妻からの連絡時にAさんに起きていたと考えられる状態はどれか。 | MyMerci
一般・状況設定問題
問題

妻からの連絡時にAさんに起きていたと考えられる状態はどれか。

Aさん(78歳、男性)は、妻(70歳)と2人暮らしである。脳血管障害後遺症による右片麻痺があり、要介護2である。サービス導入後1か月。今朝、妻から訪問看護師に「夫の身体が震えています。よだれを垂らして、目が合わないです」と連絡があった。訪問看護師が訪問すると、Aさんの震えは止まっており、Aさん自身は「何が起きていたのか覚えていない」と言う。訪問時の体温36.0℃、呼吸数18/分、脈拍82/分、血圧130/62mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2) 95% (room air)であった。妻によると、2日間排便がなく、尿量1,500mL/日、尿の性状は黄色透明とのことだった。
解説
身体の震え(強直間代性けいれん)、よだれ(唾液分泌過多)、目が合わない(意識障害)、発作中の記憶がないことなどから、脳血管障害の後遺症として生じた「てんかん発作(けいれん)」が起きていたと考えられます。

詳細解説

核心解説 この問題は、脳血管障害後遺症(右片麻痺)のある高齢者に生じた一時的な症状から、発症時の状態を推測するものです。キーワードは「身体の震え」「よだれ」「目が合わない」「発作中の記憶がない」です。これらは典型的な てんかん発作(Epileptic Seizure)、特に 強直間代性けいれん(Tonic-Clonic Convulsion) の症状と一致します。脳血管障害(脳卒中)後の脳組織には瘢痕化した病巣(てんかん原性焦点)が残ることがあり、これが後遺症として 最重要! 症候性てんかん(Late-onset Epilepsy)を引き起こします。発作中は意識が消失し、全身の筋肉が強直・間代性に収縮し、唾液分泌が亢進(よだれ)し、発作後に記憶はありません。訪問時のバイタルサイン(体温36.0℃、血圧130/62mmHg、SpO2 95%)は正常範囲であり、感染や脱水、便秘だけではこれらの症状を一元的に説明できません。 正解の根拠(Answer Rationale)
妻の報告「身体が震えている」「よだれを垂らす」「目が合わない」と、Aさん自身の「覚えていない」という記憶喪失は、全身性けいれん発作(Generalized Tonic-Clonic Seizure) の典型的な経過を示しています。最重要! けいれん発作は発作中に意識を失うため、本人に記憶は残りません。脳血管障害後の高齢者では、新たな発症リスクが高く、発作が持続する場合(てんかん重積状態)は生命の危険があるため、早期の対応が必要です。 誤答の分析(Distractor Analysis)
① 感染:全身の震え(悪寒)を伴うこともありますが、発熱(体温上昇)や意識障害が持続するのが一般的です。本例は体温36.0℃と正常で、発作後に意識は清明に戻っています。また、よだれや記憶喪失を説明できません。混同注意! ② 脱水:口渇、皮膚ツルゴル低下、尿量減少などが主症状です。本例は尿量1,500mL/日と十分で、発作的な症状ではありません。③ 便秘:排便が2日間ない状態ですが、便秘が直接的に震えや意識障害、よだれを引き起こすことはありません。腹部不快感や腹痛が主症状です。 関連概念の整理(Related Concepts)
症候性てんかん(Symptomatic Epilepsy) は、脳血管障害、頭部外傷、脳腫瘍などの器質的脳病変を原因とします。高齢者では 非けいれん性てんかん重積状態(Non-convulsive Status Epilepticus) も存在し、意識障害のみが続くことがあるため鑑別が必要です。また、混同注意! 一過性脳虚血発作(Transient Ischemic Attack, TIA)は局所神経症状が主体で、全身けいれんや意識消失は通常伴いません。せん妄(Delirium)も意識障害を呈しますが、震えやよだれは目立たず、症状が変動するのが特徴です。 概念整理: 脳血管障害後遺症 → てんかん原性焦点形成 → 症候性てんかん(全身性強直間代性けいれん)。発作中:意識消失、全身の震え(強直・間代性収縮)、唾液分泌過多(よだれ)、記憶障害(発作後健忘)。 一目で比較!:
状態主症状意識記憶バイタルサイン
けいれん発作全身の律動的震え、よだれ、チアノーゼ(発作中)消失(発作中)なし(発作中)発作後徐々に正常化
感染症(敗血症)悪寒、発熱、頻脈、呼吸促迫低下(せん妄)部分的(混濁)発熱(38℃以上)、頻脈、低血圧
脱水口渇、皮膚乾燥、尿量減少、立ちくらみ清明(高度時低下)あり低血圧、頻脈、体重減少
看護過程ポイント: - アセスメント: 発作の種類(全身性か部分性か)、持続時間、発作後の状態(意識回復の有無、片麻痺の増悪の有無)、誘因(睡眠不足、服薬忘れ、感染症)。最重要! 発作が5分以上続く、または発作間欠期に意識が戻らない場合は「てんかん重積状態」と判断し緊急対応。 - 看護診断(Nursing Diagnosis): 【発作】反復発作に関連した転倒リスク状態、誤嚥リスク状態、外傷リスク状態。【安全】発作後の見当識障害と記憶喪失に関連したセルフケア不足リスク状態。 - 計画・実施: 発作時:側臥位保持(誤嚥防止)、頭部保護、衣服の緩め、周囲の危険物除去。発作後:バイタルサイン測定、意識レベル確認(JCS/GCS)、神経学的観察(瞳孔対光反射、麻痺の有無)。医師への報告(発作の種類、持続時間、頻度、誘因)。 - 評価: 発作のコントロール状況、抗てんかん薬の服薬アドヒアランス、副作用(眠気、ふらつき)の有無。 暗記のコツ: 「けいれん=震え+よだれ+記憶なし」。全身の震えとよだれ(唾液分泌)は自律神経症状、意識消失と記憶障害は大脳機能の一時的停止。この4つのセットを「けいれん発作の四大症状」として覚えましょう! 国試頻出ポイント: 脳血管障害後の症候性てんかんは頻出事項。発作時の観察項目(種類、持続時間、意識、瞳孔、呼吸)、発作後のアセスメント(神経学的異常の有無)、緊急対応の基準(5分以上の持続は重積状態)がよく問われます。また、抗てんかん薬(フェニトイン、カルバマゼピン、レベチラセタムなど)の副作用や服薬指導もセットで学習しましょう。 出題パターン注意!: 本問は「症状からの病態推測」ですが、発展形として「発作後の看護介入の優先順位」(気道確保 vs 転倒予防 vs 家族への説明)や「発作を誘発する要因」(睡眠不足、アルコール、服薬中断)を問う事例問題に発展します。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ(Clinical Scenario)
訪問看護師がAさん宅に到着すると、Aさんはソファに座って普通に会話ができています。しかし、妻は「さっきまで全身がガクガク震えて、呼びかけに反応しなかった。よだれがすごくて、唇が紫色に見えた」と動揺しています。あなた(訪問看護師)は、てんかん発作後と判断しました。発作後は意識が清明ですが、発作後もうろう状態(Postictal State)にあり、転倒リスクが高いため、まずAさんを安全な場所で休ませ、バイタルサインと神経学的徴候(瞳孔の大きさ・対光反射、麻痺の程度)を確認します。その後、妻に発作時の状況(持続時間、発作の様子、尿失禁の有無、舌咬傷の有無)を詳しく聴取し、受診の必要性を説明します。 看護介入と判断戦略(Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察(Observe): 現在のバイタルサイン(血圧130/62mmHg、脈拍82/分、SpO2 95%)。意識清明。瞳孔は両側正円同大、対光反射迅速。右片麻痺(上肢Brunnstrom stage III、下肢IV)に変化なし。発作後チアノーゼは消退。2. アセスメント(Assess): 発作は自然に停止し、現在は安定している。発作の持続時間は妻の話から1〜2分程度と推定され、重積状態ではない。3. 報告(Report): かかりつけ医へSBARで報告。S(状況): 「Aさん、脳血管障害後遺症の78歳男性。本日午前中に全身性強直間代性けいれん発作を1回認めました。発作は自然停止し、現在バイタルサインは安定、意識清明です。」B(背景): 「脳梗塞後遺症、要介護2。現在、抗てんかん薬は内服していません。」A(アセスメント): 「症候性てんかんの初回発作の可能性が高いです。受診が必要と考えます。」R(提案): 「脳神経内科への受診を調整したいです。発作時対応の指示(ジアゼパム坐剤の準備など)はありますか?」4. 介入(Intervene): 発作再発に備えて、安全な環境を整える(周囲の尖った物の除去、ベッドの高さを低くする)。家族には発作時の対応(側臥位、時間測定、救急車要請基準の説明)を指導。5. 評価(Evaluate): 受診後、脳波検査と頭部CTで新たな病変がないか確認。抗てんかん薬(例:レベチラセタム)が開始され、服薬指導と副作用モニタリングを継続。 看護プロトコル: - 観察項目: 発作の種類(全身性/部分性)、持続時間、意識レベル、瞳孔の大きさと対光反射、呼吸状態(頻呼吸・無呼吸・チアノーゼ)、脈拍、血圧、皮膚色、尿失禁・便失禁の有無、舌咬傷の有無、発作後の意識回復状態(見当識、記憶)。 - 報告基準(SBAR): 発作が5分以上続く場合、発作が連続する場合(重積状態)、発作後に意識が戻らない場合、発作後に新たな麻痺や呼吸障害が出現した場合は緊急報告! - 記録のポイント: 発生日時、発作の様子(動画があれば有用)、持続時間、意識状態、バイタルサイン、神経学的所見、対応内容、医師への報告内容と指示。 - 家族への説明: 発作時の対応(安全確保、側臥位、時間を測る、口の中に物を入れない)、発作後の見守り、受診の必要性、再発時の連絡先。 先輩看護師の一言: 「脳血管障害の既往がある患者さんの突然の意識消失や震えの連絡を受けたら、まずは『けいれん発作』を疑いましょう。特に、発作後に本人が『覚えていない』と言うのは特徴的です。訪問看護では、家族がパニックになりやすいので、落ち着いて状況を聞き取り、具体的な対応(側臥位の指示、時間を測ること)を伝えることが大切です。国試でも、発作時の観察項目と家族指導は頻出なので、この機会にしっかり押さえてくださいね!」

重要概念

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