核心解説
この問題は、
免疫応答 (Immune Response) における「
細胞性免疫 (Cell-Mediated Immunity)」と「
体液性免疫 (Humoral Immunity)」の違いを問うています。
抗原 (Antigen) による感作後、
Tリンパ球 (T Lymphocyte) が主体となる反応は、主にウイルス感染細胞や腫瘍細胞の攻撃、そして遅延型アレルギーに関与します。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! ツベルクリン反応は、結核菌に感染したかどうかを調べる検査です。過去に結核菌に感染した人は、体内に抗原を記憶した
感作Tリンパ球 (Sensitized T Lymphocyte) が存在します。このTリンパ球が、検査で注入されたツベルクリン(結核菌の抗原)を認識し、サイトカイン(主にインターフェロンγ)を放出してマクロファージを活性化し、局所に炎症を起こします(発赤・硬結)。この反応は反応までに24~72時間かかることから、
遅延型アレルギー (Delayed-Type Hypersensitivity, DTH) または
Ⅳ型アレルギー (Type IV Hypersensitivity) と呼ばれ、細胞性免疫の代表例です。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! 花粉症、蕁麻疹、アナフィラキシーショック、インフルエンザ予防接種はいずれも
体液性免疫 (Humoral Immunity) が主体です。
- ① 花粉症:
Ⅰ型アレルギー (Type I Hypersensitivity)。肥満細胞に結合したIgE抗体が花粉抗原と結合し、ヒスタミンなどの化学物質を放出して即時型反応を起こします。Bリンパ球由来の抗体が主体です。
- ② 蕁麻疹: 多くの場合
Ⅰ型アレルギー (Type I)。IgE抗体を介した即時型反応の皮膚症状です。
- ④ アナフィラキシーショック:
Ⅰ型アレルギー (Type I) の最重症型。IgE抗体を介して全身性に血管拡張や気道攣縮が起こります。
- ⑤ インフルエンザ予防接種: 不活化ワクチンは、主にBリンパ球を刺激して
抗体産生 (Antibody Production) を誘導する体液性免疫が主体です。
関連概念の整理 (Related Concepts):
免疫応答 (Immune Response) は大きく2つに分類されます。
-
体液性免疫 (Humoral Immunity): Bリンパ球が分化した
形質細胞 (Plasma Cell) が産生する抗体(免疫グロブリン)が主役。細菌やウイルスなどの細胞外病原体に有効。
-
細胞性免疫 (Cell-Mediated Immunity): Tリンパ球(ヘルパーT細胞、キラーT細胞)が主役。ウイルス感染細胞、腫瘍細胞、細胞内寄生菌(結核菌など)に有効。
概念整理:
アレルギーの分類(Coombs & Gell分類) を理解することが鍵です。
| 型 | 名称 | 主な免疫担当 | 代表疾患 |
|---|
| Ⅰ型 | 即時型 | IgE抗体 | 花粉症、アナフィラキシー |
| Ⅱ型 | 細胞傷害型 | IgG/IgM抗体 | 自己免疫性溶血性貧血 |
| Ⅲ型 | 免疫複合体型 | IgG抗体 + 抗原 | 血清病、全身性エリテマトーデス |
| Ⅳ型 | 遅延型 | Tリンパ球 (細胞性) | ツベルクリン反応、接触性皮膚炎 |
一目で比較!:
混同注意! 「即時型アレルギー(Ⅰ型)」と「遅延型アレルギー(Ⅳ型)」の比較。
| 特徴 | 即時型 (Ⅰ型) | 遅延型 (Ⅳ型) |
|---|
| 主な免疫細胞 | Bリンパ球 (抗体) | Tリンパ球 |
| 反応時間 | 数分~数十分 | 24~72時間 |
| 抗体の関与 | あり (IgE) | なし |
| 代表例 | 花粉症、アナフィラキシー | ツベルクリン反応、接触皮膚炎 |
看護過程ポイント: ツベルクリン反応検査の結果をアセスメントする際は、単に「陽性」「陰性」だけでなく、BCG接種歴、免疫抑制状態(ステロイド使用、HIV感染など)、結核感染のリスク因子も総合的に評価することが重要です。陽性反応が強く出た場合は、局所の疼痛や熱感に対するケア(冷却など)とともに、活動性結核の有無を確認するためのさらなる検査(胸部X線、喀痰検査)の必要性を医師に報告します。
暗記のコツ: 「Tリンパ球が活躍=細胞性免疫=遅延型アレルギー=ツベルクリン反応」とセットで覚えましょう。「Tは時間がかかる(遅延)」「Tuberculin反応」でリンクさせると良いです。一方、抗体(Antibody)が主役の「A」は「アナフィラキシー(Anaphylaxis)」「アレルギー(Allergy)」の「A」と覚えましょう。
国試頻出ポイント: 各アレルギー型と代表的な疾患の組み合わせは頻出です。特に、
最重要! 細胞性免疫(Ⅳ型)の代表例としてツベルクリン反応はほぼ必須知識。また、近年増加している接触性皮膚炎(金属アレルギー、ウルシなど)もⅣ型アレルギーであることも併せて確認しておきましょう。