核心解説
この問題は、クラウス (Klaus, M.H.) とケネル (Kennell, J.H.) が提唱した
絆 (Bonding) の概念を正しく理解しているかを問うています。看護師国家試験では、母性看護学の「親子関係の形成」や「愛着 (Attachment)」と混同しやすいテーマです。まず、クラウスとケネルは、
絆 (Bonding) を「親から子への一方的な愛情の結びつき」と定義しました。これは、出産直後から始まる
母子相互作用 (Mother-Infant Interaction)(例えば、抱っこ、授乳、アイコンタクト、語りかけ)を通じて、徐々に発達・促進されるものだとされています。つまり、生得的なものではなく、経験と関わりによって強化される動的なプロセスなのです。
正解の根拠 (Answer Rationale)
選択肢③「母子相互作用によって促進される」が正解です。クラウスとケネルは、出産直後の
感受期 (Sensitive Period) における母子相互作用が、その後の絆形成に重要であると提唱しました。
最重要! 看護師は、この感受期を逃さず、早期のスキンシップや授乳支援を通じて、親子の絆形成を促進する援助が求められます。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①番「生まれながらのものである」は誤りです。絆は生得的なものではなく、出産後の相互作用によって形成されます。本能的なものと誤解されがちですが、養育行動や愛情は経験的に発達します。
混同注意!
②番「母子間の同調性を意味する」は誤りです。これは
愛着 (Attachment) や
相互性 (Mutuality) の概念に近いものです。絆 (Bonding) はあくまで「親から子への」一方的な愛情の結びつきを指します。母子間の同調性は、むしろ相互作用の中で生まれる双方向的な反応です。
④番「親との間に子どもが築くものである」は誤りです。これは
混同注意! ボウルビィ (Bowlby) が提唱した
愛着 (Attachment) の概念です。愛着は「子から親へ」向けられる行動であり、絆とは方向性が逆です。この「親→子=Bonding」「子→親=Attachment」という対比は国試頻出です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
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絆 (Bonding): 親→子への愛情の結びつき。出産直後の感受期に促進される。
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愛着 (Attachment): 子→親への情緒的な結びつき。ボウルビィが提唱。生涯を通じて発達する。
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相互性 (Mutuality): 親子間の相互作用の中で生まれる双方向的な絆。後に発展する概念。
概念整理:
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Klaus & Kennell (Bonding): 親→子。一方向的。出産直後の感受期が重要。
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Bowlby (Attachment): 子→親。双方向的。生涯発達。
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看護への応用: 出産直後からの早期接触(カンガルーケア、早期授乳)の重要性。
一目で比較!:
| 概念 | 提唱者 | 方向性 | 時期 |
| 絆 (Bonding) | Klaus & Kennell | 親 → 子 | 出産直後 |
| 愛着 (Attachment) | Bowlby | 子 → 親 | 乳児期〜生涯 |
看護過程ポイント:
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アセスメント: 出産後の母子の接触状況、親の子に対する言動(呼びかけ、撫でる、抱き方など)。
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看護診断: 「親役割葛藤 (Parental Role Conflict)」「愛着障害のリスク (Risk for Impaired Attachment)」など。
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計画・実施: 早期母子接触の促進、カンガルーケアの実施支援、授乳時のポジショニング指導、親の育児技術への自信を高める声かけ。
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評価: 親が子に対して愛情を示す行動(アイコンタクト、話しかけ、優しく触れる)が見られるか。
暗記のコツ:
「
Bonding は
Baby(赤ちゃん)へ向かう親の気持ち →
Bonding = 親から子へ。
Attachment は
Attach(くっつく)で、子どもが親に
Attach する → 子から親へ。」とイメージすると覚えやすいです。
国試頻出ポイント:
- クラウスとケネル(Klaus & Kennell)の名前と「絆 (Bonding)」の組み合わせ。
- 「Bonding vs Attachment」の方向性の違い。
- 感受期 (Sensitive Period) の重要性と看護介入(早期接触の促進)。
出題パターン注意!:
単純な知識問題(「絆は母子相互作用で促進される」の選択)から、事例問題(「帝王切開で早期接触ができなかった産婦。絆形成のために看護師が行うべきことは?」)へ発展します。後者の場合、焦らずに「相互作用を促進する具体的ケア(カンガルーケア、面会時間の調整など)」を選びます。