呼吸音の変化と原因の組合せで正しいのはどれか。 | MyMerci
一般・状況設定問題
問題

呼吸音の変化と原因の組合せで正しいのはどれか。

解説
肺炎などで肺の組織が硬く(密に)なると、音の伝導性が高まり、通常は肺野で聞こえない気管支呼吸音が聴取されるようになります。

詳細解説

核心解説 この問題は、聴診による呼吸音の変化とその原因となる病態との正しい組み合わせを問うています。呼吸音の聴取は、看護師がベッドサイドで実施する重要な身体診察の一つであり、肺の状態をリアルタイムでアセスメントするために必須のスキルです。正しい組み合わせは「肺野での気管支呼吸音の聴取 – 肺炎」です。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): 呼吸音の聴診では、気管支呼吸音、気管支肺胞呼吸音、肺胞呼吸音という3つの基本的な呼吸音があります。通常、気管支呼吸音は気管や太い気管支の上でのみ聴取されます。肺野(末梢の肺胞領域)では、柔らかい肺胞呼吸音が聴かれるのが正常です。肺炎などにより肺組織が含気を失い、硬化・浸出液で充満(肺実質の音響インピーダンス上昇)すると、音の伝導性が高まり、通常は聴かれない気管支呼吸音が肺野で聴取されるようになります。これを 気管支呼吸音の伝導異常 (Bronchial Breath Sounds) といい、肺葉性肺炎の特徴的な所見です。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): 最重要! ④番「肺野での気管支呼吸音の聴取 – 肺炎」が正解です。肺炎により肺胞が炎症性浸出液で満たされると、空気を含まない固体に近い状態になります。固体は音をよく伝えるため、太い気管支の呼吸音が末梢の肺野まで伝わりやすくなります。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis):
- ①「呼気延長 – 胸水」: 混同注意! 呼気延長 (Prolonged Expiration) は、気道が狭窄している状態で起こります。主な原因は気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患 (COPD) です。胸水は呼吸音の減弱をきたすため、呼気延長とは結びつきません。
- ②「呼吸音の減弱 – 過換気症候群」: 過換気症候群 (Hyperventilation Syndrome) では、呼吸数が増加し換気量が増えるため、呼吸音は増強する傾向があります。呼吸音が減弱する原因は、胸水、無気肺、気胸、肥満、皮下気腫など、肺への空気の流入が妨げられる病態です。
- ③「呼吸音の増強 – 無気肺」: 無気肺 (Atelectasis) は、肺胞が虚脱し含気が減少する病態です。含気が減少すると呼吸音は減弱します。無気肺では呼吸音の増強はみられません。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts): 聴診で聴かれる副雑音(ラ音)も重要です。湿性ラ音(水泡音/断続性ラ音: Crackles)は肺炎や肺水腫で、乾性ラ音(連続性ラ音: Wheeze)は気管支喘息やCOPDで聴かれます。呼吸音の減弱/消失は、無気肺胸水気胸などで共通して見られる所見であることを押さえておきましょう。

概念整理: 呼吸音の聴取部位と異常の原理を理解することが重要です。
呼吸音の種類正常聴取部位異常時聴取部位原因病態
気管支呼吸音気管・太い気管支肺野(伝導異常)肺炎、無気肺(硬化・虚脱)
肺胞呼吸音肺野全体減弱・消失胸水、気胸、無気肺、肺気腫

一目で比較!:
病態呼吸音の変化主な副雑音
肺炎肺野で気管支呼吸音(伝導)湿性ラ音(水泡音)
気胸患側の呼吸音消失なし
胸水呼吸音減弱なし(摩擦音を伴うことも)
気管支喘息呼気延長乾性ラ音(ヒューヒュー、ゼーゼー)

看護過程ポイント: アセスメント (Assessment): 聴診は患者の協力が必要なため、安静時や咳嗽後など、タイミングを考慮します。呼吸音の異常を聴取したら、その部位、性状、タイミングを正確に記録します。看護診断 (Nursing Diagnosis): 「気道クリアランス低下 (Ineffective Airway Clearance)」「ガス交換障害 (Impaired Gas Exchange)」「非効果的呼吸パターン (Ineffective Breathing Pattern)」などが考えられます。計画・実施 (Planning/Implementation): 呼吸音の異常に応じて、体位ドレナージ、咳嗽・深呼吸の促し、酸素療法、医師への報告などを行います。

暗記のコツ: 「肺炎で肺野に気管支呼吸音」は「パン(肺炎)でパチパチ(湿性ラ音)聞こえるけど、太い音(気管支呼吸音)が肺野にも聞こえる」と覚えましょう。逆に「胸水は水の壁で音が伝わらず減弱」「気胸は空気の壁で音が消える」とイメージすると良いです。

国試頻出ポイント: 呼吸音の異常所見と病態の組み合わせは毎年出題される重要テーマです。特に「肺炎」「胸水」「気胸」「気管支喘息」の4つの鑑別は必須です。また、状況設定問題(事例問題)で、患者の呼吸音を聴取した際に「どのような病態を疑い、次に何をするか」という流れで問われることも多いです。

出題パターン注意!: 単純な知識問題としては「呼吸音の減弱と原因の組み合わせ」が頻出ですが、近年は「聴診所見(例: 右肺下葉で気管支呼吸音と水泡音が聴かれる)から最も考えられる疾患を選べ」という状況設定問題に発展することが多いです。病態と聴診所見を結びつける思考プロセスが問われます。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド あなたは内科病棟の看護師です。70代男性、肺炎の疑いで入院。熱が39度あり、咳嗽と黄色痰を認めます。胸部聴診を実施します。 - 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 患者は「息が苦しい」と訴えています。聴診器を当てると、右中肺野で普段聞かないような 高い音の呼吸音(気管支呼吸音) とともに、呼気時にパチパチとした 湿性ラ音 (Crackles) が聴かれました。看護師として、この所見をどうアセスメントし、医師に報告すべきでしょうか? - 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 最重要! 聴診で気管支呼吸音と湿性ラ音を認めた場合、肺炎による肺実質の硬化と浸出液の存在が強く疑われます。直ちに SpO2 を確認し、90%未満 であれば酸素療法を開始(医師の指示を仰ぐ)。呼吸状態を評価するために 呼吸数、努力呼吸の有無 を観察。医師への報告は SBAR で行います。S: 「肺炎疑いの患者で、右中肺野に気管支呼吸音と湿性ラ音を聴取しました。」B: 「発熱・咳嗽・呼吸困難あり。」A: 「SpO2が88%と低下しているため、酸素投与が必要と考えます。」R: 「酸素投与の指示と胸部X線のオーダーをお願いします。」と伝えます。 - 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 患者が呼吸困難を訴えた場合は、まず Fowler位(ファウラー位) または セミファウラー位 にし、気道を確保します。誤嚥予防のため、食事の際は座位をしっかり取らせます。高齢者の場合、肺炎による低酸素血症が 混同注意! せん妄 (Delirium) の原因になることもあるため、意識レベルの変化にも注意が必要です。
看護プロトコル: 観察項目: バイタルサイン(特に呼吸数、SpO2、体温)、呼吸音の経時的変化(毎回同じ部位で聴取し記録する)、痰の量・色・性状(培養提出の有無)、咳嗽の頻度と強さ。報告基準: SpO2が92%以下、呼吸数が25回/分以上、呼吸音の悪化(新たなラ音の出現や呼吸音の減弱)、意識レベルの低下。記録: 聴診した部位、呼吸音の種類と強さ、患者の反応(呼吸困難感など)。家族への説明: 肺炎の経過と治療について、安静と水分摂取の重要性を説明します。
先輩看護師の一言: 「聴診は看護師の“五感”をフル活用する技術です。呼吸音の変化は、病態の進行や改善を教えてくれるサインです。最初は難しいかもしれませんが、毎日患者さんに触れて聴診することで、『いつもと違う音』に気づける耳が育ちます。この問題を機に、聴診を自分の看護ケアの武器にしてください!」

重要概念

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