Aさん(79歳、男性)は、1人暮らし。要介護2の認定を受け、訪問看護を利用することになった。初回の訪問時、Aさんは敷いた… | MyMerci
一般・状況設定問題
問題

Aさん(79歳、男性)は、1人暮らし。要介護2の認定を受け、訪問看護を利用することになった。初回の訪問時、Aさんは敷いたままの布団の上に座っており「便利だから生活に必要なものを手の届くところに置いているんだよ」と話した。Aさんの生活様式を尊重した訪問看護師のこのときの声かけで適切なのはどれか。

解説
在宅看護では、患者のこれまでの生活様式や価値観を尊重し、受容することが基本です。「必要なものを身近に置いているのですね」と、まずはAさんの生活の工夫や考えを受け止める声かけが適切です。

詳細解説

核心解説 この問題は、訪問看護 (Home Visiting Nursing) における基本理念である 対象者の生活様式の尊重受容的態度 を問うています。
在宅看護では、医療機関とは異なり、看護師は患者さんの 生活の場 (Living Space) に介入します。このため、医療者側の価値観や「こうあるべき」という考えを押し付けるのではなく、まずはその人の長年培われた生活習慣や価値観を理解し、受け入れることが最も重要です。
Aさんは「便利だから生活に必要なものを手の届くところに置いている」と、自身の生活の工夫を説明しています。この発言に対して、否定や修正をせずに、まずは共感し受け止めることが、信頼関係 (Therapeutic Relationship) 構築の第一歩となります。 正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は④「必要なものを身近に置いているのですね」です。
これは、Aさんの言葉をそのまま繰り返し、受容(アクセプタンス:Acceptance)と共感(エンパシー:Empathy)を示す、傾聴 (Active Listening) の基本技法です。まずは患者の自己決定権(オートノミー:Autonomy)を尊重し、生活の知恵や工夫を認めることで、今後の指導や提案も受け入れられやすくなります。 誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 「外に出て気分転換しませんか」は、Aさんのニーズや気持ちを無視した医療者側からの一方的な提案です。閉じこもりがちな高齢者への声かけとして一般的ですが、この場面ではAさんの発言に対する返答として不適切です。
② 「昼間は布団をたたみましょう」は、混同注意! 看護師側の「生活リズムの改善」「寝たきり予防」という価値観に基づいた指導です。しかし、初回訪問でいきなり改善を促すことは、患者の生活様式を否定することになり、信頼関係を損なう恐れがあります。
③ 「介護保険でベッドの貸与を受けましょう」も、一方的なサービスの提案です。Aさんが現在の生活に不便を感じているかどうかのアセスメントもなく、ベッドの貸与を勧めるのは時期尚早です。 関連概念の整理 (Related Concepts)
この問題の背景にあるのは、アドボカシー (Advocacy:権利擁護)ノーマライゼーション (Normalization) の理念です。在宅看護では、患者が住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられるよう支援することが目的であり、医療モデルではなく 生活モデル (Life Model) に基づいた看護が求められます。
特に高齢者の場合、長年の生活習慣は簡単に変えられるものではなく、無理な変更は 転倒 (Fall) や閉じこもり (Social Withdrawal) などのリスクを高める可能性があります。 概念整理: 在宅看護の基本姿勢
要素説明
生活様式の尊重患者の価値観・習慣・生活リズムを最優先する
受容的態度まずは患者の言葉や状況を否定せず受け入れる
患者の主体性看護師が決めるのではなく、患者自身が選択・決定することを支援する
初期介入の注意初回訪問ではアセスメントと信頼関係構築が優先。指導や提案はその後
看護過程ポイント
- アセスメント: Aさんの「布団の上に座っている」「手の届くところに物を置く」という生活様式を、単なる「問題点」として捉えるのではなく、Aさんの 生活の知恵 (Coping Strategy)セルフマネジメント (Self-Management) の一部として肯定的に評価する。 - 看護診断 (Nursing Diagnosis): 現時点では「非効果的健康維持 (Ineffective Health Maintenance)」などは診断できない。むしろ「健康管理における自己決定の準備状態 (Readiness for Enhanced Self-Health Management)」の可能性を考える。 - 計画・実施: まずはAさんの生活を丸ごと受け止め、その上で「寒くないですか?」「夜のトイレは大丈夫ですか?」など、より具体的な生活の安全性に関する質問へと展開していく。 国試頻出ポイント
看護師国家試験では、在宅看護論だけでなく、基礎看護学や老年看護学の分野でも「患者の主体性を尊重した対応」を問う問題が頻出です。特に初回訪問場面では、「まず受容」「指導はその後」が鉄則です。「介護保険サービスを勧める」「生活改善を促す」といった選択肢は、一見正しそうに見えますが、時期尚早であることが多いので注意しましょう。 出題パターン注意!
この問題は「Aさんの生活様式を尊重した声かけ」というシンプルな出題ですが、発展問題では「Aさんは布団を敷きっぱなしにしている。訪問看護師が次に行うべきアセスメントはどれか」といった形で、観察項目の優先順位を問われることもあります。その場合は「転倒リスク(特に夜間のトイレ動作)」「皮膚状態(褥瘡予防)」「換気や室温(呼吸器系のリスク)」などがキーになります。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
あなたは訪問看護師です。初回訪問で、79歳のAさん(要介護2、独居)の自宅を訪れました。Aさんはリビングに敷きっぱなしの布団の上に座ってテレビを見ており、「足が悪くてね。でも、ここに寝たり起きたり、テレビも見られるから便利なんだよ」と話します。部屋を見渡すと、テレビのリモコン、電話、薬、飲み物のペットボトル、爪切りなどが、布団の周りの手の届く範囲にぎっしり置かれています。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察 (Observation): Aさんの表情や口調、全身状態(特に下肢の筋力や関節可動域)、部屋の環境(段差、照明、動線の障害物)を観察します。 最重要! まずは「Aさんはなぜこの生活様式を選んでいるのか?」という視点が重要です。 2. アセスメント (Assessment): Aさんの「便利だから」という発言は、自身の身体機能(歩行困難)の低下を補うための、生活の知恵であるとアセスメントします。これを否定することは、Aさんの尊厳を傷つける可能性があります。 3. 声かけと介入 (Verbal Intervention): 「なるほど、確かに手の届く範囲に必要なものがあると動かずに済みますね。とても工夫されていますね」と、まずはAさんの考えを肯定します。 4. 次のステップ (Next Step): 信頼関係が構築された後、具体的な安全確認へ進みます。「夜中にトイレに行くときは、この辺りの物につまずいたりしませんか?」「この爪切りで切った爪が布団に落ちたりしないですか?」など、Aさんの生活様式を尊重しながら、潜在的なリスクについて一緒に考える姿勢が大切です。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- 転倒・転落リスク: 布団の周りに物が多いと、夜間のトイレ歩行時に つまずき転倒 のリスクが高まります。初回訪問で直接「片付けましょう」とは言えませんが、次回訪問時までに、Aさんの許可を得てから環境調整を提案することを計画します。 - 皮膚・褥瘡リスク: 常に布団の上に座っているため、仙骨部や坐骨部の 発赤や褥瘡 (Pressure Ulcer) の有無を観察します。 - 感染対策: 爪切りや飲食物が布団の上にあるため、衛生面 (Hygiene) のアセスメントも必要です。 先輩看護師の一言
「訪問看護の鉄則は『まずは受け入れる』です!『布団をたたんだほうがいいですよ』なんて初回で言ったら、患者さんは『この人は私のことをわかってくれない』と思って、次から訪問を断られちゃうかもしれません。まずはその人の生活を尊重して、その中でどう安全を守るか、一緒に考えるのが私たちの役目です。国試の問題も、患者さんの立場に立って考えてみてくださいね!」

重要概念

MyMerciで看護師国家試験を完全対策

過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。

無料で始める

学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。