腸閉塞について正しいのはどれか。 | MyMerci
一般・状況設定問題
問題

腸閉塞について正しいのはどれか。

解説
腸閉塞(イレウス)では腸管内の減圧を図るため、イレウス管を小腸まで挿入し留置します。鏡面像(ニボー)は立位の腹部エックス線写真で認められます。

詳細解説

核心解説 この問題は、腸閉塞 (Ileus) の診断と治療に関する基本的な知識を問うています。腸閉塞とは、腸管の内容物の通過が障害される状態であり、その原因により 機械的イレウス(物理的な閉塞)と 機能的イレウス(腸管の蠕動運動低下)に大別されます。腸閉塞の病態を理解することで、適切な検査所見と治療法の選択が可能となります。 正解の根拠 (Answer Rationale) 最重要! ③番が正解です。腸閉塞では、腸管内に貯留したガスや内容物を排除し、腸管内圧を減圧するために イレウス管 (Long Tube) を経鼻的に挿入します。このチューブは、通常、胃を通過し、 十二指腸 を経由して 小腸 まで留置され、持続吸引により腸管内の減圧と内容物の排出を行います。これにより、腸管の拡張による血流障害や穿孔のリスクを軽減します。 誤答の分析 (Distractor Analysis) 混同注意! ①番の「仰臥位の腹部エックス線写真で鏡面像を認める」は誤りです。鏡面像(ニボー, Niveau)は、腸管内にガスと液体が同時に存在することを示す所見であり、立位(または座位)での腹部エックス線撮影でのみ確認できます。立位では液体とガスが水平に境界を形成するため、鏡面像が観察されます。 ②番の「経口による水分摂取は少量にする」は誤りです。腸閉塞の急性期では、腸管の蠕動が障害され、内容物がうっ滞しているため、水分を含む全ての経口摂取は原則として禁止されます。絶食(NPO)とし、必要に応じて 末梢輸液や中心静脈栄養 による水分・栄養補給を行います。 ④番の「抗菌薬の投与は禁忌である」は誤りです。腸閉塞では、腸管内で細菌が異常増殖しやすく、腸管壁の透過性が亢進することで 菌血症敗血症 のリスクが高まります。そのため、閉塞性イレウスや絞扼性イレウスが疑われる場合には、予防的または治療的に 抗菌薬 (Antibiotics) が投与されることが一般的であり、禁忌ではありません。 関連概念の整理 (Related Concepts) 腸閉塞の診断と治療のポイントは以下の通りです。 - 画像診断:立位腹部単純X線写真で鏡面像(ニボー)の確認が基本。CT検査は閉塞部位や原因の特定に有用です。 - 治療の基本:絶食・イレウス管による減圧・輸液による全身管理が基本。保存的治療が無効な場合や 絞扼性イレウス (Strangulated Ileus) が疑われる場合は、緊急手術の適応となります。 - 鑑別:機械的イレウスと機能的イレウス(麻痺性イレウス)では治療方針が異なります。麻痺性イレウスでは、イレウス管挿入よりも、原因となる疾患(腹膜炎、電解質異常、術後など)の治療と腸蠕動の回復を促す薬物療法が優先されることがあります。
概念整理 腸閉塞(イレウス)は、腸管内容物の通過障害です。 - 分類:機械的イレウス(物理的閉塞) vs 機能的イレウス(蠕動低下) - 診断立位腹部X線:鏡面像(ニボー) - 治療:絶食、イレウス管による減圧、輸液、原因精査・治療 - 重症化サイン:腹痛の増強、腹部膨満の進行、腹膜刺激症状(筋性防御)、ショック症状 → 絞扼性イレウスを疑い緊急手術へ
一目で比較!
項目機械的イレウス機能的イレウス(麻痺性)
原因癒着、腫瘍、ヘルニアなど術後、腹膜炎、低カリウム血症など
腸蠕動音亢進(金属性)減弱~消失
腹痛疝痛発作(間欠的)持続性の鈍痛
治療イレウス管、手術原因治療、蠕動促進薬(慎重に)

看護過程ポイント - アセスメント腹部の観察(膨満、蠕動音、圧痛、筋性防御の有無)と全身状態(バイタルサイン、脱水・ショックの徴候)を継続的に評価。 - 看護診断 (Nursing Diagnosis)「体液量不足リスク (Risk for Deficient Fluid Volume)」「栄養摂取量低下 (Imbalanced Nutrition: Less Than Body Requirements)」「非効果的消化管蠕動運動 (Ineffective Gastrointestinal Motility)」 など。 - 看護介入:絶食管理、イレウス管の管理(位置・排液の性状・量の観察、自己抜去防止)、輸液ラインの確保と管理、口腔ケア(口渇の緩和)、バイタルサインと腹部所見の観察
暗記のコツ - 「イレウス=腸が詰まった」 とイメージし、治療の目的は「管を入れて中のガスや液を外に出す(減圧)」ことと覚えましょう。 - 「鏡面像(ニボー)=立位」 でセットで記憶。「立って撮影すると、液面が水平に見える(鏡面のように)」と視覚的に覚えると良いです。
国試頻出ポイント 腸閉塞は、 イレウス の名称で頻出です。特に「イレウス管の目的と留置部位」「鏡面像(ニボー)が確認できる撮影体位」「絶食が必須であること」「絞扼性イレウス(緊急手術適応)の兆候(腹膜刺激症状、ショック)」がよく問われます。近年は、高齢者の便秘や薬剤性による麻痺性イレウスとの関連も出題されやすいテーマです。
出題パターン注意! 基礎的な知識問題(今回のような)に加え、状況設定問題では「術後患者が腹部膨満を訴え、イレウス管が挿入された。看護師の観察項目として適切なのはどれか?」といった形で、より実践的な判断を問う問題が出題されます。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario) 70代女性、大腸癌術後2日目。夕方より「お腹が張って痛い」「吐き気がする」と訴え、腹部は著明に膨満、腸蠕動音は金属性で亢進しています。排ガスはなく、立位腹部X線で鏡面像を認め、 腸閉塞 (Ileus) と診断されました。担当看護師は医師の指示でイレウス管挿入の準備を始めます。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment) 1. 準備と説明:患者にイレウス管の目的(腸の中のガスや液を抜いて、お腹の張りや痛みを和らげること)をやさしく説明し、協力を得ます。 2. イレウス管挿入の介助:医師の指示のもと、患者をファウラー位にし、挿入後のチューブ固定と吸引装置の接続を準備します。 最重要! 挿入中は患者の呼吸状態と苦痛の表情を観察し、嘔吐時は吸引を準備しておきます。 3. 挿入後の管理: - チューブの位置確認:X線で先端が小腸に留置されていることを確認。 - 排液の観察:排液の色(胆汁性、血性、便性)、量、性状を記録。急に排液が止まった場合や血性になった場合は、絞扼の可能性を疑います。 - 自己抜去防止:患者の手が届かないよう、チューブをしっかりと鼻翼に固定し、やむを得ず抑制を行う場合は医師の指示と家族の同意を得ます。 4. 全身管理:絶食中のため、輸液管理(脱水・電解質異常の予防)と口腔ケア(口渇・口内炎予防)を徹底します。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions) - 要注意! 絞扼性イレウスのサイン:腹痛が持続的に増強、腹膜刺激症状(筋性防御・Blumberg徴候)、ショック症状(血圧低下、頻脈)、体温上昇、排液の血性変化。これらを認めたら直ちに医師に報告します。 - 禁忌:急性期の腸閉塞では、絶食が原則であり、安易な下剤投与や浣腸は腸穿孔を誘発する恐れがあるため禁忌です。 - 転倒転落予防:イレウス管が挿入された患者は、行動が制限され、バランスを崩しやすいため、ベッド柵の使用やナースコールの手の届く場所への配置を徹底します。
看護プロトコル - 観察項目:バイタルサイン(特に発熱、頻脈、血圧低下)、腹部膨満度、腸蠕動音(消失していないか)、腹痛の質と部位、排液の性状と量(24時間計測)、尿量。 - 報告基準(SBAR): - S(状況):「○○さん、術後2日目、イレウス管理中です」 - B(背景):「今朝まで排液は胆汁性、200ml/日でした」 - A(アセスメント):「30分前から排液が突然血性に変わり、腹痛が増強しています。バイタルサインは安定していますが、腹膜刺激症状を認めます」 - R(提案/要望):「絞扼性イレウスの可能性を考慮し、緊急の医師の診察とCT検査のオーダーをお願いします」 - 記録のポイント:観察所見と看護介入(排液量・色、腹部所見、患者の訴え)を具体的に記録。医師への報告内容と指示内容も必ず記載。
先輩看護師の一言 「腸閉塞の患者さんは、お腹の張りと痛みで本当に苦しそうです。イレウス管は苦しい処置ですが、『これを入れると楽になるよ』と声をかけてあげてください。そして、イレウス管が入っている患者さんは、管が抜けないか、詰まっていないかの観察がすごく大事です。排液の性状が急に変わったら、それは絞扼のサインかもしれません。『いつもと違う』に気づける看護師になりましょう!」

重要概念

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