機械的変性) | 膝、股、手指DIP関節(荷重関節) |
看護過程ポイント: アセスメントでは
関節の腫脹・圧痛・可動域制限・朝のこわばりの持続時間(30分以上がRAに特徴的) を観察。看護診断として「慢性疼痛」「身体可動性障害」「セルフケア不足」が優先されます。計画では、安静と運動のバランス(急性期は安静、寛解期は関節保護と可動域訓練)を考慮します。
暗記のコツ: 「RA = 滑膜が狙われる(Run Away 滑膜)」と覚えましょう。滑膜以外の部位(血管、心膜、肺など)にも炎症が及ぶ可能性があることも頭の片隅に。
国試頻出ポイント: 関節リウマチと変形性関節症の比較は毎年のように出題されます。特に「朝のこわばりの有無」「関節の対称性」「炎症所見(CRP、赤沈)の有無」は必ず押さえましょう。
出題パターン注意!: 基礎的な病態理解を問う問題から、「関節リウマチ患者の夜間の疼痛に対する看護介入は?」「手指変形が進行した患者のADL支援」といった状況設定問題へ発展します。