核心解説
この問題は、
上腕骨顆上骨折 (Supracondylar Fracture of the Humerus) の整復術後における
合併症の観察方法を問うています。小児の上腕骨顆上骨折は、肘周辺の軟部組織の腫脹が強く、ギプス固定後に
最重要! 阻血性拘縮(フォルクマン拘縮: Volkmann’s Contracture)や
コンパートメント症候群 (Compartment Syndrome) を引き起こすリスクが高いため、神経・血管障害の早期発見が看護師の最も重要な役割です。観察はギプスで覆われていない末梢(手指)に焦点を当て、5P(Pain, Pallor, Paresthesia, Paralysis, Pulselessness)のサインをチェックします。
正解の根拠 (Answer Rationale)
③番が正解です。感覚鈍麻(Paresthesia: しびれ)は、神経障害を示す重要なサインです。手指の知覚を評価するには、
患者本人に触れられているかどうかを尋ねる(触覚)か、軽くつまんで痛みの有無を確認する(痛覚)方法が適切です。観察者は手指を触れて、患者の反応を確認することで、神経圧迫の有無をアセスメントします。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①番(肩の皮膚色観察):
混同注意! 上腕骨顆上骨折で障害が起こりやすいのは、
正中神経 (Median Nerve) や
上腕動脈 (Brachial Artery) であり、症状は手指や前腕に現れます。肩の皮膚色には異常は出にくく、観察部位として不適切です。
②番(8時間ごと):
混同注意! コンパートメント症候群や阻血性拘縮は、術後数時間以内に急激に進行する可能性があります。観察は
1時間ごとや2時間ごと など頻回に行う必要があり、8時間ごとでは発見が遅れる危険があります。
④番(ギプス内に手を入れて観察): これは
禁忌行為です。ギプス内部に手を入れると、ギプスの形状を変えたり、固定が緩んだりする可能性があります。また、清潔操作や患者の安全面からも推奨されません。冷感の観察は、ギプスから出ている手指の皮膚温を、手背(手の甲)で触れて評価します。
関連概念の整理 (Related Concepts)上腕骨顆上骨折では、特に
上腕動脈 (Brachial Artery) の損傷による阻血と、
正中神経 (Median Nerve) の損傷による感覚・運動障害が高頻度です。術後観察では「5Pサイン」を暗記し、それぞれに対応する観察項目を連動させて覚えましょう(例:Pain=疼痛、Pallor=蒼白、Paresthesia=感覚鈍麻、Paralysis=麻痺、Pulselessness=脈拍触知不能)。
概念整理: 上腕骨顆上骨折術後合併症の観察は、ギプスで覆われていない「手指」に焦点を当て、循環状態(皮膚色、冷感、毛細血管再充満時間)と神経状態(感覚、運動)を評価する。コンパートメント症候群は5Pサインで早期発見する。
一目で比較!:
| 観察項目 | 適切な方法 | 不適切な方法 |
|---|
| 感覚(しびれ) | 患者に手指を触れ、感覚の有無を確認する | ギプス内に手を入れて触る |
| 循環(冷感) | 手指の皮膚温を手背で触れて評価 | ギプス内部に手を入れる |
| 観察頻度 | 術後早期は頻回(1~2時間ごと) | 8時間ごと |
| 観察部位 | ギプスから露出している手指・爪 | 肩の皮膚色 |
看護過程ポイント: アセスメント(術後は循環・神経障害のリスクが高い)、看護診断(末梢神経血管機能障害のリスク)、計画(1~2時間ごとに手指の5Pサインを観察する)、実施(患者と家族に観察項目と異常時の報告を指導する)、評価(手指の色調・温感・感覚が正常で、疼痛がコントロールされている)。
暗記のコツ: フォルクマン拘縮(阻血性拘縮)を「フォルクマンの5P」で覚えよう!
Pain(痛み)、
Pallor(蒼白)、
Paresthesia(感覚鈍麻)、
Paralysis(麻痺)、
Pulselessness(脈拍触知不能)。特に
Pain(痛み)が初期徴候で最も重要!
国試頻出ポイント: 小児の上腕骨顆上骨折は、毎年のように出題される頻出テーマです。特に「整復術後の観察方法」と「合併症(フォルクマン拘縮)」の組み合わせは鉄板。観察は「ギプス外の手指」に限られ、「ギプス内は触らない」「観察頻度は頻回」という2点がキーです。
出題パターン注意!: 単純な知識問題として「適切な観察方法はどれか」と出ることもあれば、事例問題として「A君が夜間に『指がしびれる』と訴えた。看護師の対応で適切なのはどれか」と発展して出題されます。その場合、5Pサインのどの項目が該当するかを瞬時に判断できるようにしておきましょう。