仙骨部に皮下組織に達する褥瘡がある患者が入院となった。患者は車椅子の利用を主治医に許可されている。この患者に対する多職種… | MyMerci
一般・状況設定問題
問題

仙骨部に皮下組織に達する褥瘡がある患者が入院となった。患者は車椅子の利用を主治医に許可されている。この患者に対する多職種で行う褥瘡ケアにおいて、受け持ち看護師が担う役割で適切なのはどれか。

解説
車椅子乗車時の除圧方法は、ポジショニングやリハビリの専門家である理学療法士と連携・検討することが適切です。外用薬の処方は医師の役割です。

詳細解説

核心解説 この問題は、褥瘡(Bedsore / Pressure Ulcer)ケアにおける多職種連携(Multidisciplinary Collaboration / Interprofessional Work)の中で、看護師の役割を正しく理解しているかを問うています。特に、最重要!「病態のアセスメント」「ケアの実践」「他職種との連携・調整」が看護師の中心的な役割です。医師の指示が必要な処方や、他職種の専門領域に属する判断を看護師が単独で行うことはできません。

正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! ④「理学療法士(Physical Therapist / PT)と車椅子乗車時の除圧方法を検討する」が適切です。仙骨部(Sacral Region)褥瘡(Pressure Ulcer)は、座位をとることで体重がかかり、圧迫が継続すると治癒が遅延したり悪化したりします。看護師は患者の全身状態や皮膚の観察結果を踏まえ、座位時間や除圧方法についてアセスメントします。それを理学療法士(Physical Therapist)と共有し、車椅子の座位バランスやクッション、ポジショニング(Positioning)の専門的視点からアドバイスを得ながら、具体的な除圧計画を立案・実施することが、効果的なケアにつながります。

誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
①「薬剤師(Pharmacist)に外用薬の処方を依頼する」→ 誤り(Non-appropriate)。外用薬の処方(Prescription)は医師(Physician / Doctor)の権限です。薬剤師は処方された薬剤の調剤や情報提供(薬学的管理)を行います。看護師は医師に症状や創部の状態を報告し、処方を依頼する役割を担います。
②「事務職員(Clerical Staff)に汚染ガーゼの廃棄を依頼する」→ 誤り(Non-appropriate)。汚染ガーゼ(Contaminated Gauze)の廃棄は、感染性廃棄物(Infectious Waste)として適切に処理する必要があります。これは主に看護師や看護助手などの医療従事者が行う業務であり、事務職員に依頼するのは不適切です。
③「介護職員(Care Worker)にドレッシング材(Dressing Material)の選択を依頼する」→ 誤り(Non-appropriate)。ドレッシング材の選択は、創部の状態(滲出液の量、感染の有無、肉芽形成の状態など)を専門的にアセスメントし、適切な材質や形状を判断する必要があります。この判断は、医師の指示のもと、看護師が中心となって行う役割です。介護職員は、看護師の指示や計画に基づき、清潔ケアや体位変換の補助を行います。

関連概念の整理 (Related Concepts)
褥瘡(Pressure Ulcer)ケアにおける多職種連携(Interprofessional Collaboration)のチームメンバーと主な役割を整理しましょう。
職種主な役割(褥瘡ケア関連)
医師(Physician)診断、外用薬・全身投与薬の処方、外科的デブリードマン(Debridement)の適応判断、チーム全体の統括
看護師(Nurse)全身・創部のアセスメント、ドレッシング材の選択と交換、体位変換・除圧ケアの計画立案と実施、皮膚ケア、患者・家族への指導、他職種への情報提供と調整
理学療法士(Physical Therapist)関節可動域訓練、筋力強化訓練、車椅子やベッド上でのポジショニング(Positioning)指導、座位バランス評価、移動能力の評価と訓練
作業療法士(Occupational Therapist)日常生活動作(ADL)訓練、褥瘡予防のための動作指導、自助具の選定・作成、リクライニング車椅子の調整
管理栄養士(Registered Dietitian)栄養アセスメント、創傷治癒促進のための栄養管理(高タンパク・高カロリー食など)

概念整理: 褥瘡ケア(Pressure Ulcer Care)は、原因となる圧迫(Pressure)・ずれ(Shear)・摩擦(Friction)の除去・軽減と、治癒を促進するための栄養管理(Nutritional Management)・湿潤環境療法(Moist Wound Healing)が基本です。これらを効果的に実践するには、多職種がそれぞれの専門性を発揮し、看護師が中心となって連携・調整することが不可欠です。

一目で比較!: 混同注意! - 褥瘡(Pressure Ulcer): 圧迫・ずれが主原因。好発部位は仙骨部、踵部、大転子部など。 - スキン-テア(Skin Tear): 摩擦・ずれによる表皮剥離。高齢者の脆弱な皮膚に発生しやすい。 - 失禁関連皮膚炎(Incontinence-Associated Dermatitis / IAD): 尿・便による刺激が原因。肛門周囲・会陰部に好発。

看護過程ポイント - アセスメント(Assessment): 全身状態(栄養状態、感染徴候)、褥瘡の局所所見(部位、大きさ、深さ(DESIGN-R®)、滲出液の量・性状、肉芽・壊死組織の状態、周囲皮膚の状態)、疼痛の有無、車椅子座位の状況(座位時間、除圧頻度、クッションの種類)。 - 看護診断(Nursing Diagnosis): 「皮膚統合性の障害(Impaired Skin Integrity)」、「栄養バランスの変化:必要量以下(Imbalanced Nutrition: Less Than Body Requirements)」、「活動・運動障害(Impaired Physical Mobility)」など。 - 計画・実施(Planning & Implementation): 医師の指示に基づくドレッシング材交換。2時間ごとの体位変換。車椅子上での定期的な除圧動作(プッシュアップなど)の指導。栄養士への栄養相談。理学療法士との連携による座位評価・ポジショニング調整。 - 評価(Evaluation): 創部の縮小・改善傾向、疼痛の軽減、患者のセルフケア能力の向上。

暗記のコツ: 多職種連携(Multidisciplinary Collaboration)のイメージは「看護師がハブ(Hub)になる」!患者の全体像を把握している看護師が、各専門職をつなぎ、チームの方向性を統一します。各職種の役割を「処方は医師」「リハビリはPT/OT」「栄養は管理栄養士」とセットで覚えましょう。

国試頻出ポイント: 褥瘡ケアにおける多職種連携の問題は、看護師の役割を「調整役」「実践者」と正しく理解しているかが問われます。特に「処方の依頼」「他職種への判断の丸投げ」といった誤った選択肢が頻出です。看護師の判断・実施範囲をしっかり押さえましょう。

出題パターン注意!: 「事例問題(状況設定問題)」で出題されることが多いです。「〇〇病棟の看護師長」「褥瘡対策チーム(Wound, Ostomy and Continence Nurse / WOCN)のメンバー」などの立場で、適切な行動を選択させる形式に発展します。看護師は「患者を中心に、専門家として判断し、調整する」という視点が重要です。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
80歳代女性、大腿骨頸部骨折(Femoral Neck Fracture)術後。車椅子での離床が許可されていますが、手術前からの廃用により座位バランスが不良です。ベッド上での自力での体位変換は困難で、術後臥床が続いたため、仙骨部(Sacral Region)に皮膚の一部が欠損し、皮下組織に達する褥瘡(Pressure Ulcer / Stage III)が発生しました。創部には黄白色の線維性の壊死組織(Slough)が付着し、中等量の滲出液(Exudate)があります。患者は「お尻が痛い」と頻繁に訴えています。受け持ち看護師は、チームでどのようにケアを進めるべきでしょうか?

看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察・アセスメント(Observation & Assessment): まず、患者の全身状態(バイタルサイン、感染徴候の有無)と褥瘡の局所所見を詳細にアセスメントします。最重要! DESIGN-R®ツールを用いて客観的に評価し、経時的な変化を追えるように記録します。疼痛の有無と程度も必ず確認します(Numerical Rating Scale / NRSなど)。 2. 情報共有とカンファレンス(Information Sharing & Conference): 担当医、理学療法士(Physical Therapist)、管理栄養士などと情報を共有し、多職種カンファレンスを開催します。看護師は、創部の状態、患者の疼痛、座位時間、食事摂取量などの情報を提供します。 3. 連携と計画立案(Collaboration & Planning): 最重要! 理学療法士と協働し、車椅子の座位評価を行います。座位バランスが不良であれば、リクライニング機能付き車椅子の導入や、体幹保持用のクッションの調整、定期的な除圧動作(プッシュアップ)の方法を検討します。看護師は、この計画に基づき、日中2時間ごと、夜間は必要に応じての除圧ケア(体位変換や車椅子からの離床)を実施します。 4. 実践と評価(Implementation & Evaluation): 医師の指示に基づき、滲出液の吸収と壊死組織の除去に適したドレッシング材(例:ハイドロファイバー®など)を使用し、週に数回の頻度で交換します。栄養士は高タンパク・高カロリー食の提供を提案します。週に1回、創部の写真撮影とDESIGN-R®評価を行い、ケアの効果を評価し、計画を見直します。

患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- 感染徴候の見逃しに注意! 創部からの悪臭、発赤の拡大、発熱、排膿(Purulent Discharge)は感染(Infection)を示唆します。発見時は直ちに医師に報告し、創部培養検査(Wound Culture)を検討します。 - 疼痛コントロールが不十分な場合、 患者は除圧動作やリハビリを拒否する可能性があります。医師に鎮痛薬の追加処方を依頼し、ケア前に内服するなどして、疼痛を軽減した状態でケアを実施することが重要です。 - 転倒・転落リスクに注意。座位バランスが不良な患者は、車椅子からの転落リスクが高いです。理学療法士と連携し、安全な移乗方法やベルトの使用を検討します。

看護プロトコル: SBAR(Situation-Background-Assessment-Recommendation)を用いた報告例。
- S(状況): 「A病棟のB様(80代女性)ですが、仙骨部の褥瘡の状態について報告します。」 - B(背景): 「大腿骨頸部骨折術後で、車椅子での離床が許可されていますが、座位バランスが不良です。」 - A(アセスメント): 「創部の黄白色の壊死組織が残存し、滲出液がやや増加しています。DESIGN-R評価は〇点で、感染徴候は認められません。」 - R(提案): 「現在のドレッシング材では滲出液のコントロールが難しいと感じています。より吸収力の高いドレッシング材への変更と、理学療法士による座位評価の依頼を提案します。」

先輩看護師の一言: 「褥瘡ケアは、『創部だけを見る』のではなく、『患者さん全体と生活を見る』ことが大切です。『なぜこの患者さんに褥瘡ができたのか?』『何が治癒を妨げているのか?』を、栄養、動作、医療機器など多角的に考えましょう。そして、自分だけで抱え込まず、積極的に他職種の専門性を活用すること。それがチーム医療であり、看護師の腕の見せどころです!」

重要概念

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