核心解説
この問題は、
心原性ショック (Cardiogenic Shock) の代表的な症状・徴候を問うています。
心原性ショックは、心臓のポンプ機能が著しく低下し、全身の臓器に十分な血液を送り出せなくなる状態です。病態を理解すれば、症状を推測できます。
1.
核心概念の分析 (Key Concept): 心原性ショックの原因として最も多いのは
急性心筋梗塞 (Acute Myocardial Infarction: AMI) です。心筋の広範な壊死により心収縮力が低下し、心拍出量 (Cardiac Output: CO) が急激に減少します。これにより、血圧は著明に低下し、生命維持に必要な臓器への灌流が不足します。
2.
正解の根拠 (Answer Rationale): 選択肢②の
胸部不快感は、心原性ショック、特に原因が急性心筋梗塞である場合に高頻度で認められます。心筋虚血による強い胸痛や圧迫感が特徴的です。
3.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
- ①
混同注意! 顔面紅潮は、発熱や一部の内分泌疾患、またはニコチン酸などの薬剤で見られます。ショックでは、末梢血管収縮により顔面蒼白 (Pallor) となるのが一般的です。
- ③ 血圧は上昇しません。心拍出量が低下するため、
血圧は著明に低下 (Hypotension) します。これはショックの診断基準の一つです。
- ④ 尿量は減少(乏尿: Oliguria)します。腎臓への血流が低下するためです。
尿量はショックの重症度評価に用いられる重要な指標で、通常は 0.5mL/kg/hr 未満となります。
4.
関連概念の整理 (Related Concepts): ショックには分類があり、病態が異なります。
| ショックの種類 |
病態の特徴 |
| 心原性ショック |
ポンプ不全(心筋梗塞、重症不整脈など) |
| 血液量減少性ショック |
循環血液量の減少(出血、脱水など) |
| 分布性ショック |
血管拡張による相対的循環血液量不足(敗血症、アナフィラキシーなど) |
概念整理:
ショック (Shock) とは、全身の組織灌流が低下し、細胞の酸素供給が需要を下回った状態です。心原性ショックは「ポンプの故障」であり、結果として「血圧低下」「末梢循環不全(四肢冷感・蒼白)」「臓器障害(乏尿、意識障害)」が出現します。胸部不快感は「ポンプが故障した原因」を示唆する重要な情報です。
一目で比較!:
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心原性ショック: 胸痛・呼吸困難・頸静脈怒張・肺水腫
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血液量減少性ショック: 口渇・皮膚の弾性低下・頸静脈陥凹
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アナフィラキシーショック: 発疹・呼吸困難・血圧低下(急激)
看護過程ポイント:
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アセスメント: バイタルサイン(特に血圧と脈拍)の頻回測定、尿量測定(1時間ごと)、意識レベルの評価(JCS/GCS)、四肢の皮膚温と色調、末梢動脈の触知、肺雑音の聴取。
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看護診断: 「心拍出量低下 (Decreased Cardiac Output)」は必須の看護診断です。
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計画・介入: 医師の指示に基づく昇圧薬(ドパミン、ノルアドレナリンなど)の投与、輸液療法(厳密なコントロールが必要)、酸素療法、安静の確保、心電図モニターの装着。
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評価: 血圧の安定、尿量の確保(30mL/hr以上)、意識レベルの改善、末梢循環の改善。
暗記のコツ: ショックの症状は「
ショック3徴候」で覚えましょう。「低血圧 (Hypotension)」「頻脈 (Tachycardia)」「冷たく湿った皮膚 (Cold and Clammy Skin)」です。これに臓器特異的な症状(乏尿、意識障害、胸痛)が加わります。
国試頻出ポイント: ショックの種類と症状の組み合わせは頻出です。特に「血圧低下」と「尿量減少」はすべてのショックに共通するため、鑑別のための特異的な症状(本例では胸部不快感)を正確に覚えることが得点力アップにつながります。
出題パターン注意!: 「急性心筋梗塞の患者が突然、血圧低下と呼吸困難を訴えた。考えられる病態は?」という状況設定問題に発展します。単なる症状の暗記だけでなく、「なぜこの症状が出るのか」を病態生理から説明できるようにしておきましょう。